
妊娠後期になると、大きなおなかを抱え、足の付け根が痛んだり腰が重く感じたりと、身体の様々な部分で不調を感じることが多くなってきます。
その中で睡眠に着目してみると、それまで眠さとの戦いが多かった方であっても、様々な原因によってなかなか思うように眠れなくなってしまう方も多くなってきます。
しかも、昼間には眠くなるものの、夜になるとどうしても思うように眠ることができずに、イライラしてしまうし、朝起きた時でさえも何となく疲れが残っているように感じることもあります。
ここでは、妊娠後期になると眠れないという辛い不眠症の原因や解消法などについて、詳しくお伝えしましょう。
この記事の目次
妊娠後期に不眠症になる主な原因
妊娠後期には、眠れにくくなったとのお悩みを抱える方が多くなりますが、原因として考えられる主なものを、いくつかご紹介します。
大きくなったおなかの重みや激しい胎動
妊娠後期の9か月頃にもなると、おなかの赤ちゃんの体重も一気に増えて、一般的には2,000~3,000gになると共に、羊水の量もほぼ最大限になってきます。
おなかの重みに圧迫されて、頻尿になってしまう方も多く、夜中に何度も目を覚ます方も多くなります。
また、妊娠後期には胎動の感じ方も激しさを増しますので、赤ちゃんが骨盤内に収まる出産間近までは、胎動に敏感になって不眠症になってしまう方もいます。
女性ホルモンの増加
妊娠後期になると間近に控えた出産に向けて女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量も増加します。
ホルモンのバランスが変化することによって、自律神経の働きも変わり、不眠症に繋がってしまう場合もあります。
寝返りが打ちにくい
妊娠以前の時には、人は無意識のうちにひと晩で約20~30回もの寝返りを打つといわれています。
寝返りは、良い睡眠を取るために必要なものといっても良いのです。
しかし、妊娠後期では大きなおなかのために、思うように寝返りが打てなくなってしまうことで、安心して眠ることもできず、疲れが溜まりやすくなってしまうのです。
血液量は増えるのに、血流が悪い
妊娠中にはおなかの赤ちゃんの成長に必要な分として、お母さんの血液量も、約1.5倍に増加しています。
そのために、むくみやすくなったり、心拍数が増えて動機を感じやすくなったりする方もいます。
一方で、大きくなったおなかの重みに圧迫されて、通常時に比べてみても、子宮周辺や足の付け根などの血流も悪くなりがちです。
そのために、特に妊娠後期は息苦しさを感じたり、息切れを起こし眠れなくなってしまうこともあります。
妊娠後期の不眠症の解消法
妊娠後期の辛い不眠症の解消には、いくつかの方法がありますが、人それぞれの状況に応じて、眠りやすい方法を選んで行なうようにするとよいでしょう。
また、その日の体調や胎動の感じ方などによっても状況が異なってきますので、臨機応変に変えてみるのもおすすめです。
寝る時の姿勢の工夫
大きなおなかで仰向けに寝てしまうと、おなかの重みで息苦しくなり、深く眠ることが難しくなってきます。
そんな方にお勧めの寝る時の姿勢に、「シムス体位」があります。
シムス体位とは、身体の左側を下にして、横向きの姿勢で眠る体位のことです。
もともとは妊婦さん向けに特化した体位ではありませんが、大きなおなかを抱えた妊婦さんでも、快適に過ごせるようになることもありますのでおすすめです。
横向きになった時には、上になる右足を曲げた状態にして、楽に置くようにすると良いでしょう。
適度な大きさの抱き枕を活用するのも良いでしょうし、逆に、背中側に支えるよう添わせるのも不眠の解決には良いでしょう。
眠れないと思い過ぎることで、不眠を助長していませんか?
妊娠後期には妊娠中の様々なストレスや、間近に迫った出産への不安な気持ちも高まり、どうしても気持ちの起伏も激しくなってしまいがちです。
いろいろなことを考え込んでしまうと、「眠れない」状態も続いてしまいます。
また、「眠れない、眠れない」と思って、明るい部屋でダラダラと時間を過ごしていると、余計に神経が高ぶってしまい、眠れなくなってしまうことも良くあることです。
就寝の時間頃になったら、リラックスできるような好きな香りのハーブティーを少し飲んで、横になるのも良いでしょう。
その際には、できるだけ明かりを落として、静かに過ごすようにしましょう。
静かに横になっているうちに、だんだん眠れるようになってくることもあります。
「眠れない」という思いや、「今寝なければ」という思いが強すぎると、逆にプレッシャーとなって、眠れない状態を助長してしまうこともあります。
1日単位として睡眠時間で考える
妊娠後期には様々な原因によって、夜にまとまって眠ることができない方も多くなってきます。
できることでしたら、夜の時間帯にまとまって眠っておきたいところではありますが、どうしても夜に眠れない時には、日中であっても横になって体を休める習慣をつけると良いでしょう。
しかし、日中にあまり長時間眠ってしまうと、また夜になって眠くなれないことになりかねませんので、適度な時間でのお昼寝にすることをおすすめします。
目を閉じて横になり、30分程度横になるだけでも随分疲れは取れますし、リラックスもできるはずです。
夜の睡眠時間気になる方は、日中のお昼寝時間を、長くても1時間程度に抑えておくと良いでしょう。
妊娠後期でも、適度な運動を心掛けて
大きなおなかを抱えていると、思うように動けない上に外出の機会も減り、肉体的な疲労感も比較的に少なくなります。
眠れない原因の1つに、「運動不足」も考えられます。
出産にかかる時間を早めるためや、夜にぐっすり眠るためにも、妊娠後期だとしても適度な運動の習慣は欠かせないものです。
また、妊娠中の体重管理や、出産時やその後の体力の維持のためにも、適度な運動は継続して行なうように心掛けることが不眠症を防ぐことにもつながります。
眠れないのは、お産が近付いている証拠
妊娠後期には、それまで不眠にお悩みのなかった方であっても、なかなか眠れないことも多くなり、ストレスを感じるものです。
妊娠後期になって「眠れない」状態が続いてしまうのは、おなかの赤ちゃんが大きく成長し、いよいよお産のタイミングが近付いてきた証拠だともいえるでしょう。
妊娠後期になって不眠症になってしまうのは自分1人だけではなく、出産を控えた多くの妊婦さんが同じような状態であるともいえます。
決して悲観的に考え過ぎることなく、できる限りリラックスした時間を過ごすように心掛けましょう。
また、妊娠後期には足先や手指、肩などが冷えてしまい、寝つきが悪くなってしまうことも良くあることです。
足元の冷えは妊婦さんにとってだけではなく、女性としても大敵ですので、靴下やレッグウォーマーなどを着用して温めておくか、冬の寒い時期などは、湯たんぽなどを上手に活用して、眠りやすい状態を作っておくことも必要になってきます。
好きな香りのアロマオイルを利用したり、ハーブティーを飲んでリラックスした気分で、眠りについてみるのもいいでしょう。
ただしハーブの中には、妊娠中にあまり良くないとされているものもありますので、しっかり妊娠中でも使用できるものをチョイスしてください。
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まとめ
妊娠中には食事や体重の増加など、様々なところで気を遣わなければならないことも多く、ストレスを溜めてしまうあまり、眠れなくなって不眠気味になる方も少なくありません。
しかし、妊娠後期はおなかの赤ちゃんと一緒に過ごすことのできる、最後の期間でもあります。
気持ちをリラックスさせて、良質な睡眠をとって体力をつけ、出産に備えていけるように心がけましょう。