
「いつも朝起きられないし頭がスッキリしない、寝起きが悪いのはなぜ?」そう考えた事はありませんか?
なんとか目が覚めても、眠気がとれずに身体がだるく、なかなか布団から出られない、毎朝そんな状態では不眠症という言葉が頭をよぎっても無理はないかもしれません。
脳には「睡眠慣性」という、寝続けていたいという本能のような習性があります。
つまり、朝起きてしばらくボーッとしているのは、自分自身のせいではなく脳の習性が原因なのです。
とはいえ、ちゃんと快眠した人は数分後には頭がスッキリします。
何十分経ってもそのままの状態が続くようなら、睡眠の質が悪いために強い睡眠慣性が働いている可能性があります。
朝スッキリ起きずにグズグズしていると脳は一日中眠気を感じたままで、夜になってやっと頭がシャキッとして眠れなくなってしまうといった悪循環に陥ってしまいます。
それこそ不眠症を引き起こす要因となり得ますので、朝ちゃんと起きて良いスタートを切り、夜にはしっかり眠れる好循環を作っていきましょう。
では、脳の習性に打ち勝って寝起きをスッキリするためには具体的にどうすればいいでしょうか。
目覚めてすぐに行なう事、布団を出てから行なう事、前日の夜に行なっておく事、普段から心掛ける事など、行動する場面別に14の秘訣を詳しくご紹介していきましょう。
この記事の目次
目覚めてすぐに行なうべきポイント
1,とにかく朝日を浴びる
頭を素早くスッキリさせるには、目覚めてすぐに朝日を浴びる事がもっとも有効です。
太陽の光によって体内時計がリセットされ脳が覚醒するだけでなく、夜には自然に眠気が訪れてスムーズに眠りに入れるという効果もあります。
窓の近くで寝ている人はカーテンを開けて朝日が入り込むようにしましょう。
そもそも起き上がるのが無理という人は、カーテンを少し開けたまま眠ってください。
布団から出られるようなら、窓を開けて太陽の光をたっぷり浴びて頭をスッキリさせましょう。
少しぐらい曇っていても目を覚ます効果は充分にありますので、とにかく朝日を浴びる習慣を身に付けてくださいね。
2,布団の中で出来る運動を行って血行を良くする
私たち人間は、体温が下がってくると眠くなり、体温が上がると覚醒します。
つまり、朝スッキリと起きるためには体温を上げて血行を良くすればいいのです。
かといって激しい運動をする必要はありません。
布団の中で出来ること、たとえば両手を天井に向けて伸ばしグーパーを交互に繰り返してみましょう。
頭は眠っていて目がトロンとしている状態でもかまいませんので、なるべくグーの時は力を入れて拳を作り、パーの時は思いっきり指を広げるようにします。
指先などの末端神経は温まりやすいので1~2分もすればポカポカになり、脳も活性化して布団から出やすくなりますよ。
また、冬の寒い時期には布団から手を出すのもつらくなるので、足をバタバタと動かしたり、足先を上下にゆっくり動かしてふくらはぎを伸ばすだけでも効果があります。
右に左にと身体をゴロゴロ動かすのも、起きた直後のだるさを軽くするのに役立ちます。
3,とりあえず言葉を発する
布団の中で軽く身体を動かして脳が覚醒してきたら、どんな言葉でもいいので声に出しましょう。
「さあて、起きるか!」でも「おはよう」でも、たとえ「起きるのイヤだ!」でも、声に出せば顔の筋肉も使うためより覚醒効果が高くなります。
また、イヤだと思っている事をあえて言葉にして吐き出すと、心が浄化されてスッキリする「カタルシス効果」も得られます。
逆に、「いい一日にするぞ!」など前向きな言葉を発するのもいいですね。
完全に覚醒しきれていない状態は自己暗示にかかりやすいので、「今日こそは○○をする!」など具体的な目標を発すれば、無意識のうちに叶えられるよう努めます。
言葉を発することで頭がスッキリして、さらに心もポジティブになれる、まさに一挙両得ですのでぜひとも試してみてください。
4,テレビを点ける
テレビは情報の宝庫で、夜は眠る1時間前からは見ないようにしましょうと言われています。
刺激が多いため交感神経が活発になってしまい、眠る時間になっても脳が活発なままで眠れなくなるからです。
不眠症や睡眠障害の恐れがある人はとくに注意しなければなりません。
ですが、朝の目覚めにはこれほど便利なものはないとも言えます。
リモコンさえ布団のそばに置いておけば、すぐにでもテレビを点けられます。
明るい画面と適度に賑やかな声に刺激されて、脳は自然に活性化していくでしょう。
また、起きる時間に合わせて予約視聴を設定しておけば、たとえ眠っていても勝手に電源が点いて起こしてくれますね。
5,寒い冬の朝は部屋を暖かくする
普段早起きする人でも、寒い冬の朝に布団から出るのはつらいものです。
そんな時は、起きる時間に合わせて部屋を暖めておきましょう。
エアコンのリモコンやタイマーを駆使して、布団から出るのが苦痛にならない環境を作るのです。
そして、洗面所に行く時に寒くないよう、カーディガンや靴下なども温めておきましょう。
寝ている布団と毛布の間に挟んでおいたり、エアコンの温風が当たる場所に用意しておいたり、寝室と他の部屋との温度差を感じなくて済むように対処してください。
布団を出てから行なうべきポイント
6,大きく伸びをして身体をほぐす
眠っている間、寝返りを打つとはいえ何時間もほぼ同じ姿勢のままです。
身体中の血行をよくするために伸びをしましょう。
ラジオ体操でするように、大きく腕を上に伸ばしながら息を吸い、息を吐きながらゆっくりと戻す、これを数回繰り返すと、凝り固まっていた筋肉が徐々にほぐれていきます。
深呼吸で脳にも身体にもたっぷり酸素が行き渡りますよ。
その後、腕をゆっくり大きく回して肩甲骨周りをほぐしてあげても良いですね。
7,歯磨きをする
寝起きにコップ1杯の水を飲むのが良いと言われていますが、くれぐれも歯磨きをした後にしてください。
眠っている間は唾液の分泌量も減っており、口を開けて眠っていれば口腔内が余計に乾燥するため、起床時の口の中にはたくさんの雑菌が繁殖しているのです。
歯磨きをしないまま水を飲んだり物を食べると、その雑菌ごと身体の中に入ってしまいます。
クチュクチュとガラガラ、2種類のうがいをしてからしっかり歯を磨き、最後に歯磨き粉を取り除き過ぎないよう軽くクチュクチュうがいをしましょう。
歯磨きをする動作や、歯ブラシや歯磨き粉の刺激などで一気に目が覚めます。
8,コップ1杯の水またはオレンジジュースを飲む
睡眠中に汗をかくのは夏でも冬でも同じです。
起床後は季節に関係なく水分を摂りましょう。
水は寝ている間に濃くなった血液を薄めて血流を良くしてくれますので、あまり冷たくない常温ぐらいの水を一気に飲んでください。
また、オレンジジュースに含まれている「フラボノイド」という成分には、脳の血流を良くする効果や美肌効果があると言われています。
イギリスでは、オレンジジュースを飲んでから6時間経っても集中力が持続するという研究結果もあります。
ですので、歯を磨いてコップ1杯の水を飲み、朝食にオレンジジュースをプラスするというのもいいでしょう。
9,蒸しタオルで顔を拭く
簡単で効果的な刺激として蒸しタオルを使ってみましょう。
顔にも手にも神経がたくさん集まっています。
温かい蒸しタオルで適度な刺激を与えてあげれば、脳も目もしっかり目覚めます。
まず、顔を洗っている間に水で濡らして絞ったタオルを電子レンジでチンします。
熱さはお好みによりますが、500wで40秒ぐらいから始めてみてください。
顔を洗い終わったら、蒸しタオルを取り出して広げ、顔全体をやさしく包みます。
この時、首も一緒に温めてあげるとシワ予防になります。
ただし、くれぐれも火傷などしないよう、自分で心地よいと感じられる熱さにしてください。
蒸しタオルは、とくに寒い冬にはオススメです。
顔全体が温かい蒸しタオルに包まれるとホッとして、どんなに寝ぼけまなこでもシャキッとしますよ。
前日の夜に行なっておくべきポイント
10,翌朝のお楽しみを用意する
質の良い睡眠のためには、夕食は寝る3時間前までには済ませるのが良いと言われます。
甘いお菓子やケーキ、果物なども遅い時間に食べてはいけません。
それならば、お菓子もケーキも果物も、朝ご飯のデザートとして食べてしまいましょう。
夜にカロリーが高い物や糖度が高い物を食べるのは太る元ですが、朝なら心配ありません。
その後にたくさんカロリーを消費する機会はあるのですから、一駅分歩くなり階段を使うなりして、いくらでも有酸素運動が出来ます。
また、適度な運動は不眠症の予防にも繋がります。
朝目覚めた時に「起きたら取っておいたケーキを食べよう」「朝食の後であのクッキーをつまもう」などのお楽しみがあれば、布団から出るのもそれほど苦にならず、朝スッキリと起きられるのではないでしょうか。
11,寝室を真っ暗にして寝る
夜眠る時には、真っ暗にして寝る派、豆電球(常夜灯)を点けて寝る派、明るい部屋で寝る派に分かれます。
しかし、部屋を真っ暗にして寝る人はどちらかと言えば少ないようで、豆電球だけは点けておかないと夜中に起きた時に怖いという声を多く聞きます。
ただ、豆電球を点けた部屋というのは思っているほど暗くはありません。
自然な月の光から比べると、かなりの明るさです。
そして、睡眠ホルモンである「メラトニン」は明るくなると分泌量が減るので、熟睡するためには豆電球を点けずに真っ暗な部屋で寝る方が望ましい状態と言えます。
熟睡が出来ずにずっと浅い眠りのままでは、翌朝スッキリ起きる事など出来ません。
また、浅い眠りがずっと続くと、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない「熟眠障害」になる可能性も出てきます。
まず、夜中に起きた時に真っ暗なのは怖いというのは夜中に一度は起きている証拠で、熟睡出来ていないからこそ夜中に目が覚めるのです。
それもいわゆる「中途覚醒」という睡眠障害の症状です。
いっそ真っ暗にして眠ってみてください。
最初は慣れないために寝付きが悪いかもしれませんが、眠りに入ってしまえば夜中に起きる事もなくなっていきます。
明るい部屋でないと眠れないという人も、質の良い睡眠を取って健康でいられるように、徐々に真っ暗な部屋でも眠れるよう慣らしていきましょう。
普段から心掛けるべきポイント
12,目覚まし時計を変える
朝起きてすぐに朝日を浴びるのは、体内時計をリセットして生体リズムを整えるのにもっとも効果的な方法です。
しかし、お仕事によっては不規則な生活になってしまうケースもあります。
夜勤の場合は起きる時間が朝ではないので朝日を浴びるというわけにもいきませんし、不規則なシフトであれば生体リズムを整える自体が難しくなります。
そこで、朝日を浴びる代わりに「光目覚まし時計」を使ってみましょう。
従来の目覚まし時計のように大きな音で強制的に起こすのではなく、朝日に近い光で自然に目覚めるよう促す目覚まし時計です。
さらに、朝日を浴びるのと同じように体内時計をリセットする働きをもったものもあります。
朝スッキリと、しかも気持ちよく目覚めるために、目覚まし時計を変えてみるのも一つの方法です。

13,真っ暗な部屋では眠れない人はオレンジの照明にする
真っ暗な部屋で眠る方が熟睡できるのはわかっているけれど、それでも明かりがないと眠れない、そんな人にオススメなのがオレンジ色の照明です。
ろうそくの明かりはだいたい30ルクスで、それと同等の明るさのオレンジ色ならば脳に刺激を与えることなく熟睡できると言われています。
オレンジ色にはリラックスさせる効果があり、人間の古代の記憶を呼び覚ますとともに、メラトニンの分泌を促して眠りに誘うとも言われています。
たしかに、昔々は焚火のオレンジ色を囲んで眠っていた歴史もあります。
ということは、足元の間接照明としてオレンジ色を使えば、より効果的かもしれませんね。
14,寝付きを良くするために
朝スッキリ起きるためには熟睡する事が大事です。
そして熟睡するためには、寝る1時間前からパソコンやテレビなどを見ずにリラックスした状態でいることが肝心です。
もちろんスマホのゲームやLINEなども控えましょう。
では、寝付くまでの間は何をして時間を過ごせばいいのでしょうか。
オススメなのは読書です。
しかも、退屈な本であればあるほど効果的です。
専門用語が羅列しているような難しい本もいいですね。
眠る前の睡眠儀式のように、面白いと思えない本を読みましょう。
読んでいくうちに退屈になって、だんだん眠くなってきます。
ある意味、手軽でお金もかからないのに効果がある、画期的な睡眠法です。
まとめ
睡眠とは、人間の三大欲望の中で唯一制御出来ないものです。
そのため、睡眠がおろそかになったり、質が低下すると、身体だけでなく心まで病んでしまう事もあります。
「朝スッキリ起きられない」というのは、睡眠の質に問題があり、そのままでは病を引き起こしてしまうというサインかもしれません。
「一日の計は朝にあり」ということわざにもあるように、物事は最初が肝心です。
気持ちよく目覚めて一日を元気に送れるように、しっかり睡眠が取れているかを見直してみましょう。