
「春眠暁を覚えず」と言いますが、季節に関係なく「しっかり眠っているのに、寝ても寝ても眠い」と感じる人が多いようです。
普段はやる事がたくさんあって昼寝をするヒマもないけど休日はほとんど寝て過ごしている、そんな人も少なからずいるようですね。
ですが、本当にしっかり眠れているのでしょうか。
あなたの睡眠は充実したものだと言えますか?
寝ても寝ても眠いと感じるのには、必ず何かしらの原因があるのです。
そこで、いくら寝ても眠いと感じる場合の考えられる原因と対策をご紹介していきます。
この記事の目次
生理や妊娠によるホルモンバランスの乱れが原因のケース
女性のホルモンバランスの乱れに大きく関わっているのは、周期的に訪れる「生理」です。
とくに生理の14日前から「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの分泌が多くなるのですが、このプロゲステロンには女性の体温を上げる働きがあります。
基礎体温を高くして、赤ちゃんが出来やすい体内環境にしているのです。
通常私たちは、夕食や入浴などで体温が高くなり、その後体温が下がっていく事で眠気が起きます。
ところが、プロゲステロンによって体温が高いままなので、普段のように眠気が来ず、眠れても質の良い睡眠とは言えません。
眠りが浅く充実した睡眠ではないため、たとえ普段より多く眠ったとしても睡眠不足の状態となり、寝ても寝ても眠いと感じるのです。
さらに、プロゲステロンというホルモンには眠気を催す作用もあります。睡眠薬にも負けないほどの睡眠効果がありますので、生理前にいくら寝ても眠くなるのは仕方がないのかもしれません。
また、妊娠初期も、生理前と同じようにプロゲステロンの分泌が増えます。
体温が高くなって睡眠の質が落ち、プロゲステロンの睡眠作用も働いて、寝ても寝ても眠い状態となってしまうのです。
生理前や妊娠初期の、ホルモンバランスの乱れが原因と考えられる眠気の対策は、まず「寝ても寝ても眠いのはホルモンのせい」と割り切る事です。
自分がたるんでいるから、緊張感がないからなど、自分を責めてはいけません。
その時期が過ぎれば自然に改善されるのですから、短時間の昼寝や規則正しい生活、朝起きたら朝日を浴びる、寝る寸前までスマホを見ないなど、夜の安眠のために出来る事をして乗り切りましょう。
更年期障害によるホルモンバランスの乱れが原因のケース
女性は、閉経を迎える時にもホルモンバランスが乱れます。
女性は一般的に40代後半~50代前半にかけて閉経を迎えますが、その際、女性ホルモンの一つである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が極端に低下します。
エストロゲンの欠乏によるホルモンバランスの乱れは、疲労感・記憶障害・ほてりやのぼせ・頭痛・めまい・うつ、そして睡眠障害などを引き起こす事もあります。
また、ほてりや発汗などによって睡眠時に起きてしまう中途覚醒の症状が出ると、熟眠感が妨げられて、日中でも眠気を感じるようになってしまいます。
エストロゲンの減少によるホルモンバランスの乱れが原因と考えられる眠気の対策は、まず食生活の見直しをする事です。
ホルモンバランスを整える働きがある「亜鉛」や、体内に入るとエストロゲンと同じような働きをすると言われる「大豆イソフラボン」などを積極的に摂取して、バランスの取れた食事をしてください。
決まった時間に起きて寝る、決まった時間に食事をする、軽い運動を習慣にするなど、生活習慣の見直しも大事ですね。
その上で、漢方治療や専門医の診察を受けてみるのもいいでしょう。
睡眠障害が原因となっているケース
睡眠障害はその症状によって分類されます。
夜ちゃんと眠っているのに日中起きているのが困難になるほどの眠気に襲われる「過眠症」、睡眠中の呼吸が異常になり睡眠の質が低下する「睡眠呼吸障害」、何らかの理由で昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わせられない「概日リズム睡眠障害」、眠るべき時間によく眠れない「不眠症」などで、寝ても寝ても眠いといった症状はこれらの睡眠障害が原因となっている可能性も考えられます。
原因となりえる睡眠障害を次からご紹介します。
過眠症【1】「ナルコレプシー」
ナルコレプシーとは、日中に強い眠気に突然襲われる「眠り病」とも呼ばれる病気です。
突然の睡眠発作が1日に何回も起き、その時に感じる眠気は、普通の人間が2日間徹夜した後に感じる眠気に匹敵するほど強烈だと言われています。
発症するのは10代がもっとも多く、ピークは14~16歳とされています。日本人の有病率は600人に1人と推定されており、世界の中でもとくに日本人に多い病気です。
ナルコレプシーの症状には、耐えられない睡魔が襲って数分~30分以内の居眠りを数時間おきに繰り返すという事が3ヶ月以上は毎日続く「睡眠発作」の他に、強い感情の動きがあった時に数秒~2分ほど身体の力が抜けて倒れてしまう事さえある「情動脱力発作(カタプレキシー)」、寝つく時などに幻覚を見たり幻聴が聞こえたりする「入眠時幻覚」、寝つく時に身体に力が入らない声が出ないなど金縛りのような状態になる「睡眠麻痺」があり、睡眠発作と情動脱力発作が共に現れる場合が最も典型的なナルコレプシーだと考えられています。
ナルコレプシーは、睡眠をコントロールする脳機能の異常によって起こる病気で、現在では遺伝的な要因もあるのではないかと研究が進められています。
ナルコレプシーの睡眠発作は単なる居眠りと勘違いされる事も多いため、病気だと気付くのに何年も何十年もかかる場合があります。
対策としては、もしもナルコレプシーの症状と同じような経験をした事があるならば、仕事や生活において重大な事故が起きてしまわないよう、すぐに睡眠障害を専門としている医療機関で診断を受けましょう。
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過眠症【2】「特発性過眠症」
特発性過眠症の発症は10~20歳代が多く、有病率はナルコレプシーよりやや少なめだと言われています。
主な症状はナルコレプシーと同じく眠気と居眠りですが、居眠りは1~4時間と長く、目覚めてもすっきりせずに眠気が残っているという特徴があります。
また、夜の睡眠においては、6~10時間以内の場合と、10時間以上眠る場合の2つに分かれます。
ナルコレプシー患者の夜の睡眠が浅く頻繁に目を覚ますのに対して、特発性過眠症の場合は眠りが深く、夜の睡眠でぐっすり眠れるのも特徴です。
特発性過眠症の原因は解明されておらず、効果的な治療も難しいと言われています。
ですが、夜にしっかり眠れているのに日中にも長時間の昼寝を必要としている人は、症状を少しでも改善するために、一度専門医に診てもらって検査を受けた方がいいでしょう。
過眠症【3】「薬剤性過眠症」
薬剤性過眠症とは、名前からも分かるように、治療のために服用している薬の副作用で眠気が起こるというものです。
市販されている風邪薬や花粉症の治療に使われる抗ヒスタミン剤などを飲んで眠くなったという経験をした人は少なくないでしょう。
薬には飲んだら眠くなるものもあり、飲み合わせによって睡眠作用が強まるものもあります。
また、飲み続けていた薬を急にやめた事で眠気が起きる場合もあります。
寝ても寝ても眠いという状況に薬が関係していると感じたら、飲むのをやめる、薬を変える、処方してもらった医師に相談するなどの手を打ちましょう。
睡眠呼吸障害「睡眠時無呼吸症候群」
睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、睡眠時の大きないびきです。
睡眠中に大きないびきをかき、「ガッ」というようなあえぎ呼吸をした後しばらく呼吸が止まり、数十秒後もしくは数分後に大きく息を吐くという症状です。
同じ部屋で寝ている人からすれば、「大丈夫?ちゃんと息できてる?」と不安になるのですが、本人にはまったく記憶がありません。
このような症状で心配されるのは、呼吸が止まる事によって酸素の供給が充分に出来ない事です。
酸素の供給がうまく出来なければ、身体の隅々まで栄養を行き渡らせる事も出来ません。
そして何よりも、このような睡眠では深い眠りを得る事が出来ずに、脳も身体も充分に休む事が出来ていないという事です。
つまり、本人はしっかり眠っているつもりでも、実は睡眠中の異常な呼吸によって眠りが浅くなり、眠りが浅いために脳も身体も充分な休息を得る事が出来ず、休む事が出来なかった脳と身体が睡眠を欲しているという事になります。
睡眠時無呼吸症候群の一番のネックは、睡眠中の事なので本人に自覚がないという点です。
夜中の頻尿や起床時の倦怠感、翌日の眠気などはあるでしょうが、夜中の症状を知らないだけに単なる寝不足と片付けてしまう人が多いようです。
睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠中に舌が喉の奥に入り込み、気道が狭くなって呼吸がしにくくなるために起こります。
そして、睡眠時無呼吸症候群になりやすい人は、肥満の人・首が短く脂肪が多い人・舌が大きい人・顎が小さい人、寝る前にお酒を飲む習慣がある人などです。
また、普段からあお向け寝をしている人に多いと言われています。
対策としては、まず肥満解消です。
睡眠時無呼吸症候群の人の大半が、肥満によって気道を圧迫しています。
寝る前のアルコールも控えて、出来れば気道を確保しやすい横向き寝で眠ってください。
そして、専門の医療機関で診察してもらい、生活習慣から見直していきましょう。
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概日リズム睡眠障害「交代勤務による睡眠障害」
概日リズム睡眠障害とは、私たちが本来持っている体内時計と実際の生活においてのリズムのズレ、もしくは、何らかの理由で体内時計がリセットされない事によって起きる睡眠障害です。
交代勤務による睡眠障害とは、明らかに本来持っている体内時計と生活リズムとのズレから生じるもので、眠りたい時間と眠らなければならない時間との違いに身体がついていけていない状態です。
朝型とか夜型とか言われますが、ずっと朝型かずっと夜型ならば、まだ身体はそれなりに順応できるのです。
ですが、今日は朝型、明日は夜型、次の日は昼型など、日によってリズムが異なれば身体も順応しきれなくなります。
そのため、眠らなければならない時間に眠れたとしても、それはとりあえずの睡眠であって、脳も身体もしっかり休めるほどの睡眠とは言い難くなるのです。
とはいえ、仕事上で交代勤務などがあるのもやむを得ません。
交代勤務による睡眠障害の対策は、体内時計のズレを少しでも修正できるよう、とにかく午前中に太陽の光を浴びる事です。
そして、眠るべき時間に質の良い睡眠が取れるよう、寝室や寝具の見直しもしてください。
光目覚まし時計やアイマスクなどを活用するのも安眠には効果的な方法です。
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不眠症「熟眠障害」
熟眠障害という言葉に聞き慣れがない人もいるでしょうが、充分な睡眠時間を取っているにもかかわらず眠ったという充実感がないという、意外と多くの人が感じているであろう不眠症の一つです。
寝ても寝ても眠い、まさにその状態です。
日中は倦怠感や眠気があり、集中力が低下したり、注意力散漫といった症状も現れます。
熟眠障害の原因には、もっとも深い眠りであるノンレム4の睡眠が現れていない事が挙げられます。
つまり、熟睡していない、眠りが浅いという事ですね。
そして、眠りが浅くて熟睡できない原因には、メラトニン不足・加齢・飲酒・睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。
加齢は仕方がないとしても、他の要因は改善する事が出来ます。
たとえば、メラトニンとは体内時計をリセットするための大事な体内物質です。
メラトニンの不足は、朝起きてすぐに朝日を浴びる事を毎日続ければ解消出来ます。
そして飲酒は、寝る3時間前までに飲み終える事と、飲む量を制限する事で解決します。睡眠時無呼吸症候群は、専門の医療機関でしっかり治療すれば改善されます。
熟眠障害は、毎日の生活習慣を見直す事でかなりの変化が見込めます。
寝ても寝ても眠い原因がどこにあるのか、今一度生活パターンを振り返って、要因となるものを排除・改善していきましょう。
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その他の睡眠障害【1】「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」
むずむず脚症候群は、最近テレビや雑誌で取り上げられる事もあり、名前を聞いた事がある人もいるかと思います。
足に違和感や不快感や痛みなどがあり、動かさずにはいられなくなる病気です。
むずむず脚症候群には、はふくらはぎ・太もも・足首の順に「足を切ってしまいたい」と思えるほどの苦痛がありじっとしていられない、ベッドやソファでくつろいでいる時に症状が出る、足を動かしたり叩いたりすると症状が軽くなったり消えたりする、夕方から夜にかけて症状が悪化して寝る時間が不快感のピークになるなど、ストレスを引き起こすに充分な症状があります。
とくに寝る時間になると症状が悪化するというのが厄介です。
寝つきが悪くなり、睡眠の質も低下して、改善されなければ熟眠障害などの睡眠障害を引き起こす事も充分に考えられます。
むずむず脚症候群は、貧血症や葉酸不足などの女性に多くみられる症状ですが、関節リウマチや下肢静脈瘤、がんや高コレステロール血症の合併症としてみられる事もあります。
むずむず脚症候群になる原因には、鉄分不足や、やる気を起こすドーパミンという伝達物質が関係しているのではないかと推測されていますが、はっきりとは解明されていない状況です。
また、むずむず脚症候群の症状には、身体を動かす事で多少は解消されますが、症状が落ち着いたからとリラックスするとまた違和感や不快感がぶり返すという深刻で軽視できない面があります。
不調が続くようなら、睡眠障害を専門としている医師に相談しましょう。
症状が起きる原因が明確には解明されていないので特効薬のようなものはないのですが、症状を緩和する手立てを聞いてみてください。
自分で出来る対策としては、刺激物を控える・鉄分を摂取する・夕方以降はアルコールやカフェインのような誘引物質を摂らないように注意する、などが挙げられます。
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その他の睡眠障害【2】「周期性四肢運動障害」
むずむず脚症候群になっている患者さんの40~60%が、周期性四肢運動障害を併発している可能性があると言われています。
病院でむずむず脚症候群の診察を受ける際には、周期性四肢運動障害を併発していないかも確認しておきましょう。
周期性四肢運動障害の症状は、つま先や足首がピクピクと動く・肘をすばやく曲げ伸ばしする・膝蹴りのような動きをするというもので、この動作が1時間に十数回以上繰り返されます。
ただし、症状は睡眠の前半から中盤までで明け方には収まっている、睡眠中の動作は手と足のみ、という特徴も持っています。
周期性四肢運動障害は、むずむず脚症候群と違って本人の意思に関係のない睡眠中に起こるため、本人が自覚している事はまずありません。
同じ部屋で寝ている人に指摘されない限り病気は発覚しないので、診断も治療もかなり進行してから受ける人が多いようです。
なお、周期性四肢運動障害がなぜ起きるのかという根本的な原因は、むずむず脚症候群と同様にまだ解明されていません。
ですが、ドーパミンの機能障害によって現れる症状ではないかという見解はあるようです。
また、根本的な原因が分かっていないため有効と考えられる対策もこれといって無いとはいえ、疲れている時やカフェインを多く摂った時に症状が起こりやすいという専門家の意見もあります。
カフェインの覚醒作用はそもそも睡眠にとって妨げとなります。
過剰摂取であれば、夜中に起きてしまう中途覚醒を引き起こす可能性も充分に考えられます。
周期性四肢運動障害の疑いがあると感じたら、夕方以降はカフェインを含む飲み物は控えた方が無難ですね。
「睡眠不足症候群(睡眠負債)」が原因となっているケース
「睡眠不足症候群」は「睡眠負債」とも呼ばれて、近年問題になっています。
睡眠不足症候群とは、自分ではしっかりと睡眠を取っているつもりでも、実は毎日少しずつの寝不足が借金のように積み重なっていくというもので、本人が自覚しないまま慢性的な睡眠不足になっています。
とある実験で、毎日6時間睡眠をしたグループの一週間後の脳の反応速度数値は、徹夜した翌日の脳とほぼ同じであり、二週間後には二日間徹夜した脳と変わらない数値になる事が判明しました。
つまり、ちゃんと眠って回復しているつもりでも脳は休みきれていないため、ダメージが借金のように膨らんでしまっているのです。
この睡眠不足症候群の怖いところは、本人が脳の衰えを自覚していないという点です。
毎日しっかり眠っていると思い込んでいるので、仕事や家事の能率が低下してしまっても睡眠不足が原因とはまず考えません。
そしてなぜか日中の眠気はあるため、寝ても寝ても眠いとなってしまうのです。
年を追うごとに短くなり続けている日本人の睡眠時間ですが、仕事や家事のパフォーマンスが低下するだけでなく、がんや認知症へのリスクが高まる事もわかっていますので、自分の睡眠時間が充分なものであるか、睡眠の質は良いものであるかを考えてみましょう。
たとえば、時計もテレビもない真っ暗な部屋で、自然に目が覚めるまで眠ってみます。
普段と同じ時間かそれに近い時間に起きられれば、毎日の睡眠時間は充分なものであると言えます。
ですが、普段起きている時間より2時間やそれ以上遅く起きた場合は、毎日の睡眠時間が充分ではなく睡眠不足症候群になっていると考えられます。
睡眠不足の借金は一度に返せるものではありませんので、就寝時間を少し早めたり、休日には少しだけ長く寝たり、日中に30分以内の短い昼寝をしたりして、少しずつ返済していくようにしましょう。
生活習慣の見直しをする事も大事です。
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「睡眠過多」が原因となっているケース
日本人の平均睡眠時間は7時間14分と言われていますが、もっと長い時間眠っているのに昼間も眠くなるという場合もあります。
いくら寝ても眠くなり、朝もよく眠れていない感じがしたら、それは睡眠過多かもしれません。
つまり、寝すぎによってかえって睡眠の質を低下させてしまい、実は充分な睡眠が取れていないという事です。
良い睡眠とは、寝た時間と質によって決まるのです。
たとえ短い睡眠時間であっても、深い眠りが得られているならば、それは質の良い睡眠となります。
逆に、どんなに長い時間眠っても浅い睡眠しか得られていなければ、脳も身体もしっかり休息できていないため疲れは取れません。
では、睡眠過多の場合はどのような対策をすればよいでしょう。
それは、思い切って睡眠時間を短くする事です。
眠いから寝る、睡眠の質が落ちる、また眠くなる、さらに寝る、睡眠の質はもっと悪くなると、睡眠過多のケースではこういった悪循環になりかねません。
いっそ睡眠時間を短くして、6時間未満にしてみましょう。
最初はつらいかもしれませんが、身体が短い睡眠時間でもちゃんと回復できるように順応していきます。
私たちには、「恒常性維持機構(ホメオスタシス)」という生体システムが備わっています。
この恒常性維持機構には、身体を健康に保つために睡眠へと誘う防衛本能のような働きがあります。
風邪で熱が出たら眠る、徹夜続きで行き倒れるように眠る、大きなケガや病気で眠ったまま意識が戻らない、これらはすべて身体が回復できるように、恒常性維持機構が深い眠りを取らせているのです。
寝ても寝ても眠くなる原因が睡眠過多である場合は、この恒常性維持機構の働きを信じて睡眠時間を短くする事をオススメします。
良質な睡眠を取るために効果的な8つの方法
寝ても寝ても眠いという人は、睡眠の質の悪さに原因がある場合が多いようです。
不眠症や過眠症、概日リズム睡眠障害や睡眠呼吸障害にしても、生活習慣を見直す事で症状が緩和されていきます。
栄養バランスの良い食事を摂るのはもちろん、質の良い睡眠を得るために出来る事は一つでも多く始めていきましょう。
1、朝起きたら朝日を浴びる
朝目覚めたら、まずカーテンを開けて太陽の光を浴びてください。
朝日には、眠気を起こすメラトニンを一旦抑制して、14~15時間後にまた活発になるよう働きかけます。
つまり、眠る時間になると活発化したメラトニンによって眠気が起きるため、スムーズに眠れるという仕組みです。
朝起きて太陽の光を浴びるだけで良く眠れるようになるのですから、利用しない手はないですね。
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2、食事の時間は一定に
仕事の関係上、毎日同じ時間に夕食を食べるのは難しいという人もいるかもしれませんが、通常食べ物を消化するのに2~3時間、天ぷらやステーキなどは4時間もかかると言われています。
寝る時に消化しきれていない食べ物が胃や腸に残ったままでは、眠ってからも胃腸は消化のために働く事になり、充分な休息を得る事が出来ません。
ですから、なるべく同じ時間に食べて、寝るまでに消化しきれる時間を作ってあげましょう。
もし、どうしても夕食が遅くなってしまう場合には、出来るだけ消化の良い物を食べるようにしてください。
3、運動は夕方までに
健康のためにと、どの年代にも軽い運動は推奨されていますが、あまり夜遅くから身体を動かしてはいけません。
眠るためには副交感神経が優位にならなければなりませんが、寝る前に運動をしてしまうと交感神経が優位になってしまいます。
交感神経が優位になったままの状態では、布団に入っても寝つくのが困難になります。
運動は夕方までとして、寝る前にはリラックスした状態でいましょう。
仕事帰りに1駅か2駅分歩いたり、買い物の途中で公園を散歩して帰るというのも良いですね。
4、アルコールやカフェインは寝る3時間前まで
アルコールを遅くまで飲んでいると、夜中に目が覚める中途覚醒を引き起こしてしまう可能性があります。
トイレに行きたくなったり喉が渇いたりと、何度も目が覚めてしまい眠りが浅くなってしまうのです。
また、カフェインには覚醒作用があるため、寝る前に飲むのはやめましょう。
夕食後のコーヒーやお茶までに留めておいてください。
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5、入浴は寝る30分前がベスト
私たちは、体温が上がってその後に体温が下がるタイミングで眠気が起きます。
ですから、入浴によって体温を上げ、徐々に体温が下がって眠くなってきた時に眠るのがベストなのです。
それが、寝る30分前です。
入浴する時間が早すぎたり遅くなったからといって眠れなくなるわけではありませんが、よりスムーズな入眠のためには寝る30分前がちょうどいい時間だという事を覚えておいてください。
そして、お風呂上りに飲むなら常温か冷たい水をコップ1杯にしましょう。
6、布団に入ってからのスマホ操作は厳禁
とはいっても、仕事上のメールなどは仕方がないのですが、基本的に寝る態勢に入ってからスマホをいじるのはやめましょう。
とくにアプリやゲームなどはご法度です。
以前は液晶のブルーライトが良くないとか言われていましたが、現在ではブルーライトが原因で眠れなくなるとは考えられていません。
それよりも、ゲームやLINEなどをして脳が刺激を受ける事が睡眠の妨げになるのです。
せっかく眠れるよう副交感神経が優位になっていたのに、脳が刺激を受ける事で交感神経が優位になってしまいます。
脳が覚醒してしまった状態では、とても寝るどころではありません。
布団に入ってもなかなか寝つけない入眠障害になってしまう前に、布団の中でスマホをいじる習慣をなくしましょう。
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7、眠れない時は寝室から出る
もし布団に入ってある程度の時間が経っても寝つけなかったら、いっそ寝室から出てしまうのも一つの方法です。
無理に布団に入ったままで眠れない時間を過ごしてしまうと、眠れないつらい時間を過ごした記憶がインプットされてしまい、次に布団に入った時に「眠れない時間をまた過ごさなければならないかも」と恐怖がよぎり、布団が嫌な場所になってしまうのです。
この状態が続くと、眠れないこと自体を恐れるあまり余計に眠れなくなってしまう「精神生理性不眠症」になってしまいます。
布団は脳と身体を回復してくれる癒しの場所で、布団の中で過ごす時間はすっと眠りに入っていく気持ちの良い時間だと思えるよう、布団の中で眠れない時間を過ごすという嫌な記憶は作りたくないものです。
ですから、眠れないと感じたら寝室を出て、眠れない事を意識せずに普段通りに過ごしてください。
脳と身体が睡眠を欲すればいずれは眠気が起きますので、そのタイミングを逃さずにしっかり眠りましょう。
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8、起きる時間を一定にする
寝不足を感じた時、休日に数時間遅く起きて調節しようとする人も多いようですが、それは間違いです。
30分や1時間程度なら問題ないのですが、何時間も遅く起きてしまうと1日のリズムが崩れてしまうのです。
朝食を摂る時間が遅くなり、昼食も夕食も当然ながらズレていきます。
そうなると就寝時間になっても眠くならず、夜更かしをしてしまう事もあるでしょう。
しかし翌日仕事があれば普段通りの時間に起きなければなりません。
その結果、寝不足は解消されるどころか悪化してしまいます。
睡眠不足を解消するには、起きる時間は一定にして、寝る時間を早める事で調整しましょう。
30分早く寝るだけでも、毎日続ければ効果があります。
まとめ
寝ても寝ても眠い、その原因は一つではありません。
ですが何が原因であれ、睡眠の質を上げる事で症状は緩和されます。睡眠の質を上げる事は健康な心と身体を作ることになり、生活の質を上げる事にもつながります。
しかし、それでも症状が治まらない場合や、生活に支障が出ているような場合には、病気が潜んでいる可能性もあります。
一人で悩まずに、すぐに専門の医療機関で診断を受けてくださいね。