
仕事の都合上、交代勤務で働いている方もいらっしゃるでしょう。
シフト勤務の場合、一日の勤務時間を制限するために、様々な体制が組まれており、三交替、二交替など日ごとあるいは、期間ごとに複数の勤務時間を移動しなくてはなりません。
こうした交代勤務で一番問題となってくるのが睡眠です。
いくら慣れているとはいえ、日または期間ごとに、睡眠時間を変えるということは簡単なことではありません。
勤務時間に眠気を催すこともありますし、眠らなくてはならないのに、なかなか眠ることができないケースも出てきます。
このような睡眠の悩みは一時的には大した問題ではありませんが、長く続けることで睡眠障害を発症することもあり危険です。
その代表が、交代勤務睡眠障害です。
睡眠時間帯が頻繁に変化することで、不眠をはじめ、身体、精神へ悪影響を与え始めます。
ここでは、そんな交代勤務睡眠障害の原因と対策について詳しく見ていくことにしましょう。
この記事の目次
交代勤務睡眠障害になりやすい、職業って?
交代勤務睡眠障害になりやすい職業としては以下のような職業が挙げられます。
夜勤などの多い看護師や薬剤師、介護士、医師や放射線技師、臨床検査技師などの医療従事者をはじめ、深夜営業を行うコンビニやスーパー、居酒屋や弁当屋などの飲食店、清掃業やホテルなどのサービス業、その他にも工場やトラック運転手、タクシー運転手、ガードマン、鉄道関係などで働く方は夜起きて働き、昼眠ると言う夜間のシフトがありますので、交代勤務睡眠障害になりやすいと言えるでしょう。
ここで挙げた職業は、ほんの一例ですが、交代勤務で働いている職業の方は交代勤務睡眠障害に陥るリスクが高いですので、交代勤務睡眠障害の症状などをしっかり理解しておくことが大切です。
交代勤務睡眠障害の症状とは
交代勤務睡眠障害の症状は、個人差がありますが、始めのうちは勤務後疲れているはずなのに眠ることができない、寝ている途中で目が覚めてしまうなど睡眠の状態がほとんどです。
しかし、眠ることができないと、やはり体の疲れが取れることはなく、それが徐々に蓄積されていきますので、仕事中なのに眠い、寝たはずなのに倦怠感が残る、集中できない、やる気が起きないなど身体の不調となって表れます。
この状態がまた長く続くと精神疾患に陥る危険性や様々な病気を引き起こす原因にもなるため、厚生労働省でも夜勤労働者に注意を促しています。
工場勤務や看護師など夜間に働いている方は多いですが、夜勤労働者の約2割が睡眠障害であるというデータさえあり、軽く考えてはいけません。
夜勤をやめることが一番の改善策と言えますが、仕事と言うこともあり、夜勤をなくすということは難しいですよね。
交代勤務睡眠障害を予防するためにも、交代勤務睡眠障害の症状を改善させるためにも、まずは原因を探ってみることにしましょう。
次からは交代勤務睡眠障害の原因について考えていきたいと思います。
交代勤務睡眠障害の原因
そもそも交代勤務睡眠障害の原因は、夜勤ですが、その夜勤によって、どうして眠ることができなくなるのでしょうか?
体は疲れているはずなのに、ようやく眠ることができる時間に眠れなくなる原因について見ていくことにしましょう。
体温
人間は一日の中で規則正しい体温サイクルを刻んでいます。
それを日内変動と呼んでいますが、一般的に健康な状態の人の体温変化は体温の高い時と低い時で約1度と言われています。
起きる時間帯になると徐々に体温を上昇させ、目覚めをもたらし、日中行動するのに適した高い体温に変化していきます。
また、眠る時間に向け体温を下降させ、スムーズな睡眠をもたらしているのです。
この体温サイクルは遺伝子レベルで体内に刻まれているものであるため、交代制で夜勤勤務をしているからと言って変わるものではありません。
そのため夜勤者の場合、昼間体温の高い状態のときに眠る必要があるというわけです。
本来体温の高い時間帯は起きるためのものですので、眠ろうとしても簡単に眠ることはできません。
たとえ寝たとしても質の良い眠りが取れませんので、深い眠りができずに、途中で起きてしまったり、疲れが取れないという状態の良くない眠りになってしまうのです。
体内時計の乱れ
人間は体内時計に従って、行動しています。
体内時計は太陽の光で毎日リセットされ、正確な時を刻むことができると言われていますが、夜勤をしている場合、太陽の光を浴びているはずの時間帯に眠り、日が沈むころに行動するという生活になります。
つまり体内時計のリズムに逆らった生活をすることになるのです。
体内時計に逆らった生活ですから、睡眠のリズムも狂ってきてしまうことになります。
また、体内時計はホルモンの分泌にも密接な関係があります。
特に睡眠ホルモンと呼ばれているメラトニンは太陽の光を浴びて14時間から16時間後に眠気を促すホルモンで、通常朝6時に起きると20時から22時頃に眠けをもたらしますが、夜勤者の場合、太陽の光を浴びてもすぐ眠ることになってしまうため、体内時計がくるってしまうだけでなく、この睡眠ホルモンの助けを借りることができません。
このホルモンの分泌が正常に作用していないこともスムーズに眠ることができない理由と言えるでしょう。
そもそも太陽を浴びる時間が少ない
上でも説明した通りメラトニンは睡眠をもたらすホルモンです。
そのホルモンはセロトニンが形を変え、メラトニンになると言うプロセスを踏むのですが、セロトニンを作るためには太陽の光が重要な役目を果たしています。
太陽を浴びる時間が少ないとメラトニンを作るためのセロトニンを十分量作ることができません。
そのため、睡眠ホルモンの分泌量が減ってしまうのです。
睡眠ホルモンの助けを得られない上に、その分泌量まで減少してしまうのですから、良質な睡眠とは言えなくなります。
いつも質の悪い睡眠しか取ることができなくなるというわけです。
交代勤務睡眠障害の対策と改善法とは?
交代勤務睡眠障害を疑ったところで、その症状を引き起こしている夜勤を完全に排除することは難しいです。
仕事である以上、シフトを減らしてもらうなど自分の都合で調節してもらうことはできないという方が大半でしょう。
では、いったいどのように夜勤やシフト勤務と付き合っていけばいいのでしょうか?
ここでは夜勤を続けても、シフト勤務を続けても実践できる対策と改善法を紹介していくことにしましょう。
シフトの工夫する
夜間のシフトを組む時に日勤から順夜勤、深夜勤の順にローテーションを組んでもらうのも良い対策と言えます。
人間の体内時計は24時間よりも長い25時間が平均となっていますので、時間が後退することには順応しやすいと言われています。
つまり、寝る時間を遅らせることは、その逆と違い、容易なのです。
職場の都合上、こうしたシフトが難しいと言う場合もあると思いますが、順に時間を後退してもらえる工夫を取り入れられる場合には、シフトの組み立て方を工夫してみるといいでしょう。
夜勤明けの太陽を浴びない
夜勤明け太陽の燦々と当たる中を帰宅すると言う方も多いと思いますが、体内時計がリセットされてしまい、睡眠ホルモンの分泌を抑制してしまうため、決して良いこととは言えません。
光は目から取り込むことで体内時計や睡眠ホルモンに影響を与えますので、帰宅時の太陽を浴びないよう心がけてみるといいでしょう。
サングラスをかけ光を遮断して帰宅を心がけたり、部屋中を遮光カーテンに変えてみると交代勤務睡眠障害の予防と改善に効果的です。
帰宅後湯船につかる
夜勤明けに帰宅した後、シャワーだけしか浴びないと言う方も多いと思いますが、ぬるめのお湯につかると、心身ともにリラックスでき、睡眠に有利な副交感神経が活発になりますので、スムーズに入眠することができます。
他にもヨガやストレッチ、ハーブティーなども副交感神経を優位にさせてくれますので、帰宅後の過ごし方を工夫してみると良いでしょう。
帰宅後すぐの睡眠がポイント
夜勤明けは仕事が終了したこともあり、色々なことをしておきたいと考える方も多いと思いますが、やはり十分な睡眠時間を確保するためにも、帰宅後できるだけ早く眠るよう心がけるといいでしょう。
眠る時間が無くなると考えれば考えるほど、眠れなくなるのが睡眠障害の特徴でもあります。
眠る時間がたっぷりあれば、例え途中で目覚めてしまっても、まだ時間に余裕がありますので、もう一度眠ることもでき、足りない睡眠を十二分に補うことができます。
お昼頃寝て夕方仕事に向かうより、より精神的にゆとりがもてますので、焦る必要もなく、再度入眠するのがスムーズになることも少なくありません。
夜勤明けすぐに眠り、出社前に用事を済ませる習慣を身に着けてみるといいでしょう。
アイマスク・耳栓を活用しよう
ただでさえ眠ることができないときは、周りの光や雑音が特に気になるものです。
カーテンの隙間から入る明かりや、隣の住人のテレビ音など、いったん気になり出すと眠れなくなってしまいますよね。
そんな煩わしさを解決するために、アイマスクや耳栓などのアイテムを活用してみましょう。
外の世界が遮断することで、眠りを邪魔するものもなくなりますので、気持ちよく入眠できるようになります。
交代勤務睡眠障害予防、改善のために、ぜひ試してみてくださいね。
関連リンク⇒ Amazonでアイマスクを探す
起きたらカフェインで目覚めをスッキリさせよう
カフェインに目覚めの作用があることはよく知られていますが、カフェインにはその他にも運動能力を高めたり、自律神経の働きを活発にしたりと目覚めを助ける効果がたくさんあります。
コーヒーだけに限らず、お茶や紅茶、コーラやエナジードリンク、チョコレート、目覚めをうたったガムなどにも含まれていますので、カフェインの効能を活かし、目覚めの助けとしてみるといいでしょう。
起きた後の軽い運動
運動は血行をよくし、心拍数を上げ、体温を上昇させてくれますので、目覚めに大変効果的です。
交代制や夜勤でリスクの高まる交代勤務睡眠障害を予防するためにも起きた後の運動はメリットと言えます。
筋トレ、ウォーキング、ストレッチ何でも構いません。
ほんの5分程度の運動でOKですので、毎日体を動かすことを習慣としてみましょう。
光の力を活用する(オススメの光目覚まし)
光は交代勤務睡眠障害の原因でも挙げたように体内時計のリセット、セロトニンの生成、ホルモンの分泌に密接な関係があるものです。
そのため、この光の力を借りて交代勤務睡眠障害の予防と対策に活かしていくのも一つの方法です。
毎日目覚めたら、2500ルクス以上の光を浴び、体内時計のリセットを行うようにするといいでしょう。
人工的な光でも太陽の代わりを担うことはできますので、試してみるといいでしょう。
一番おすすめなのは高照度光療法器具の利用です。
この器具は重度の交代勤務睡眠障害の治療や睡眠相後退症候群などを改善させるための治療法としても使われているもので、太陽光に近い光を当てることができます。
通販サイトなどでも売っていますが、結構値段は高めです。
ですが、本当に交代勤務睡眠障害に頭を悩ませている方にとっては有効な方法と言えます。
試してみる価値は十二分にあると言えるかもしれませんね。
また、高照度光療法器具が高すぎると言うのであれば、お手頃価格で購入できる光目覚ましを使ってみるのも良いでしょう。
光目覚ましは高照度光療法器具と異なり、それほどの強い光は発してくれませんが、夜勤、交代勤務の方にとって目覚めに必要な光を決まった時間に照らしてくれます。
心地よく目覚めることができますし、光を浴びることもできますので、双方から見ても交代勤務睡眠障害の予防と改善の助けとなります。
ぜひ、購入を検討してみるといいでしょう。

まとめ
仕事で夜勤や交代勤務を強いられている以上、それを根本からなくすことは難しいことです。
ですが、交代勤務睡眠障害に頭を悩ませることになるのも、避けたいですよね。
交代勤務睡眠障害は夜勤や交代勤務をするすべての方が発症するものではありませんが、そうした勤務を続けていると、どうしてもリスクの高まる睡眠障害です。
日ごろから、体内時計を正常に保つことを心がけるようにしましょう。
そして、毎日の睡眠と目覚めに着目し、日勤と同じ生活を再現することで、交代勤務睡眠障害が原因となる病気や精神疾患を防ぐようにしましょう。
ぜひここで紹介した夜勤、交代制勤務の方のための交代勤務睡眠障害にならない対策と改善法を試してみてください。
必ず心地よい眠りを手に入れることができますよ。