
冬は、寒さから足先、指先が冷えてしまい、なかなか寝付けなかったり、暗くて起きることができなかったり、朝の低い温度のせいもあって布団から出るのを面倒と感じてしまいがちな季節です。
そんな冬、熟睡し、しっかり目覚めることができたら、理想ですよね。ここでは、冬という寒い季節にスポットを当て、その眠りと快適な目覚めについて紹介していくことにします。
いったいどうしたら冬に熟睡することができるのでしょうか?
まずはぐっすり熟睡できない理由から見ていくことにしましょう。
この記事の目次
冬に眠れない理由とは?
冬に眠ることができない理由として、三つほど考えられます。
その理由について見ていくことにしましょう。
冷え
一つは体の冷えと言えるでしょう。
女性は冬など冷えの厳しい季節になると、手足の先を冷たいと感じる方が増えますが、これは末端の血液循環が滞っているためです。
しかし、眠りにつくために人は体温を下げる必要があります。
効率よく体温を下げるためには、この末端の血液の循環を利用して熱を放出しなくてはなりません。
冷えを感じている時は末端まで血液がきちんと流れていない状態ですので、血液量を増やし、体の温度を下げる作業が上手くいかなくなってしまいます。
そのため眠りにつくことが難しくなってしまうのです。
寒さからくるストレス
また、冬の寒さをストレスと感じることもよく眠ることができない理由と言えるでしょう。
ストレスは交感神経を高ぶらせてしまい、反対に副交感神経の働きを抑えてしまいます。
眠るためには、リラックスの役割を担う副交感神経が優位に立つことが大切ですから、交感神経が活発になっている場合、眠ることは困難になります。
つまり入眠できない、よく熟睡できないという不眠の引き金になってしまうのです。
寒い方が寝やすそうな気がしますが、体温よりも室内や外の気温が低いと身体は体温を下げるどころか反対に体温を下げてはいけない、という命令を脳が出すことがわかっています。
そうなると熱も放出しなくなってしまうので、睡眠に入りにくくなります。
また、眠っていても寒さのあまり起きてしまう人がいると思いますが、これも室温が原因です。
睡眠に入る時、人は体温を下げていきますが、起きる時は覚醒を促す為に徐々に体温を上げていきます。
眠っていて起きてしまうのも、気温が低いことで脳が身体を温めようと体温を上げていることが考えられます。
温かくしすぎ
寒くなってくると、冬物を準備し始める人も多いのではないでしょうか。
羽毛布団を始め、冬物パジャマに靴下と体を温かくしてくれるアイテムはたくさんあります。
特に冷え性の人は、布団に入る時も靴下を履いたまま寝る人も少なくないと思います。
しかし、実を言うと冬にぐっすり熟睡できない理由には、この完全防寒も含まれます。
理由としては、温かすぎるから。
前述でも触れた通り、人は眠りに入る時に身体の熱を放出して体温を下げることで睡眠に入っていきます。
ですが、今挙げたように温かくし過ぎると熱が放出されにくくなってしまい、体温が下がらないため熟睡どころか、眠るのも難しくなってしまうのです。
冬に目覚めが悪くなる理由とは?
冬目覚めることができない理由には三つほど考えられます。
順に紹介していきましょう。
温度が低い
一つ目は温度が低いことです。
人は眠るとき体温を下げ、朝に向かうに連れ体温を上げるという温度調節を行っていますが、気温の低い冬の季節は、朝一気に気温が落ち込むため、体温が上がりにくくなります。
体温がなかなか上がらないことで、目覚めにくくなってしまいます。
太陽の光
二つ目の理由としては太陽の光が考えられます。
朝起きて太陽を浴びることで人は体内時計のリズムをリセットし、毎日一定のリズムで眠る、起きるを繰り返すことができるようになるのですが、冬は日の出の時間が遅く、また太陽を浴びる時間が全体的に少ないため、このリズム調整が他の季節より難しくなります。
起きる時間だけでなく、眠る時間も乱れてしまう季節なのです。
睡眠時間が長くなる
また、冬は睡眠時間が長くなることもその理由と言えるかもしれません。
冬は体を温めるためにどうしても他の季節よりたくさんエネルギーが必要になってきます。
昔から冬は食べ物が少ないこともあり、動物は冬の間、エネルギーをため込もうと体が働きます。
人間は哺乳類ですので、冬眠こそはしませんが、動物の本能としてより多く眠り、エネルギーを少しでも蓄えておこうとするのです。
時間としてはわずか1時間程度の差と言われていますが、このことも朝の目覚めを妨げている理由と言えるでしょう。
冬にぐっすり眠るために役立つ11の方法
冬眠ることができない理由、目覚めることができない理由については理解いただけたことでしょう。
ですが、温度が低くなる、日照時間が短くなるなどが原因しているため、その原因自体を排除することは不可能です。
では、どうすれば、この冬の睡眠不足、目覚めにくさから逃れることができるのでしょうか?
そのポイントについて紹介していくことにします。
1,体温のコントロールが大切
冬の熟睡できない理由である冷えや温度の低さをなくすためには、自分自身の体温のコントロールが一番のポイントになってきます。
血の巡りを向上させて睡眠環境を整えていくことが大切と言えるでしょう。
体を夏など他の季節と変わらない状態にまで持っていけると冬特有の睡眠の悩みは解消できるはずです。
では、どんな風に体温をコントロールし、上げていけばいいのでしょうか?
体温の上昇を目指せる対策について見ていくことにしましょう。
首元を温める 冬寒いと暖かいインナーなどを着込むという方も多いと思いますが、ついつい首元を温めることは忘れてしまいがちです。
首は大きな血管の通っている場所ですので、冷やしてしまうと体の体温を下げてしまうことと同じになってしまいます。
熱などが出たときに「首元を冷やしなさい」と言いますが、これは血管が表面に近い場所にあるため、熱を放出しやすいからです。
首を冷やすと筋肉が収縮してしまいますので、肩こりなどを起こしやすく、血管も委縮してしまうので、体は余計に冷えてしまいます。
また神経の集中する脊髄と通じている場所ですので、自律神経などにも大きな影響を与えることになります。
自律神経が乱れると、睡眠に必要な副交感神経も正常に機能しなくなるため、悪循環となってしまうのです。
冬の寒い時期には首元をマフラーなどでしっかり保温し、決して冷やさないよう心がけましょう。
首元は昼も夜も冷やさない
昼間外出する際にはマフラーやネックウォーマーをしている方でも、寝ている時は布団から首を出しているという方も多いのではないでしょうか?
暖房器具を消してしまう夜、一番冷える朝方こそ、首を温めることが大切です。
寝ている間にもタオルや肩専用のカバーを付けて眠るようにしましょう。
夜眠るときに靴下を履くより、2倍も体が温まりますのでお勧めです。
蒸しタオルで首の血流をアップさせる
体を温める方法としてよく知られているのが、蒸しタオルです。
蒸しタオルを首にあて、冷えや冷えからくるストレスを緩和させていきましょう。
方法は簡単です。タオルを水に濡らし、固めに絞って、レンジで1分ほど加熱し、首にあてるだけです。
できるなら、これを3回から5回繰り返しましょう。
首が温まることで首周りの筋肉が緩み、血流が良くなるのが分かります。
タオルが冷えてしまったら、また再度レンジに入れ何度か繰り返してみましょう。
実はこの繰り返しが血流を良くしてくれるポイントです。
温まり筋肉が緩み、血流が上がった後、また冷えることで血管は収縮しますが、その後また温めることでポンプの働きをしてくれるので、末端の血管まで血の巡りが良くなります。
毎日行うとより眠りに効果的ですので、ぜひ試してみてくださいね。
2,かけ布団の順番
冬を温かくしてくれる定番アイテムの1つに羽毛布団があります。
それでも寒い人は、毛布を下に重ねて眠る人もいるでしょう。
けれど、冬にぐっすり熟睡したいのであれば、かけ布団の順番は羽毛布団の上に、毛布の順番で重ねることが大切です。
暖かい羽毛布団を毛布の上に重ねたくなってしまいますが、実際のところ、毛布を下にしてしまうと身体が放散した熱を吸い取ってくれないため、布団の中に湿気がこもってしまい、熟睡することが難しくなります。
羽毛布団であれば吸湿性がありますし、何より毛布を上に重ねることで熱を逃がしにくくしてくれるので、温かく眠ることができます。
3,靴下は脱ぐ
原因でも触れましたが、冬にぐっすり熟睡できないのには温かすぎることも挙げられます。
最も多いのが、布団に入る時に靴下を履いたままで寝ること。
靴下を履いたまま布団に入ると素足で入るより温かいため、特に冷え性の人に多く見られます。
しかし、この方法は身体の熱の放散の妨げになるだけでなく、冷えを悪化させることにも繋がります。
一番良くないのは、日中に履く靴下を履いて寝ることです。
普段用の靴下は歩いていても落ちてこないようにゴムがとてもきつく作られているため、寝る時に履いたままでいると血流を圧迫して、冷え性が悪化することがわかっています。
4,パジャマの素材
冬用パジャマを選ぶ場合、やはり温かいことが重視されます。
最近ではデザインも増えてきていて布地が厚手のものだけでなく、裏地がモコモコしているなど見るからに温かそうなパジャマも多いようです。
しかし、熟睡して眠るにはパジャマの素材にも注意が必要になります。
ものによっては、パジャマが身体の熱を吸い取ったまま蒸れてしまうこともあるからです。
特に注意したいのが、化学繊維。
この素材には吸湿性はほとんどありませんので、快適に眠るためにも素材には注意することが大切です。
たかがパジャマ、されどパジャマです。
5,湿度を上げて、体温をアップさせる
冬は夏と比べ、乾燥する季節です。
この乾燥も体感温度を下げてしまう原因となります。
同じ20度に温度設定した部屋でも、やはり夏は暑く、冬は寒いと感じますよね。
これは湿度の量がそもそも違っているからです。
湿度が高いと人は暖かいと思い、湿度が低いと寒いと感じてしまうのです。
暖房器具などを使って部屋を暖めているとより湿度が低くなってしまうため、夜眠るころには湿度がとても低い状態となってしまいます。
暖房器具の使用に関係なく、冬は湿度を上げるようにしてみると良いでしょう。
理想の湿度は50%です。
加湿器を上手に活用し、湿度が常に高い状態を保てるようにしてみてくださいね。
体感温度が上がることで血行が良くなり、副交感神経の働きも活発になりますので、必ず熟睡できるようになりますよ。
6,眠る前の入浴を一工夫する
冬場は夏場と違って、湯船につかるという方も多いと思います。
もちろん入浴は血流を上げてくれるため睡眠の助けになります。
しかし、高すぎる温度のお風呂に入っていませんか?
外気の温度が低いため、お風呂場などは寒いと感じることも多く、温度を高くして入浴するという方も多いようですが、実はこれが熟睡の妨げになってしまいますので、入浴方法も一工夫をしてみましょう。
まず設定温度ですが、40度より低めの温度に設定しましょう。
なぜなら、ぬるめのお風呂は体をリラックスさせる効果があり、副交感神経を優位にさせてくれるからです。
眠るために必要とされる副交感神経の働きが、ただ入浴するだけで活発になってくれますので、こんな簡単な方法はありません。
アロマバスにしてみたり、入浴剤を入れてみるとより高い効果が期待できます。
また、ゆっくり低い温度で入浴することで体は芯から温まりますので冷えを防ぐことにつながりますし、眠るために体温を下げる場合にも、温度を高く設定していないので妨げることはありません。
副交感神経を優位に立たせることのできる入浴法をぜひ試してみてくださいね。
7,光を意識して冬の熟睡を目指そう!
体温のコントロールと合わせて、行ってほしいのが光に当たること。
冬はただでさえ日照時間が短く、太陽が昇るのも遅いので、体内時計が狂ってしまいがちです。
それを回復させるためにも光を意識することが大切です。
冬の太陽は夏の太陽と違って、高い位置に太陽がないため、窓に直接光が差し込んでしまうこともあり、カーテンを閉めて眠ったり、起きている間もテレビなどが見ずらくなることから、光を遮っているという方が多いですが、これが日光に当たる時間を減らしてしまう原因となります。
また、あまりの寒さから休みの日でも外に出ないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、できることであれば、カーテンを開け、まぶしい日光を浴びるようにすると良いでしょう。
寝ている間は寒さを防ぐためにカーテンを閉めていることがあっても、朝は必ずカーテンを開け光をたっぷり浴びましょう。
8,敷き布団を重ねる
かけ布団を重ねて寒さをしのぐ人は多いと思いますが、冬にぐっすり熟睡したいのであれば敷き布団を重ねることも冬に熟睡できる方法の1つです。
布団にこもる熱は基本、外気に放出されているようなイメージがありますが、実を言うと、敷き布団を通して下に逃げてしまっていることがほとんどです。
その為、寒さから熟睡が難しい場合には敷き布団をもう一枚重ねたり、床に布団敷いて寝ているのであれば、高さが低いほど布団の中の温度も低くなるので、冬の間だけでもベッドなどに床上げすることが対策になってきます。
敷き布団を重ねる他、保温性の高い敷きパッドを重ねるのも良いようです。
9,湯たんぽの使用
ぐっすり熟睡する方法として、湯たんぽを使用して布団を温かくする方法が挙げられます。
使い方としては、寝る30分前に湯たんぽを布団の中にセッティングしておくこと。この時、布団の真ん中あたりに湯たんぽを置いておくことが大切になります。
こうすることで、布団全体を温めることができるのです。
また、布団に入ったら湯たんぽでお腹、太腿の付け根、お尻や前腿、足下の順番で温めるようにすると血行も良くなると言われていますので、特に足の冷えで悩む人は試してみると良いかもしれません。
※湯たんぽは、睡眠の妨げにならない?
確かに、温かくし過ぎると熟睡の妨げになるのは事実ですが、湯たんぽは中に入れたお湯は時間の経過と共に冷めていきます。
その為、人が深い眠りに入っていく頃にはぬるくなっているので、眠りを妨げる心配はないようです。
ただし、あまり身体の同じ部分に湯たんぽが触れていると低温火傷になってしまう恐れがありますのでくれぐれも注意して下さいね。
10,布団乾燥機
冬にぐっすり熟睡できる方法の1つとして湯たんぽを挙げましたが、湯たんぽをいちいち移動させるのが面倒という場合には、布団乾燥機を活用するのも対策になります。
使い方は湯たんぽと同様、寝る30分前くらいから布団乾燥機を起動させておくだけ。
雨が続く天日干しができない時などに利用することが多い布団乾燥機ですが、寝る時間に合わせて起動させておくことで、寝る頃には温かくフカフカに仕上がるので、気持ち良く眠ることができます。
11,体内時計を整えるためにも朝食をしっかり食べる
冬日光に当たらないことで狂ってしまった体内時計は、毎日の朝食でリセットしましょう。
体内時計は睡眠と深い関係があるというのは誰もが知っていることですが、体内時計が臓器にも存在するというのは知らない方も多いのではないでしょうか?
内臓に存在している体内時計ですから、その体内時計をリセットさせるためには食事をとることが一番です。
胃に始まり、十二指腸、大腸、膀胱まで、すべての臓器が一気に機能し始めますので、体内時計が正常に戻っていきます。
ただし、決まった時間に朝食をとるようにしてください。
時間を正確に刻んでもらうためには、朝食も同じ時間にとることが大切です。
同じ時間にお腹が空くようになれば、臓器の体内時計が正常に働き始めている証拠ですので、冬でもしっかり眠ることができるようになります。
また、食事をとることは、エネルギーがチャージされることですから、体温も上がっていきます。
寒い冬にはもってこいの方法と言えるかもしれませんね。
朝食では、トリプトファンを含む食品を積極的に摂る
せっかく朝食を食べるのであれば、トリプトファンを多く含んでいる食材を摂るようにしてみると良いでしょう。
トリプトファンは朝摂ることでセロトニンに変化し、眠りのホルモンと呼ばれるメラトニンが夜までに効率よく生成されます。
眠れない冬だからこそ、しっかりトリプトファンを意識した食事に切り替えましょう。
朝よく食べる食品でトリプトファンを多く含んでいるものには、果物であればバナナ、乳製品であればチーズやヨーグルト、牛乳、魚介類であれば、すじこやカツオ節、野菜であればほうれん草などがあります。
時間がないときには、バナナヨーグルトなどが良いかもしれませんね。
朝食のメニューにぜひ摂り入れ、熟睡を手に入れてみてくださいね。
まとめ
冬ぐっすり熟睡できない理由には、冬特有の理由が隠されています。
代表的な理由には寒さや日照時間の少なさなどが挙げられますが、だからと言って眠れないまま放置していては体調を崩すだけでなく、睡眠障害の引き金になってしまいます。
普段の生活で簡単に行える改善法をいくつか取り入れていくようにしましょう。
冬の睡眠トラブルを解消させるポイントは、やはり体温のコントロールと体内時計を正常に保つことです。
体の冷えを解消するためにも体温のコントロールは大切ですよね。
首を温めるよう心がけたり、入浴法を工夫して、眠りの悩みと冷えを同時に解消していきましょう。
また、体内時計を整えるためにも、できるだけ日光を浴び行動的になりましょう。
朝しっかり朝食をとることも大きなメリットがあります。
臓器の体内時計にも上手にアプローチして、睡眠サイクルを回復させていきましょう。