
眠りたいのに眠れないというのは心身共に辛いことですし、できるだけ解決したいことです。
眠れないのに眠らなければいけないというのは、ある意味別のストレスがかかります。
しかし、そもそも眠たくならないのにどうして眠らなければいけないのか、と考えたことはありませんか?
そもそも人間は寝ないとどなるのでしょうか?
また、眠らないことでの影響とリスクはどのようなことがあるのかについてご紹介します。
この記事の目次
人間の不眠連続ギネス記録(264時間)を持つランディ・ガードナー
睡眠時間が8時間という人は1日の3分の1の間眠っているということです。
生まれてから死ぬまで毎日のことですし、人生の3分の1の時間を睡眠にあてています。
ですから人生において睡眠というのは非常に重要なもので、人間にとって必要不可欠なものであるということが分かります。
そんな大切な睡眠を取らないと人はどうなってしまうのでしょうか?
眠らないリスクはあるのでしょうか?
人が眠らなかったという時間の最長記録はアメリカのランディ・ガードナーという人で、不眠連続264時間(約11日間)です。
1964年の記録当時彼はまだ17歳で、それ以上連続で起きていたという記録が現在まで誰もないのですから、人間は眠らずには生きられないということです。
生命を維持するためにも睡眠で休息する必要があるので「寝ない」ということがある程度しか持続できないということになります。
眠らないリスクとしては、イライラして怒りっぽくなったり、集中力がなくなります。
また、起きていても徐々に起きているのか寝ているのか、現実と非現実との境がなくなってきて妄想が見えたり、普通の会話が出来なくなったり、体が震えてきたりすることもあります。
人間は眠らないように頑張っても最後は自分の意識ではなく睡眠を自然に取ってしまうようにできています。
そもそもどんなに眠れない人でもいずれは生理現象として眠ってしまうと言うことです。
睡眠はそもそも何のために取るのか?
毎日睡眠時間を取らなくても暮して行けるならば、今よりも数時間も自分の時間が増えるのですから、充実した毎日を過ごせるのではないかと考えてしまいます。
たまに仕事が忙しくて数日徹夜が続くことがあっても、そのあとはしっかり睡眠を取って休息を取ります。
このように人間は数日眠らないということがあっても、そのあと睡眠することによって休憩を取ります。
眠らないと脳も体もずっと休憩を取らずに働き続けることになりますが、脳や体は適度に休憩をとらないと精神に異常をきたしたり、健康を損ねます。
特に脳の中でも大脳を睡眠によって休ませるというのが睡眠の最大の目的です。
人間は他の動物よりも大脳発達しており、その事が人間であることの特徴であり、睡眠はその大脳のためにあると言っても過言ではありません。
人間の大脳には大脳皮質が集まっており、この器官を定期的に休ませることによって生命を維持し、全身をコントロールするのです。
ナポレオンが眠らないという伝説はウソ?
フランス皇帝ナポレオンは1日に3時間しか眠らなかったという伝説は有名です。
しかし、最近の定説では、このような事実はなかったという説が有力です。
ナポレオンは睡眠時間を削ってでも、意欲的に領土を広げたということから、いつの間にか、ナポレオンは3時間の睡眠しか取っていなかったというような話になったのではないかと言われています。
様々な研究によると、ナポレオンの側近を10数年行ったという人の回顧録では、ナポレオンが1日7時間の睡眠を取り、尚且つ、昼寝の習慣も持っていたと記載されています。
また、寝ている時間は寝室に人を近づけなかったり、良い知らせであればわざわざ睡眠を妨げてまで報告する必要はないとするほど睡眠時間を大切にしていたとされています。
ナポレオンは睡眠時間3時間という伝説は、現在では偽りであるというのが定説のようです。
眠らないとどうなるのか?その影響とは?
人間は長時間睡眠を我慢できたとしてもずっと睡眠を取らないということは出来ません。
本人は起きていたくても、脳や体は眠らない状態を受け入れないのでいつの間にか眠ってしまいます。
睡眠不足で死んでしまうということはないと考えてよいでしょう。
しかし、睡眠時間はあっても、短時間で睡眠不足の場合はどうなるのでしょうか?
眠らないリスクとは主に下記のような症状があげられます。
集中力がなくなる
学生時代など若い時は2~3日眠らなくても元気いっぱいで、学校に行ったり、遊びにいったりできたということを経験したことがあると思います。
睡眠なんて1~3時間ほどで充分と思っていたという人もいるでしょう。
それほど若いときは睡眠で体を休憩させなくても体力があるので健康を維持できていました。
しかし、いくら若くて体力があっても睡眠時間が足りない状況では眠らないリスクとして集中力が下がるということがあります。
個人差がありますが、自分では集中しているつもりでも、睡眠時間が足りている時と比べるとパフォーマンスが下がっていますし、思ったように物事に集中できなくなっています。
明日テストがある、仕事で大切なプレゼンがあるという日の前は、集中力を上げるために、どんなに忙しくてもしっかり眠って翌日の集中力を下げないようにすることが成功の秘訣です。
眠らないリスクとして、集中力が下がることで自分の最高のパフォーマンスが出来ないというリスクがあります。
イライラして精神状態は不安定になる
人は数日眠らない、もしくは睡眠時間が足りないという状態では精神的に不安定になります。
眠らない、睡眠不足の人は、睡眠時間が充分足りている人に比べて、脳の左扁桃体という記憶や感情をコントロールする部分がネガティブな方向に過剰に反応するというリスクを負うとされています。
また、扁桃体が悪い方向に作用しても、脳の内側前頭前野という部分が扁桃体が過剰に反応して感情を高ぶらせることなく制御する働きがあるのですが、睡眠が十分足りていないと内側前頭前野と扁桃体のつながりが弱まってしまうことで精神的にネガティブな方向に流れやすい状況になります。
眠らない、睡眠不足の状態においてはちょっとした負の原因であるにも関わらず、脳が過剰に反応して、大きくストレスに感じたり、イライラしたり、必要以上に不安や心配の気持ちが高まったりして、精神状態を不安定にさせます。
眠らないリスクが、もっと悪い状態になると精神不安の状態がうつになったり、社会不安障害や統合失調症になったりすることもあります。
関連記事
>>イライラを抑えるだけじゃない!GABA(ギャバ)の睡眠効果と副作用
>>イライラして眠れない!PMS(月経前症候群)の不眠症状と対策
>>夜中にイライラして眠れない原因とすぐできる解消法15選!
テンション(やる気)が上がらない
眠らないリスクとして、テンションが上がらないということも多くあります。
テンションが上がらないというのは、やる気が出ないと言うことでもありますが、睡眠不足だと脳がしっかり休めていないですし、目覚めていません。
また、脳の記憶もすっきりと整理されていません。脳がやる気になるためには、充分な休息が必要なのです。
脳が充分休んで元気にならないと、新しいことにチャレンジしたり、意欲的に取り組む気力が湧きません。
つまり、人間として前向きに生きていく意欲が上がらないというリスクがあるわけです。
脳が常に意欲的に物事に取り組むコンディションに整えるために絶対的に睡眠は必要です。
頭痛やめまい、吐き気を起こす
睡眠不足や不眠症の最大のリスクは脳や体が慢性的に疲労し、なかなか改善されないことです。
人は睡眠不足になるとそのストレスが原因で頭の中の血管が膨張し、周りの神経を刺激するので頭痛が起こります。
頭痛の中でも、こめかみがズキズキしたり、目の奥の方が痛かったり、後頭部が痛い、頭をぐっと締め上げられているような頭痛というのが特徴です。
また、睡眠不足になるとそのストレスで平衡機関をコントロールする耳の中の三半規管がむくむことによってめまいが起きます。
立ちくらみがしたり、目の前がぐらぐらしたり、目が回ったりという症状が起きます。
睡眠不足でめまいがして、大きく転倒したり、頭を強打したりして大きなけがをするリスクもあります。
また、睡眠不足になると自律神経が乱れてくることによって体調も悪くなり、吐き気に苦しむこともあります。
病気の引き金になり経済的損失が増える
不眠症などで睡眠不足が続くと実際に様々な病気になるリスクも高まります。
例えば、
・目の下のくまによる老け顔
・肌荒れや湿疹
・肥満
・糖尿病
・高血圧
・うつ病
・脳梗塞
・心筋梗塞
・肝臓疾患
などがあげられます。
また、学校や会社に遅刻しやすくなりますし、車を運転する人は事故を起こすリスクが高まります。
さらに現在では睡眠不足や睡眠障害による経済リスクの深刻さが発表されており、アメリカでは年間1,500億ドルもの損失となっているそうです。
日本でも同じように眠気や睡眠不足による経済損失を、作業効率の低下が3兆665億円、欠勤が731億円、遅刻が810億円、早退が75億円、交通事故が2,413億円と発表されています。
すべて合わせると日本で年間3兆4,694億円もの経済損失が出ているのですから驚きですね。
関連記事
>>うつ(鬱)病による不眠症の原因と9つの対策
短時間睡眠で大丈夫な人もいるのはなぜ?
眠らないことのリスクはいろいろありますが、人は1日に何時間眠れば睡眠不足のリスクを回避できるのかということが疑問になります。
睡眠不足にならないために人は何時間眠ればいいのかというのは、まさに個人差があります。
睡眠時間が6~8時間ほどという人が一般的に多いですが、中には10時間は寝ないとすっきりしないという人もいます。
また、3~4時間ほど眠れば充分というショートスリーパーの人もいます。
最適な睡眠時間というのはその人が持つ遺伝子にも関係しているといわれているからです。
実際に短時間睡眠でも充分体を休ませることが出来るという遺伝子を持つ人もいます。
短時間睡眠でも大丈夫な家系があるということですし、反対に長時間眠らないと体が持たないという家系もあります。
関連記事
>>あなたもショートスリーパーになれる!?短時間睡眠を継続する方法って?
睡眠は時間じゃなくて質が問題
睡眠不足はいろいろなリスクを生みますので問題があります。
しかし、最適な睡眠時間というのは個人差がありますので何時間眠ればよいと言うものではありません。
睡眠時間は時間の長短が問題なのではなくて、いかに質の良い睡眠を取ったかということが大切になってくるのです。
短時間でもぐっすりと眠ることができれば、翌朝も元気よくすっきり目覚めることが出来ます。
長時間睡眠をとっても浅い睡眠や、夜中に何度も起きるという睡眠では朝しっかり目覚めることができませんし、倦怠感があったり、やる気もおきません。
睡眠は時間が問題なのではなく、その質をいかに良いものにするかということが大切なのです。
睡眠は浅い睡眠と深い睡眠を定期的に繰り返しています。
睡眠の質にもっとも重要なのは、入眠後3時間ほどの間に起こる最初の深い睡眠をいかに深く睡眠するかということです。
この最初の深い睡眠をより深い睡眠にするかということさえクリアすれば、睡眠時間はさほど問題ではありません。
睡眠時間が短くても毎日元気に過ごしているという人は、この深い睡眠の質が良いということでもあります。
関連記事
>>睡眠の質を高めるための方法20選!
眠りすぎるとどうなる?
眠らない、眠れないことに対する不安やリスクは考えますが、人間は逆に眠りすぎると何か問題はあるのでしょうか?
疲れていて、翌朝気がつくともうお昼だったという経験があるという人は多いでしょうが、このようにいつもよりも長時間眠ってしまったとき、体が何となく重く感じたり、頭がぼっとするということはありませんか?
しっかり眠ってすっきりするはずなのに、逆にやる気が起きずにダラダラと1日を過ごしてしまうことも多いかと思いますが、過度の睡眠は体の体内時計を大幅に狂わすことになって逆に倦怠感や脱力感を引き起こします。
また、脳がなかなか起きることが出来ずに体に力が入らないということになります。
睡眠時間が長くても睡眠のリズムを狂わせることが睡眠の質を悪くしています。
さらに、長時間睡眠は筋肉が緩みますが、脳の血管が必要以上に拡張することで三叉神経という脳神経を刺激して頭痛を起こします。
他にも、腰が圧迫され腰痛の原因にもなります。
関連記事
>>寝過ぎるのは腰痛になる以外にもリスク満載!寝ても眠い時の対処法って?
自分にとって最適な睡眠時間を探す
睡眠時間は不足しても多すぎても体のために良くありません。
このため、自分には何時間ぐらいの睡眠が一番体調にいいのか、心地よいのかということを調べることが大切です。
また、その睡眠のサイクルをしっかり作るためにも毎日規則正しく生活することが重要です。
まとめ
人間の体は眠るように出来ています。眠らずに生きることは出来ません。
長時間眠らないことにより徐々に精神的にイライラしたり、集中力がなくなったり、倦怠感が出たりします。
また、もっと酷い状態になると、会話が出来なくなったり、幻覚が見えたり、体が震え出したりします。
このような酷い状態というのは稀で大体の場合、そのような状態になるまでに自然に眠ってしまいます。
睡眠時間が足りないという睡眠不足の場合も精神的に不安定になったり、頭痛がしたりします。
睡眠不足は自律神経を乱しますし、感情をコントロールする脳の機能が低下するので物事をネガティブに考えてしまうことで、酷い場合はうつ状態になることもあります。
睡眠はどれだけ長い時間眠ったかということが重要なのではなく、どれだけ質の良い睡眠を取ったかということが重要です。
眠らないリスクもいろいろありますが、短時間でも深くぐっすり眠る事が大切です。