NHKきょうの健康 睡眠の悩み これで解決「寝床にしがみつかない」番組内容とまとめ
- 最終更新日:2017.04.11
- 公開日:2017.04.11

2016年1月12日(火)放送
<スタジオに登場した専門家>
三島 和夫(みしま・かずお)
国立精神・神経医療研究センター 部長
専門:精神科、特に睡眠の治療や研究
経歴:1987年秋田大学医学部卒業
放送のテーマは、不眠症を解決するためには「眠れないのに無理に寝床にしがみつかない」です。
そもそも眠ろうとして布団に入っても、また眠れないのではないかという不安や焦りが緊張を高め、さらに眠れないという悪循環に陥ります。
では、どうすればリラックスして不眠症を改善できるのか?
番組内容の概要と、気になる症状やワードについて更に調べたことをまとめてみました。
この記事の目次
不眠の解決は寝床に入らない事!?睡眠効率を上げ、不眠症を克服しよう!
不眠症は深刻化することも多く、適切な治療の必要な病気です。
もちろん、薬などを用いて改善していく方法もありますが、眠ることはできても、薬をやめてしまえばまた眠れないと言うケースも少なくありません。
不眠症そのものを改善させていくためには睡眠習慣を見直す必要があり、認知行動療法が有効です。
眠りに対する考え方や行動を改革し、安眠につながる方法を見つけていくことがこの認知行動療法。
ここでは、自分自身で今すぐ始められる認知行動療法を紹介していきます。
自宅で今日から始められる認知行動療法とは?
認知行動療法は難しい言葉でもあるため、「実際にどんなことをすればいいの?」と思う方もいるでしょうが、自分で行っていく場合、いたってシンプルです。
睡眠への考え方を変え、睡眠効率を上げていく、たったこれだけでOKです。
順に説明していくことにしましょう。
睡眠効率を上げるとは?
睡眠効率上げると言われても、具体的にどんなことをすればいいのかピンとくる方は少ないでしょう。
例えば8時間しっかりと眠ったつもりでいても寝起きに体のだるさを覚えたり、もしくはぐっすりと寝た気がしないというならば、睡眠効率が悪い状態と言えます。
一方、5時間しか眠っていなくても、熟睡できていて、とてもすっきり目覚めることができたり、起きてすぐに活動することができれば、睡眠効率は良いと言えるでしょう。
不眠に悩んでいる方の多くは睡眠効率が悪いので、まずはこの睡眠効率そのものをアップさせることを意識しなければなりません。
自分の睡眠習慣を捨てよう
睡眠効率を低下させてしまう原因の一つに、固い睡眠に対する考え方が挙げられます。
例えば夜10時になったら必ず寝床に入らなきゃない、毎日の睡眠時間は必ず8時間以上取らなければならないと言った自分の中での決め付けです。
睡眠への決めつけにとらわれてしまうと、睡眠効率はどんどん悪くなってしまいます。
睡眠効率は時間や環境によって、もたらされるものではありません。
睡眠は個人によって異なるため、こうと決まった睡眠のルールはないのです。
今まで自分が決めつけていた睡眠への考え方があなたの不眠を招いているのかもしれません。
今すぐできる3つの認知行動療法とは?
自分で始められる認知行動療法とはどんなものなのでしょうか?
ここでは、簡単に自宅で始められる認知行動療法を3つ紹介していくことにしましょう。
1,寝床にしがみつかない
寝床にしがみつかないことは、睡眠効率を上げるための認知行動療法として、とても効果的です。
必ずしも寝床を決めてベッドやお布団などで眠る必要はありません。
リラックスした状態でソファーの上で眠くなったなら、そのまま眠ってしまうことも時には必要なのです。
自分の中で寝床にしがみつくことで、ベッドに入ってもまた眠れない時間が来るのかと不安に感じてしまったり、寝床に入ってからもまだ眠れない…まだ眠れない…もう1時間経過してしまった…などと過剰に意識してしまうことになります。
このような意識が知らず知らずのうちに、ストレスとなり安眠を妨げているのです。
2,睡眠効率を上げる
自分では気が付いていないだけで、睡眠効率を下げる行動をとっている方も少なくありません。
どのような行動が睡眠効率を上げてくれるのかをしっかりと把握した上で取り入れていきましょう。
寝る前のカフェインを控える
寝る前にコーヒーを飲むと眠れなくなると言われていますが、寝る前にコーヒーをはじめとしたカフェインの摂取は控えましょう。
カフェインは神経や脳を興奮させるといった作用を持っているため、体が眠る準備をしていても脳が眠る準備をしてくれず、寝床に入ってからも眠れない時間が続いてしまうことになります。
寝る前に喉が渇いてしまった時にはホットミルクや白湯などを飲むのがおすすめです。
極端に甘い清涼飲料水などを飲んでしまうと一度眠りについた後も喉が渇いてしまい、目が覚めることがありますので注意しましょう。
日差しを浴びる努力をする
朝日が昇り始め徐々に日差しが強くなってくる時間帯には、しっかりと日差しを浴びるよう心がけましょう。
特に朝10時までの日差しを浴びることによって体内の睡眠ホルモンが分泌されやすい状態を作ってくれます。
午後の日差しに比べ、午前中の日差しは特に睡眠ホルモンを活発にしてくれるので、早い時間帯に日差しを浴びる努力が必要です。
朝起きたら、部屋のカーテンなどをしっかりと開けたくさんの日差しを浴びてください。
万が一お天気が悪く曇っていても、ある程度の日差しは届いていますので毎日窓際に立つことや庭に出て日光浴をすることが大切になります。
朝8時から10時の時間帯に出勤などで外出する方は、きちんと日差しを浴びることができています。
そうでない方は、上記の方法を取り入れて少しでも日差しを浴びる努力をしてみましょう。
暗い部屋の中でこの時間帯を過ごしてしまうと、体は活動する時間と眠る時間をしっかり区別することが出来なくなります。
その結果、睡眠サイクルが乱れてしまうのです。
寝床の環境を見直す
睡眠効率を上げるためには寝床の見直しをすることも重要になります。
例えば、枕の高さが違っているだけで眠りにくくなってしまうことがあります。
また、寝室の湿度や温度も自分が身につけるパジャマの素材なども眠りに大きな影響を与えます。
最も快適な寝床づくりをするために寝具の衛生を保ち、湿度や室温にもしっかりと目を向けていきましょう。
寝る時間が近づいたら部屋は暗くする
寝る時間が近づいてきたら、部屋の電気を消して暗い環境を作りましょう。
暗くすることによって睡眠ホルモンの分泌を促すことにつながります。
眠る直前まで明るい部屋で過ごしてしまうことや、明るい部屋で横になってしまう事は避けてください。
少なくとも、寝る30分前から1時間前には部屋を暗くした方が良いでしょう。
お風呂や食事は睡眠の数時間前までに
帰宅の遅い方は食事やお風呂などを済ませて、すぐに寝床へと入ってしまうことがありますが、このようなライフスタイルは正しい睡眠サイクルの妨げになります。
少なくとも3時間前までには食事を済ませ、お風呂に関しては最低でも2時間前までに入るようにしましょう。
寝る前はパソコンやスマホを手放す
寝る直前までパソコンで作業をしているという方や、寝床に入ってからもスマホの操作をしているという方は睡眠効率が大きく低下してしまいます。
パソコンやスマホから発せられる電磁波は、睡眠ホルモンを破壊してしまうのです。
そのため眠る1時間前にはパソコンやスマホから離れ、自然に体が眠る準備を始められる環境を作りましょう。
3,リラックスを心がける
眠る前にはリラックスをすることが大切になります。
寝床に入ってから考え事をしてしまうと知らず知らずのうちにストレスが蓄積される、または神経が興奮してしまい、なかなか眠れません。
眠る前にはしっかりとリラックスできるような環境を取り入れていく事も大切です。
具体的な方法としては以下のようなものがあります。
アロマでリラックス
様々なアロマグッズを活用し、リラックスを取り入れる方法になります。
自分の好きな香りで落ち着いた空間を作りましょう。
瞑想でリセット
1日のストレスや興奮している神経を落ち着かせるためには、瞑想をすることもお勧めです。
5分から10分程度の瞑想を取り入れることで、その日の感情をリセットすることができます。
瞑想する際にはお気に入りの音楽を聴いていても構いません。
楽な姿勢で目をつぶり、何も考えない時間を作るようにしましょう。
サーカディアンリズムを意識する
サーカディアンリズムをご存知でしょうか?
サーカディアンリズムはライフスタイルの一つの習慣として、きちんとリズムを保っていくというものになります。
サーカディアンリズムを意識するためには以下で紹介する方法を取り入れていきましょう。
起きる時間を一定に保つ
眠る時間に関わらず、朝起きる時間を一定に保ちましょう。
寝付いた時間が遅いからといって、起きる時間もその分遅くしてしまうとリズムが崩れる一方です。
どんなに眠くても一度は必ず決まった時間に起きるといった習慣をつけることによって、睡眠ホルモンが分泌されるサイクルも整い、自然に夜眠れる状態に近づいていきます。
起きて最初にする事を決める
朝起きたら、まず始めに何をするのかを決めておきましょう。
背伸びをする、ストレッチをする、カーテンを開けるなど、どのようなことでも構いません。
毎日起きる時間そして起きたら一番始めにすることを統一させることで、体にしっかりと覚えさせるのです。
これこそがサーカディアンリズムの大きな目的であり、体に覚えさせることで上手に睡眠サイクルを整えていくことができます。
まとめ
特に原因がわからず、なんとなく不眠が続いているという方は睡眠効率が低下している可能性が高いからかもしれません。
自分自身の睡眠を見直し、少しでも睡眠効率をアップさせるための工夫を取り入れていきましょう。
睡眠効率は睡眠の質そのものに直結しますので、すべての面において良い睡眠をとることができるようになります。