
一日中仕事や勉強をしたり、運動したりして体はぐったり疲れているのに、なぜかなかなか眠れない、眠っても朝までぐっすり眠る事ができない、夜中に何度も目が覚めてしまって、しっかり眠りたいのに眠れないと悩んでしまうことはありませんか?
疲れているのに眠れないということが続くと疲労が溜まってきて日中も思いっきり活動できなくなってしまいます。
どうして疲れているのに眠れないのでしょうか?
その原因や対策について見ていくことにしましょう。
この記事の目次
眠りと自律神経
人間は自分の体を意識的にコントロールして生きているようですが、自分自身が無意識の内に脳が生命活動を自動的にコントロールしているという面があります。
脳は自分自身でありながら、自分の意志が反映されずに体を制御していることが多いということです。
睡眠も自分の意志でありながら、意志だけでは眠ることはできません。
それは自分の脳をコントロールして眠る事ができないからです。
人間が生きていくためには自律神経というものが非常に大きな影響を与えています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、これら双方が常にバランスをとりながら生命活動を維持しています。
朝起きてから眠るまでの間は交感神経が優位になって働いています。
また、眠っている間は副交感神経が優位になっています。
基本的に人間が眠っている夜になると副交感神経が優位になるはずですが、自律神経が乱れていると眠る時間になっても副交感神経が優位にならないために、身体的には非常に疲れていても頭が冴えてなかなか眠れないと言う状況になります。
交感神経が優位になっているということは、体が活動中だったり、ドキドキしていたり、興奮していたり、イライラしている時で、体の筋肉も緊張していますし、血管が縮んでいて血圧が高くなっています。
逆に副交感神経が優位になっているということは、身体的には活発に動かずに、リラックスしていたり、心が穏やかな優しい気持ちになっていたり、安心しているときです。
副交感神経が優位になっている状態というのは、まさに眠たくなってきた就寝時間前だったり、ぐっすりと眠っている状態なのです。
眠りとメラトニン
人間が眠りに落ちる時にはメラトニンというホルモンの分泌が欠かせません。
メラトニンは就寝時間が近くなった夕方になると多く分泌されます。
メラトニンが分泌されると体の深部の体温が一気に下がることで睡眠に適した体の状態になります。
メラトニンは体内時計と深い関係がありますし、抗酸化作用によって体の細胞の新陳代謝を促したり、疲れた体をケアするという働きもあります。
よくある眠れない8つの原因
疲れているはずなのに眠れないのには、なにかしらの原因があります。
ここでよくある眠れない原因をみていきましょう。
あなたはこれのどれかに当てはまっていたら注意が必要です。
1,夜に電子機器を使っている
仕事で一日中パソコンの前に座っていた人でも、夜に家に帰ってきてから娯楽やリラックスのためにパソコンやタブレット端末でゲームやメールのやり取りをしたり、スマホでニュースを見たり、SNSをしたり、ネットショッピングを長時間しているという人は多いと思います。
現代人にとってこれらのツールは、もはや生活に無くてはならない存在になりました。
中毒化しているという人も多く、片時もスマホを手放せないという状態になっている場合も珍しくありません。
パソコンやタブレット、スマホなどの電子機器からはブルーライトという光が出ていますが、このブルーライトを眠る時間の前まで浴びていると副交感神経が優位になれなくなるので、なかなか眠れなくなります。
人間には体内時計というものがありますが、体内時計は、その人の生活リズムや体調によって個人差があり、非常に繊細なものです。
人間が生活していく中で、外部からの刺激や情報を体中のいろいろな場所で感知して体内時計の誤差がないように調整されるものでもあります。
ブルーライトを就寝時間の前に浴びると、体内時計を左右している視光叉上核という視覚中枢神経を刺激して体内時計をつかさどる脳に刺激を与えます。
光の刺激を与えられた脳は体内時計を調節し、まだ就寝時間ではないと判断してしまうことで睡眠に欠かせないホルモンであるメラトニンの分泌を抑えてしまうのです。
メラトニンが充分分泌されないために、眠りたいのに眠れなくなります。
2,体内時計が狂ってしまっている
朝になると目覚めて、夜になると眠たくなるということは、体の中で体内時計が正確に働くことによってコントロールされています。
夜になっても眠れないという人は、体内時計が狂ってしまっているということが原因かも知れません。
仕事の内容によっては朝に起きて、夜に眠るということが困難な場合もありますが、基本的には人間は朝の朝日とともに起きて、日が沈んで辺りが暗くなると眠るという行動をとります。
太陽の動きと体内時計のリズムというのは非常に関係が深いのです。
しかし、夜更かししたり、朝になっても起きないというようなことを不規則にしていると、生活リズムも乱れてしまいます。
生活のリズムが不規則になると体内時計が徐々に狂ってきてしまいます。
体内時計が一度狂い出すと自律神経は乱れてしまいますし、睡眠ホルモンであるメラトニンも的確な時間に分泌されなくなっていくのです。
3,カフェインを就寝前に摂っている
カフェインは眠気を覚ます成分として広く知られています。
その代表各がコーヒーでしょう。
しかし、カフェインというものはコーヒーだけでなく、紅茶や緑茶や栄養ドリンク類にも入っています。
カフェインは神経を興奮させる効果がありますので、副交感神経を優位にするべき夜にカフェインを摂取してしまうと、神経を刺激してしまい副交感神経が優位になることができません。
4,精神的に不安や心配事がある
副交感神経が優位になるためには、心を落ち着かせること、リラックスすることが非常に大切です。
しかし、日常の生活で不安なことがあったり、心配事があったり、悩み事があったりすることで眠る前に考え込んでしまったり、無意識でも精神的にストレスをかかえていることがあります。
精神的にリラックスできずに何らかのストレスを抱えていると交感神経が常に刺激されているので副交感神経が優位になれません。
体が疲れていても、神経が過敏に働いていると脳は交感神経を優位に立たせてしまいます。
このため、体が疲れていても眠れなくなってしまうのです。
5,セロトニンが不足している
睡眠のためにはセロトニンというホルモンが必要です。
セロトニンは幸せホルモンという別名もありますが、人間の精神に大きな影響を与えます。
セロトニンが分泌されると精神的に安心したり、リラックスした状態になります。
逆に、セロトニンが不足すると不安になったり、うつ病になったりもします。
また、セロトニンは睡眠のために欠かせないメラトニンというホルモンの合成に必要なホルモンでもあるため、セロトニン不足がメラトニン不足につながり、結果的に不眠症や寝不足の原因になります。
6,体が疲れすぎている
体が疲れていると一般的にはぐっすりと質の良い眠りになるはずですが、体が疲れすぎていると逆に睡眠の質が悪くなります。
人間は眠っている間に成長ホルモンなどによって体の疲れをとったり、壊れている箇所を修理したりします。
しかし、体が疲れすぎていると眠っている間にしっかり体力を取り戻したり、修復できないまま次の日を迎えてしまうことになるのです。
次の日に疲れを持ち越すことを繰り返していると、どんどん疲れが溜まってきますし、睡眠の質が下がってきます。
この状態は睡眠における悪の連鎖を引き起こしてしまっている状態になるので、どこかでしっかり体を休めてリセットすることが大切です。
7,就寝場所の環境が整っていない
体は睡眠を欲していても、睡眠をとる場所である寝室の環境が睡眠に適していないと睡眠の質が悪くなりますのでぐっすりと眠る事ができません。
寝室は、暗くて静かで温度や湿度が適温であること、落ち着けるスペースであるということが重要です。
就寝時間になっても騒音で周りがうるさかったり、部屋の照明が明るかったり、外の街頭やネオンの光が入ってきたり、眠るために暑すぎたり、寒すぎたりすると、どうしてもなかなか寝付けません。
眠る環境の好みはそれぞれ個人で違いますが、もう一度自分の就寝場所の環境を見直すことも大切です。
8,眠れないという不安が悪循環に
床に入って数秒で寝てしまう寝入りの良い人もいますが、1時間近く眠る事ができないという人もいます。
明日のために早くぐっすり眠らなければダメだと思えば思うほど眠れなくなるという経験はありませんか?
眠れないと悩めば、その悩みが脳や神経を興奮させてしまうので逆に眠れなくなってしまうのです。
疲れているのに眠れない時の対策は?
リラックス
睡眠には副交感神経を優位にすることが何より大切です。
精神的に不安定だったり、悩んでいたり、イライラしていると神経が常に刺激されてしまうので交感神経の働きが活発になります。
就寝前はあまり深い考え事をしないで、心を落ち着かせること、色々なことを気にしすぎないようにしましょう。
規則正しい生活をする
毎日規則正しく生活していると体内時計が正確に働いているので、時計を見なくても就寝時間が近づくと自然と眠気が出てきてスムーズに眠る事ができます。
入眠が早ければその分疲れも取れることになりますよね。
体は疲れているのに眠れない場合は、体内時計を整えるためにも、規則正しい生活を意識して送るよう心がけましょう。
太陽の光を浴びて活動する
体内時計の乱れをなくすためには、朝起きてカーテンを開けて朝日をしっかりと浴びて活動を始めることです。
また、暗くなったら部屋を暗くして活動量を抑え、夜更かしせずに一定時間に眠ることが大切です。
光と睡眠には深いつながりがあるので、朝起きたら明るい光を浴びて朝食を食べましょう。
また、明るい時間帯に活発に活動して暗くなったら静かに過ごすなど、行動にメリハリを付けるとより入眠しやすくなります。
寝室の環境を整える
どんなに体が疲れていても、眠る場所の環境が整っていないと質の良い睡眠を取ることはできません。
睡眠の質が悪いと体の疲れはどんどん蓄積していくので慢性的に体が疲れてしまいます。
寝室の環境は個人的な好みもありますが、明るい部屋や騒音がうるさい部屋では熟睡できませんので、見直すようにしましょう。
真っ暗でないと眠れないという人もいますが、寝室は20~30ルクスほどのほのかな光がある方が眠りやすい場合が多いです。
音や光はカーテンや二重サッシなどで調整すると良いでしょう。
寝室の温度は、夏は25℃、冬は15℃、湿度は50%ほどが良いでしょう。
エアコンなどで温度を一定にするのも良いですし、乾燥が気になる場合は加湿器などで湿度を調節しましょう。
部屋を落ち着いた雰囲気にするのも良い方法です。
寝具を見直す
人間は1日8時間ほど眠ると計算すれば、人生の3分の1は睡眠していることになります。
これだけ長い時間寝具を使って眠っていますが、寝具を自分の体に合わせてしっかり選んで使っているという人は意外と少ないのではないでしょうか?
特に敷布団やマットレスは体をしっかりと休ませるために工夫を凝らしたものがたくさんあります。
また、枕も素材や首の角度に合わせた様々な高さのものがあります。
寝具売り場には専門の知識を持ったスタッフを常駐させているところもあります。
掛け布団なども総合的にアドバイスしてもらいながら自分にあった寝具を使って眠ることで、ぐっすりと眠る助けになるでしょう。
まとめ
体が疲れていて本来はぐっすりと眠れるはずなのに、なかなか寝付けなかったり、質の良い睡眠がとれない場合があります。
原因は様々ですが主な理由には、体内時計が狂っていたり、自律神経が乱れていることなどが考えられます。
また、精神的に不安定になっていたり、神経がリラックスできない状況が睡眠を妨げます。
パソコンやスマホなどの電子機器を就寝時間直前までずっと使っていることは、一日の楽しみでもありリラックスタイムには欠かせないかもしれませんが、これらを使ってやり取りをすることで神経は興奮状態になりますし、視神経を刺激することで副交感神経が優位になりません。
一般的に体が疲れているならば、しっかりと質の良い睡眠をとることができるはずです。
自分自身の生活を規則正しいものにしたり、精神的にストレスを溜めないようにしたり、身の回りの環境を整えることで、疲れを排除できるよう質の良い睡眠を取るようにしましょう。