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睡眠時随伴症(パラソムニア)の症状とは?原因と対策って?

  • 最終更新日:2018.06.22
  • 公開日:2018.04.05
睡眠時随伴症(パラソムニア)の症状とは?原因と対策って?

睡眠障害の一つである「睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)」という疾患をご存知でしょうか。

睡眠時随伴症とは、眠っている最中に突然大声で泣き叫んだり、歩き回ったり、暴れだしたりと、睡眠中に起こる異常行動の総称であり、別名「パラソムニア」とも呼ばれています。

この疾患は、5~12歳の子どもと、50代以上の中年期~老年期に発症することが多く、子どもに発症しやすい「ノンレム睡眠時随伴症(ノンレム睡眠中に起こる)」と、中年期~老年期に発症しやすい「レム睡眠時随伴症(レム睡眠中に起こる)」の2つに大きく分類されています。

では、睡眠時随伴症にはどのような症状があるのか、ノンレム睡眠時随伴症とレム睡眠時随伴症はどう違うのか、何が原因でこのような症状が起きるのか、どのような対策をとればいいかなどを詳しくご説明していきましょう。

ノンレム睡眠時随伴症

よく「ノンレム睡眠は深い眠り」といわれますが、厳密には眠りの浅い状態と深い状態があります。

そしてノンレム睡眠時随伴症は、ノンレム睡眠の深い眠りの時、寝入ってから最初の3時間に多く発生しています。

主な症状として挙げられるのは「夢遊病」「夜驚症」「夜尿症」で、いずれも発症しやすいのは5~12歳の小児ですが、ほとんどの場合は成長にともなって自然に治っていきます。

 

睡眠時遊行症(夢中遊行症・ねぼけ)

睡眠時遊行症(夢中遊行症・ねぼけ)

 

睡眠時随伴症の覚醒障害の一つで、昔から「夢遊病」と呼ばれているものです。

脳は眠っているのに身体は動く、まるで見ている夢の内容通りに行動しているかのように見えることから夢遊病の名前で呼ばれるようになったのでしょう。

ですが実際には、基本的に夢をみることのないノンレム睡眠の時、つまり眠りが深い状態の時に起こっている症状なのです。

 

睡眠時遊行症の症状

俗にいう「夢遊病」は、脳は眠っているのに身体は動いている状態で、症状の度合いには個人差があります。

突然ベッドから起き上がって歩き回ったり、階段を降りたり、着替えをしたり、中には食事や入浴をしたり、外出までしようとするケースもあります。

この間、障害物はちゃんと避けて普通に行動するので、他の人からは何か目的があって行動しているかのように見えるのですが、本人に意識はないため表情はうつろです。

話しかけても反応は極めて薄く、しばらくすると何事もなかったかのようにベッドに戻ってまた眠ります。

そして翌朝、本人にはその間の記憶がまったくありません。

夢遊病とは見ている夢のとおりに行動するものと思われがちですが、この症状が出るのはノンレム睡眠のとくに深い睡眠状態の時です。

つまり、本人は夢を見ているわけではないのです。

夢に反応しているわけではないので、行動の内容もごく日常的で平和的です。

暴れたり、誰かに危害を加えたりすることはありません。

 

睡眠時遊行症の原因

夢遊病の症状が出る原因はまだ明らかになっていません。

ただ、発症しているほとんどが5~12歳の子どもであることから、睡眠をコントロールする脳の機能が未発達なことが関係しているのではないかと考えられています。

また、ごく稀に大人が発症するケースもありますが、その場合には他の病気が要因となっているか、ストレスなどが影響しているものと考えられています。

 

睡眠時遊行症の対策

症状が出ている時は、行動を制止しようとしたり、声をかけて目を覚まさせることはかなり難しいでしょう。

ほとんどの場合は、放っておいても自分からベッドに戻って再び眠りにつきます。

ただ、起きているかのように行動するとはいえ、行動範囲内に危険な物がないよう、ケガなどしないように配慮してあげることは必要です。

無事にベッドに戻って眠るまで、しっかり見守ってあげてください。

このような症状は、子どもの成長につれて自然と治っていくことが多いので、本来なら治療は必要ありません。

ですが、あまりにも深刻な症状であったり、成人しても症状が続く場合、また大人が発症した場合には積極的に治療を行うケースもあります。

 

睡眠時驚愕症(夜驚症)

睡眠時驚愕症(夜驚症)

 

睡眠時随伴症の覚醒障害の一つで、一般的に「夜驚症(やきょうしょう)」と呼ばれているものです。

専門的には「睡眠時驚愕症」と呼ばれており、睡眠中に突然パニックを起こして眠りながら泣き叫ぶというものです。

夜驚症は3歳以降から多くみられ、12歳ぐらいまで発作を起こすこともあります。

そして夜驚症も夢遊病と同じく、深い睡眠状態のノンレム睡眠時、寝ついてから最初の3時間に発生しやすいことがわかっています。

 

睡眠時驚愕症の症状

夜驚症(睡眠時驚愕症)は夜泣きや悪夢と区別しにくい場合もありますが、反応があるか記憶に残っているかなどで判別できます。

乳幼児の夜泣きは、浅い眠りのレム睡眠時に起こります。

眠りが浅い時に目を覚まして泣くので、頭を撫でてあげたり身体をさすってあげたり、抱っこしてなだめてあげるなどで泣き止むことがあります。

悪夢にしても、眠っている最中にみた怖い夢でうなされて目覚めるので、本人に意識もあり後で夢の内容を話すこともできます。

ですが夜驚症の場合は、本人はまだ深い眠りの中にいるのです。

そのため、頭を撫でようが身体をさすろうが、抱っこしてなだめようが反応してくれません。

睡眠中に突然パニック状態になり、悲鳴や叫び声をあげます。

同時に、汗をかいたり呼吸が乱れたり、心拍数が上がったりと、人間が恐怖を感じた時の身体的現象が起こります。

泣きわめきながら歩き回ることもあります。

この症状は数十秒から数分、長くても10分程度でおさまり、その後はいつも通りの眠りに戻るのですが、本人に意識がないため症状が落ち着くまで見守るしかないのが辛いところでもあり、夜泣きや悪夢との大きな違いでもあります。

そして目覚めた時、本人はその時の出来事を覚えていません。

ただ、怖かったイメージだけが残っている場合もあります。

 

睡眠時驚愕症の原因

夜驚症は、悪夢のように見ている夢の内容に対して恐怖を感じているわけではありません。

何に対して怖いと感じているのか、本人にも理由がわからないままパニック状態になるのが特徴です。

夜驚症に陥る原因は、まだはっきりと解明されてはいません。

ただ、夢遊病と同様に成長にともなって症状は自然と現れなくなってきます。

そのことから、睡眠をコントロールする脳の機能が発達の途中であることが関係していると考えられています。

また、起きている間の恐怖体験やストレスを受けたことが要因となっているのではないかとも考えられています。

ちなみに夜驚症は、両親や兄弟姉妹が夜驚症であった場合には発症率が10倍高くなるといわれており、遺伝的な要素も皆無ではありません。

 

睡眠時驚愕症の対策

夜驚症の原因と考えられている脳の未発達に関しては成長を待つしかありませんが、なんらかの恐怖体験やストレスが要因となっているのであれば、それを取り除いてあげましょう。

恐ろしいテレビドラマを見てしまったら「お父さんとお母さんがちゃんと守るからね」、地震や火事などが恐怖の対象ならば「ここなら安全だよ」と優しく繰り返し言ってあげてください。

そして寝る前にはワクワクするような楽しい読み聞かせをしてあげるのもいいですね。

そして、たとえ発作が起きて激しく暴れても、無理に押さえつけたりせずにある程度は自由にさせてあげてください。

本人に記憶はないので、次の日に問いただしたり叱ったりするのは厳禁です。

夜驚症の治療というものはほとんどありません。

しかし、1晩に発作が2~3回以上あったり、10分以上も泣き叫び続けて暴れるような場合は症状が重いと考えてください。

本人にも家族にも悪い影響が出てしまうので、専門の医療機関に相談しましょう。

 

睡眠時遺尿症(夜尿症)

睡眠時遺尿症(夜尿症)

 

夜尿症とは睡眠時随伴症の覚醒障害の一つで、睡眠中に無意識におしっこを漏らしてしまうことをいいます。

いわゆる「おねしょ」の症状です。

ただ、一般的には5~6歳の小学校入学を一つの転機としており、それ以降に週に2回以上、3ヶ月以上おねしょが続く場合は「夜尿症」として区別して、積極的に改善するのが望ましいとされています。

統計的には、4歳児に約30%、6歳児に約10%、10歳児は約5%、12歳児で約2~3%と、成長するにしたがって発症率が減少しています。

 

睡眠時遺尿症の原因

夜尿症の原因も完全に解明されているわけではありません。

しかし、原因になっていると考えられるものは、夜のおしっこの量が多い・膀胱の容量が少ない・ストレスや環境の変化・食事内容・遺伝・先天的な排尿障害などいくつかあります。

また、夜尿症の子供は眠りが深く尿意を感じない場合が多いというのも要因となっているようです。

 

睡眠時遺尿症の対策

夜尿症は、夢遊病や夜驚症とは違って本人に自覚があります。

それは幼いながらにも恥ずかしい事実であり、年齢が高くなれば高いほど本人にとって辛いことです。

まして親から怒られれば深く自尊心を傷つけられ、とても情けない気持ちになります。

夜尿症の子どもには、決してプレッシャーを与えないでください。

10歳以上の子どもの約2~3%は夜尿症だといわれていますので、責めたり叱ったりせず、いつかは治るとおおらかな気持ちで見守ってあげましょう。

寝る前におしっこをする、寝る前の飲み物はほどほどにする、身体を冷やさないなど、普段から子どもに教えておくといいですね。

ただ、夜尿症を治したいからと夜中に子どもを起こしてトイレに行かせるのはNGです。

睡眠は子どもの成長にとって重要なものですから、質の良い睡眠がしっかりとれるように安眠を妨害しないようにしましょう。

睡眠のリズムが崩れてしまい、夜尿症が悪化したり、不眠症や中途覚醒など他の睡眠障害を引き起こす要因ともなりかねません。

なお、年齢が高くなっても夜尿症が続いている場合、本人が自信をなくしたり見るからに辛そうにしていたら、夜尿症以外の病気や排尿障害の可能性もありますので、思い切って専門の医療機関で診察を受けてみましょう。

 

レム睡眠時随伴症【レム睡眠行動障害(RBD)】

レム睡眠時随伴症【レム睡眠行動障害(RBD)】

 

レム睡眠行動障害とは睡眠時随伴症の覚醒障害の一つで、レム睡眠という浅い眠りの時に身体が動くという夜間異常行動です。

「Rem sleep behavior disorder」を略して「RBD」とも呼ばれています。

レム睡眠時は、眠りが浅く夢を見やすい状態です。

脳は活動していますが、脳から筋肉を緩めるよう指令が出されているため身体は休息モードで、本来なら身体に力が入らず動けません。

しかしレム睡眠行動障害の場合は、何らかの原因で脳からの指令が届いておらず筋肉が覚醒してしまっているため、見ている夢の内容のままに行動してしまうのです。

そしてこの場合、恐怖をともなう夢や暴力的な夢を見ていることが多いという特徴があります。

「眠っているのに動き回る」という点では夢遊病と似ていますが、夢遊病が無害なのに対して、レム睡眠行動障害には家族や自分自身をも傷つけてしまう危険性があるという厄介な睡眠障害です。

また、レム睡眠行動障害は50~60代の中年期~老年期に発症することが多く、単なる寝ぼけ・ストレス・精神科疾患・せん妄・認知症などと誤診されやすい、医療関係者の中でも認知度の低い疾患なのです。

 

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レム睡眠行動障害(RED)は薬で治る?原因と症状について

 

レム睡眠行動障害の症状

レム睡眠行動障害の症状とは、夢の中で本人が大声を出せば現実でも大声を出し、暴れれば現実でも暴れるという具合です。

症状がでる時はほとんどが悪夢を見ており、内容はとても鮮明で、誰かに追いかけられる・殴られる・殺されかけるなど怖い夢や暴力的なものが多いため、夢の中で叫びながら逃げようとしたり殴り返したり、逆に殺そうとしたりと必死であがいているのです。

そして、その行動が実際に現実でも起きてしまいます。

突然ベッドから起きて走り出したり、腕を振り回したり、一緒に寝ていた奥さまの首を絞めたという極めて危険なケースもあります。

とはいえ、本人は眠って夢を見ている状態ですので、目を覚ましてさえあげれば覚醒して我に返ります。

どんな夢を見ていたのか聞けばしっかり説明もできます。

ただ、大人の男性にこの症状が出てしまうと家族に危害が加えられることがあり、自分自身さえも危険にさらしてしまいます。

患者数は少ないですが、症状が出たらすぐに治療を行うべき深刻な疾患なのです。

明け方の3~5時頃に発作が起きやすく、1晩で何度も症状が出るケースもあります。

 

レム睡眠行動障害の原因

レム睡眠行動障害には、明らかな原因が見当たらない「特発性」と、薬や他の疾患によって引き起こされる「二次性」があると考えられています。

また、レム睡眠行動障害の患者さんの約半数に中枢神経系の疾患がみられます。

レム睡眠時に脳からの指令がちゃんと届いていないというのは、パーキンソン病やレビー小体型認知症などの病気によって脳幹網様体などの部分が傷ついたことが原因かもしれません。

つまりこれは病気のサインかもしれないのです。

事実、患者さんの多くが5~10年後にパーキンソン病やレビー小体型認知症を発症しているという報告もあります。

 

レム睡眠行動障害の対策

レム睡眠行動障害と思われる症状があれば、即座に専門の医療機関で相談しましょう。

抗てんかん薬などを服用して治療すれば、1週間ほどで約80%の患者さんの症状が落ち着いてきます。

それと同時に就寝時は部屋を別にする、寝室から障害物をなくすなど、家族にも本人にも危害が及ばないような環境作りをしておきましょう。

 

まとめ

子どもが発症しやすい夢遊病・夜驚症・夜尿症などのノンレム睡眠時随伴症は、大きくなるにつれて症状が改善されることが多い睡眠障害で、とくに治療の必要がない場合がほとんどです。

 

子どもが発症しやすい夢遊病・夜驚症・夜尿症などのノンレム睡眠時随伴症は、大きくなるにつれて症状が改善されることが多い睡眠障害で、とくに治療の必要がない場合がほとんどです。

親が神経質になったり叱ったりするとかえって悪化してしまうかもしれませんので、あまり気にせず見守ってあげましょう。

しかし大人の男性に発症しやすいレム睡眠時随伴症、レム睡眠行動障害(RBD)の場合は早急な対策が必要です。

命に関わる事態にもなりかねませんので、1日でも早く専門医の診察を受けましょう。

また、強いストレスや過剰なアルコールなどは異常行動に拍車をかける場合があります。

アルコールは控えめにして、心身ともにリラックスして、良質な睡眠をとるよう心がけてくださいね。

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