
不眠症で苦しんでいる人で医療機関などに相談するとマイスリーという睡眠薬を処方されることがあります。
しかし、医師の指示通りに服用してもマイスリーが効いていないのか不眠症の症状が改善しないという場合もあります。
不眠症治療に用いられる睡眠薬のマイスリーは効かない睡眠薬なのでしょうか?
マイスリーの強さと効果、また副作用などについて調べてみました。
この記事の目次
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬マイスリー
マイスリーは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬はマイスリーを含めて数種類ありますが、効果が高いにも関わらず副作用が少ないという点、即効性があり睡眠の作用時間が短いのが特徴です。
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と別にベンゾジアゼピン系の睡眠薬も数種類ありますが、両者の違いとしては非ベンゾジアゼピン系の薬の方が高価ですが副作用が更に少なくなっています。
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬であるマイスリーはその中でも日本国内で一番処方されている睡眠薬です。
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は効果が高いことや安全性が高いことなどから精神科、内科、産婦人科、整形外科・・といった様々な科で処方されています。
このことからも非ベンゾジアゼピン系のマイスリーは国内において広い科で睡眠薬として処方されている薬であり、信頼性がある薬とも言えます。
マイスリーはどんな症状の不眠症に効くの?
睡眠薬は色々ありますが、服用してからどれぐらいで効果を出すかという違いがあります。
服用後すぐに効き目を表す超短時間型から順に、短時間型、中時間型、長時間型があります。
マイスリーはその中でも服用後に即効性のある「超短時間型」の睡眠薬です。
超短時間型の睡眠薬は服用してから1時間未満に効果が最大に達します。
しかしその反面服用してから2時間ほどでその効果が半減するとされ、服用後5~6時間も経つと薬の効果はほとんどなくなります。
このため、不眠症の中でもなかなか寝付くことが出来ないという入眠障害タイプの不眠症の人に効果があるとされています。
このため入眠が困難という症状の不眠症の人にはマイスリーは効果的ですが、夜中に何度も起きてしまうという中途覚醒型や早朝に起きてしまって以後眠れないという早朝覚醒型の不眠症の人にはマイスリーの効果が実感できないという事になります。
ちなみに、マイスリーを服用することによって翌朝まで眠気が残ってしまうというようなことはありません。
覚醒できないというような副作用が少ないということです。
睡眠薬5つの系統
不眠症は辛い症状ですが、強い薬を乱用することによって身体に悪い影響が出るのではないかと心配になります。
睡眠薬には大きく5つの系統があります。
・バルビツール酸系
・ベンゾジアゼピン系
・非ベンゾジアゼピン系
・メラトニン受容体作動薬
・オレキシン受容体拮抗薬
というものです。
簡単にそれぞれの特徴を言いますと、バルビツール酸系は1950年代から使われている古い種類の睡眠薬で、麻酔としても使用されるぐらい効き目が強いのが特徴です。
強い効き目を持つ反面、睡眠中に呼吸が止まってしまう危険や重い不整脈を起こす危険がありますし、薬を使い続けると耐性が出来て効き目が悪くなったり、依存性が懸念される睡眠薬です。
バルビツール酸系の睡眠薬の問題点を解決して出来たのがベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。
重篤な副作用が少なく安全性が高い薬で、用途によって様々な使い分けが出来るように作用時間の異なる薬が多種あります。
このベンゾジアゼピン系の睡眠薬の安全性をより高めたのがマイスリーの属する非ベンゾジアゼピン系の薬です。
安全性が高いので処方されることが多いのですが、耐性や依存性が生じることもあります。
マイスリーは強い睡眠薬?
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には作用時間が様々な薬があるのに比べてマイスリーの属する非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は作用時間の短いものしか発売されていません。
マイスリーは一般名をゾルピデムといいますが、作用時間が短いので強さで言えば弱い薬と言えるかもしれません。
これらの薬に対して、メラトニン受容体作動薬というのは眠りに重要なメラトニンというホルモンが出る、メラトニン受容体という機関を刺激するという仕組みで自然な睡眠を作るものです。
大きな副作用がない反面、効き目が弱いのが特徴です。
オレキシン受容体拮抗薬は脳を覚醒させるオレキシンをブロックして眠気を起こす薬です。
オレキシン受容体拮抗薬はベンゾジアゼピン系よりも弱い薬ですが、効果がある人にはよく効く薬です。
不眠症の治療のために睡眠薬を使用する場合、まずは一般的に弱いとされているメラトニン受容体作動薬から始めて、オレキシン受容体拮抗薬などから試してみて、効き目が弱い場合はベンゾジアゼピン系かマイスリーの属する非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬へと移行するのが理想です。
マイスリーは強さの面から見ても強すぎず、また弱すぎない適当な強さを持つ安全性の高い睡眠薬という認識がされています。
マイスリーの副作用
マイスリーは安全性が高く、副作用の少ない睡眠薬ですが、全く副作用が出ないということはありません。
マイスリーの副作用として重大なものは、
1,飲むことを止められなくなる依存症
2,マイスリーを飲まないことにより不安感が出たり、焦りやイライラが続く離脱症状
3,人と話をしていても不安が高まり、しっかりコミュニケーションできなくなる錯乱症状
4,就寝中に歩き回ったり、話したりする夢遊病
5,実際にないものを見る幻覚症状
6,吐き気やだるさがある肝機能障害
7,落ち着きがなくなったり、怒ったり、泣いたりする興奮、脱抑症状
などがあります。
もし、マイスリーを服用してこのような症状がある場合は専門の医師に相談しましょう。

マイスリーの効果を上げるには
マイスリーは、ほどほどに効き目もあり、依存性や耐性といった副作用の面から言っても非常に安全性の高い薬です。
このため日本国内ではマイスリーを処方する医師が多いようです。
マイスリーの効き目をあまり実感できていない人は、もっと強いバルビツール酸系などの薬に変えたいという人もいるかもしれませんが、現在では安全性の面からも選択する医師が少なくなっています。
では、マイスリーの効果を強めたいときはどうすればいいのかというと、服用する「量」を増やすということです。
マイスリーの作用時間は超短時間型ですので飲んで1時間未満で効き目があらわれ、2~4時間も経てば効果はほとんどなくなるというのを目安に、徐々にその効果を実感できるように処方する量を増やしてもらいましょう。
反対に効きすぎていると思う人は、処方量を減らしてもらうと効き目が弱くなります。
あくまでもマイスリーは入眠困難型の不眠症に対応する睡眠薬なので、朝までぐっすり眠りたいからという理由でマイスリーの処方量を増やすというのは意味がありません。
マイスリーは2~4時間も経てばその効果がほとんどなくなる睡眠薬である、ということを自覚して処方量を調節してもらいましょう。
マイスリーが効かない原因と理由は?
マイスリーは効果や副作用の安全性を考えても非常に優秀な睡眠薬です。
マイスリーが効いて眠れるようになると良いのですが、マイスリーを服用しても効き目が感じられない人もいます。
マイスリーが効かない時に考えられる原因はいくつかあります。
精神的不安やストレスを強く感じている
不眠症になる原因として精神的不安や強いストレスを抱えているというものがあります。
精神的な要素で不眠症になっているのに、精神的不安やストレスがあるので睡眠に効果が出ないというのは当たり前です。
そもそもマイスリーという睡眠薬は非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬ですが、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は睡眠という作用には有効ですが、抗不安作用や筋弛緩作用には反応しないように作られた薬なのです。
このため、不眠症の根本的理由が精神的不安やストレスが原因している人はマイスリーには抗不安作用がないので不向きです。
マイスリーはあくまで入眠困難であるという症状をサポートすることに特化するように作られています。
もし、精神的な不安やストレスが原因でなかなか寝付けないという人はマイスリーよりも抗不安作用があるベンゾジアゼピン系の睡眠薬の方が向いているかもしれません。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で超短時間型のハルシオンなどがマイスリーに変わる睡眠薬です。
医師に睡眠薬を処方してもらうときは、どうして不眠症になったのかという原因を相談してから処方してもらうことが大切です。
そもそもマイスリーに体質が合わない
いくら処方通りに服用しても効果がないという場合、単純にその薬と自分の身体の相性が悪いというのが考えられます。
このように一般的には効果が高いと言われている薬でも自分には合わないという場合は珍しくないので、マイスリーが効かない場合はマイスリーと同じような効果のある他の睡眠薬に処方を変更してもらうようにしましょう。
マイスリーを処方される場合、入眠困難である不眠症であるので、作用時間が超短時間型のハルシオン、アモバン、ルネスタなどに変更してもらいましょう。
薬の効果はよく似ていますが、それぞれ少しずつ成分の違う薬ですので試してみると良いでしょう。
マイスリーがバランスのとれた良い睡眠薬であっても自分には効果がないとう時は、薬があまり効いていないということを医師に相談して処方を変えてもらいましょう。
効き目のない薬をダラダラと飲み続けることも副作用などを考えると危険です。
耐性が出来てしまって効かない
非ベンゾジアゼピン系のマイスリーは非常に安全性も高い薬ですが、長期間服用することによって身体に耐性が出来てしまって効き目を感じることが出来ないということがあります。
耐性というのは薬の効果に対して身体が徐々に順応してきてしまうことによって効き目がなくなることです。
耐性が出来ると徐々に服用する薬の量を増やすことも出来ますが勝手に服用量を調節することは危険ですので絶対に止めましょう。
長期間マイスリーを服用していることで効き目が以前よりも低くなってきたということを医師に相談して薬を変更するか処方量を増やしてもらいましょう。
マイスリーに限らず、睡眠薬は長期間服用することによって耐性が出来てしまいます。
マイスリーはその中でも耐性が出来難い睡眠薬ですが、それでもあまり睡眠薬に頼って入眠するだけでなく、不眠症の原因になっている疾患などを積極的に治療して、なるべく薬に頼ることなく自分の力で入眠できるようになるように努力することも大切です。

一緒にアルコールを飲んではいけない
眠れないからアルコールを飲むという人もいます。
アルコールというのは寝酒として利用すると確かに入眠がスムーズになるということがありますが、効果をもっと実感するためにアルコールとマイスリーを一緒に服用してはいけません。
アルコールと一緒に服用しても良い薬もありませんが、睡眠薬であるマイスリーとアルコールを同時に服用することで精神機能・知覚機能、運動機能の低下を増強する恐れがあります。
マイスリーもアルコールも脳に対して鎮静作用や睡眠作用があるので両方を使用することで想定以上に脳の機能が低下する恐れがあります。
本来、マイスリーは作用時間が超短時間型で服用後2~4時間ほどでその効果がなくなるのが特徴なのですが、アルコールとマイスリーが同時に身体に入ると肝臓でのマイスリーの分解が遅れます。
本来、薬とアルコールではアルコールの方が先に分解されるために、作用時間が本来の時間とずれてしまいます。
即効性のあるマイスリーがなかなか作用せずに、長時間身体に残留することで朝になってもなかなか覚醒しない状況になります。
朝になっても眠い状況が続くということは意識の低下、判断力の低下、集中力の低下などと直結するため日常の生活を危険にさらすことになりかねません。
マイスリーの効果を上げようとして、寝酒としてアルコールを飲むことは危険ですので避けるようにしましょう。
アルコールを飲みたいという日はマイスリーの服用を止めることで危険を回避できます。
まとめ
マイスリーは睡眠薬の中でも効果が高く、副作用の少ない薬として開発され現在国内では一番処方されることの多い睡眠薬です。
作用時間が短く、入眠困難な不眠症に非常に適した睡眠薬ですが、医師の指示通りに服用しないのは危険です。
マイスリーがもし効かないと感じたら自己判断で服用方法を変更するのではなく、必ず専門の医師に相談してみましょう。