
スマホやパソコンを触る機会が増えてきたこともあり、今では多くの方が首こりに悩まされていると言われています。
首こりは症状が悪化すると肩こりや頭痛、不眠にまで発展することがあり、また一度患ってしまうとなかなか改善できないため本当に辛いコリの一つです。
また、首こりと肩こりは同じ原因と考えている方も多いですが、首と肩のこりは違います。
ここでは首こりの原因と解消法についてご説明していきます。
この記事の目次
首こりと肩こりって違うの?
首こりと聞くと肩のこりを思い浮かべる方も多いと思います。
首の筋肉が疲れたことが原因で肩が痛くなることもありますが、これは肩こりで首のこりではありません。
最近ではスマホやパソコンなどを使う機会も増えてきているので、首のこりを覚える方も多くなってきていますが、首こりは肩のこりを解消させても、良くなることは決してありません。
首こりと肩こりは切り離して考えることが大切です。
首こりって何?
首こりとは特に首の筋肉の鈍い痛み、圧迫感などの症状を呼ぶ言葉です。
違和感や不快感などがある場合もありますが、それを総称して首こりと言います。
日常的にデスクワークなどで首を酷使することがある方などに多い症状で、最近ではスマホやパソコンなどを私用で使う方も増えてきているため、患者数も年々急増しています。
また、首こりは視覚と深い関係があるという特徴があります。
目を過剰に使うことで首こりを発症することもあり、メガネなどをかけている方にも多く首こりの人がいるようです。
首こりの主な原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
首こりの原因とは?
首こりの原因には様々なものが考えられます。
一つずつ見ていくことにしましょう。
頭を支えている負荷
首は頭を支える重要な役割をしているパーツです。
一般的に頭の重さは3kg~4kgありますが、その重さを細い首だけで支えることになりますので、負荷を常に受けていることになります。
負荷を受けている首周りの筋肉は一日中働いて、緊張状態になりますので、凝るのも仕方のないことですが、この首を支える姿勢が悪いと首への負荷は倍になって圧し掛かることになりますので、コリの症状が激しく出てくると言う訳です。
パソコン操作などのデスクワークをしている方の場合、同じ姿勢を続け首がストレートネックに固定されてしまいますので、首こりになりやすいです。
また、スマホを常用している方の場合も、同じ姿勢で端末を眺めることが多くなりますので、この首こりの症状が強く出てしまいます。
眼精疲労
メガネが合っていなかったり、視力が低下しているにもかかわらず、そのまま過ごしていると慢性的な目の疲れや目の筋肉の緊張から、首こりが起こります。
長時間目を使っている場合も同様、その疲れがピントを合わせている毛様体筋などに溜まってきますので、首こりの原因となります。
また、こうした過度な疲れと緊張はストレスにもなりますので、そのことが要因となって首こりが出てしまうことがあります。
血行不良
筋肉が長く同じ状態で緊張し続けると、血行不良の引き金となります。
血行不良を起こしてしまうと、筋肉の働きに必要な栄養分や酸素も運ぶことができなくなるため、より筋肉が緊張し、回復することができなくなってしまいます。
こうしたことの積み重ねで首こりを起こしてしまうのです。
運動不足
首はもともとあまり動かすものではなく、一定の方向に向けていることが多いため、筋肉が激しく動く部分ではないことから血行不良になりやすい箇所と言えます。
そのため、運動不足という場合、コリを覚えやすくなります。
首をぐるっと回したり、体全体を動かして血行を良くしていないとすぐ凝ってしまうのです。
ストレス
肉体的、精神的にストレスを受けると人は自然と身構えることになります。
普段よりも多く筋肉が緊張してしまうのです。
一時的なストレスであれば、その日寝ている時などに活発になる副交感神経の働きにより筋肉の緊張がほぐれ、回復されていきますが、長くストレスを受けている場合、その緊張が少しずつ蓄積されていきますので、首こりの原因となってしまいます。
寒さ
冬などの寒さでも首こりの原因となります。
体などは洋服で暖かくしていることもあり、冷える心配もありませんが、首は常に外気にさらされていて、寝ている時にも布団から出てしまっている場所です。
そのため寒さから常に筋肉が緊張してしまいます。
これがやがて首こりとなって現れます。
首こりと睡眠の関係
首こりについては大まかですが、その仕組み、原因がわかっていただけたと思います。
しかし、「睡眠とどう関係があるの?」と思った方も多いことでしょう。
実は首は様々な神経の通っている場所と言うこともあり、睡眠など神経と関係の深いものに強い影響を与えてしまうのです。
首と睡眠にはどのようなつながりがあるのでしょうか?
自律神経と首こりの関係
自律神経とは身体を健康に働かせるために、私たちに備わっているもので、睡眠にも深く関係のある神経の一つです。
自分の意志とは関係なく働いているという特徴があります。
その自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがありますが、それぞれ別の働きをしています。
「交感神経」は活動時に活発に働き、「副交感神経」は睡眠時などリラックスしている時に優位に立つ神経で、その時の私たちの状況に応じて随時切り替えながら働いています。
実はこの自律神経は、頚椎と頭蓋骨の接続されている場所に集中しているのです。
しかし、その場所に何らかの異変があり、神経が圧迫されてしまうと、神経の働きが十分に働かなくなってしまいます。
つまり、首こりを起こしてしまっていると首の筋肉が緊張しているため、神経の伝達が上手く機能しなくなってしまうのです。
自律神経の働きと睡眠
自律神経の伝達が首こりにより上手く機能しなくなると、睡眠にも大きな影響が出てきます。
私たちが起きている時は自律神経の「交感神経」が働いていますが、そこから眠るためにはどうしても「交感神経」を「副交感神経」に切り替えなくてはいけません。
しかし、首こりでこの自律神経の伝達が遅れていたり、滞ったりすると、自律神経の働きが十分に得られなくなります。
つまり眠れなくなってしまうのです。
首こりが引き起こす自律神経の乱れとは?
首のこりを感じるようになると、自律神経の働きが悪くなってしまっています。
健康な状態の自律神経は車で言うとニュートラルな状態で、常に必要に応じて切り替えが可能になっています。
ですが、首こりにより自律神経の伝達が悪くなると、この切り替えが上手く作動しなくなります。
そのため前進したいのにバックしてしまったり、バックしたいのに止まってしまったりするのです。
睡眠に必要な「交感神経」から「副交感神経」への切り替えや、起きて活動するために必要となる「副交感神経」から「交感神経」への切り替えができなくなります。
首こりが引き金となって、自律神経が乱れ、そのことが原因となって睡眠の状態にも変化が現れることになるのです。
もちろんこの自律神経の乱れは睡眠だけに影響を及ぼすわけではありません。
体のコントロールが付いていかなくなり、冷えやのぼせ、ひどくなれば血圧や体調の異変にまで影響してきます。
また、精神状態にも悪い作用が出てくることになるので、自律神経失調症をはじめ、うつや精神疾患の引き金となってしまうのです。
たかが首こりと軽視している方も多いと思いますが、実は重大な病気の要因ともなりますので、注意が必要です。
目の疲れ、ストレスでも自律神経が乱れ、睡眠不足に…
首こりの原因に目の疲れやストレスなどを挙げましたが、こうした疲れやストレスからも自律神経は乱れることになり、やがて睡眠不足の原因となります。
どうしてなのでしょうか?
本来ストレスは、私たちの中で生命の危機と捉えられています。
ストレスと自律神経の仕組みを動物に例えて分かりやすく話を進めていくことにします。
シマウマがライオンに狙われている時を想像してください。
ライオンに狙われたときシマウマは強いストレスを感じることになります。
まさに生命の危機です。
そのストレスから逃れるために働くのが自律神経である交感神経です。
生命を守り、逃げるためにはシマウマは走らなくてはなりませんが、走るためには必要な酸素や糖分を、血液循環を通じて全身に運ぶ必要があります。
つまり交感神経がその働きを上げるため、興奮状態を作り出します。
血圧を上げ、より多くの酸素や糖分を運ぶことで走り続けることができ、生命の危機から逃れる可能性を上げているのです。
これは私たちの本能にも備わっていますので、生命には関係がない日常のストレスでも交感神経が強く働いてしまうと言う訳です。
ストレスを長く継続して感じると私たちの中では、常に交感神経が優位に立っていることになります。
つまり副交感神経が全く働かなくなり、これが自律神経を乱してしまいます。
首こりからくる自律神経の不調に加え、首こりの原因からも自律神経の乱れを招くのでダブルで自律神経にダメージを与えることになってしまい、睡眠をとることができなくなります。
首こりを解消することはもちろん大切ですが、その原因そのものを排除するよう心がけることも自律神経を正常に働かせ、眠るためには必要なのです。
まずは首こりのケアを
首こりを効果的にほぐすために運動やストレッチを取り入れていきましょう。
少し凝ったなと感じたときには首を回したり、首の筋肉を伸ばす運動を取り入れてみると良いでしょう。
筋肉を定期的に伸ばし動かすことで、コリも必ず軽減されていきます。
また、首こりの原因を取り除いていくことも大切です。
デスクワーク環境の見直しを
仕事場のデスクワーク環境も見直してみると良いでしょう。
目線が常に下を向く位置にパソコンを置き、正しい姿勢でパソコンが使用できるよう環境を整えていきましょう。
肘の角度も90度を保てるように、椅子の高さも調節してくださいね。
首を冷やさない
首は服からも出ていたり、布団からも出てしまっているため、冷えの影響を受けやすい場所です。
外出時や寝る時などは首を温めるよう心がけましょう。
マフラーやネックウォーマーなどを使用すると首を冷やすこともありません。
ぜひ日常の中で首を冷やさない工夫をしてみてくださいね。
また、首の血行を上げるためにも、夜はゆっくり肩周辺まで湯船に浸かるようにしてください。
マッサージや市販薬で首こりを上手に解消しよう
マッサージなどは適度に首のコリをほぐし、血行を良くすることかが期待できます。
ただし強く押し過ぎると反対にこりを強めてしまいますので、程良い力でマッサージを行ってみると良いでしょう。
また、市販薬など使うのもアイディアです。
筋肉のこりを解し、痛みを取り除いてくれる湿布薬や塗り薬は首こりにも効果的です。
中から疲れを取り除いてくれるビタミンB群などの有効成分を多く含んだビタミン剤なども活用してみると良いでしょう。
深い呼吸でリラックス+自律神経を整えよう
深呼吸のような深い呼吸、腹式呼吸法はリラックス効果があり、自律神経を整えてくれる働きがありますので、毎日の習慣としてみましょう。
布団に入ってから3分ほどでかまいませんので、腹式呼吸法を行って、リラックスと自律神経のバランスをアップさせてくださいね。
有酸素運動とストレッチを組み合わせたヨガやピラティスなども首こりと合わせて、自律神経を整える効果が期待できますので、おすすめです。
まとめ
首は、睡眠に大切と言われている自律神経の通り道です。
そのためその首が凝ってしまうと、睡眠不足の引き金となります。
長く首が凝っているとその凝りから自律神経が圧迫され、やがて乱れやその働きを弱めてしまいます。
つまり睡眠にまで影響が出てしまうと言う訳です。
首こりは他の肩こりなどと違い、デリケートな部分でもあるため強く押したりしてほぐすことができませんよね。
それだけ、首こりを解消することは難しいのです。
また、首こりから起こる睡眠不足もいったん見られるようになると回復させるのも難しくなります。
首こりをなくしていくようケアしていくことはもちろん大切ですが、それと同時に首こりを作らない環境を整え、自律神経の乱れを整えていく3方向からの対策を取っていきましょう。
3つの方法からの対策を同時に試すことで効果的に首こりと睡眠不足が解消できます。
首こりを未然に防ぎ、睡眠不足を引き起こす前に首こりを防いでいけるよう早めの対策を取ってみるのも良いですね。