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眠れない、朝起きれないのは5月病のせい?症状や原因と対策まとめ

  • 最終更新日:2018.03.27
  • 公開日:2018.03.27
眠れない、朝起きれないのは5月病のせい?症状や原因と対策まとめ

「五月病」という言葉を耳にしたことがある方も多いことと思います。

五月病とは、4月に新入生や新社会人が誕生して新しい生活や環境に慣れてきたと思われる5月頃に現れる、精神的な不安定状態の総称です。

抑うつや不眠などの症状を引き起こします。

五月病という名称は正式な医学用語ではありませんが、新入生や新社会人に限らず多くの方が環境の変化によるストレスから五月病になっています。

では、五月病とは一体なにが原因となって発症し、どんな症状が現れ、どのような対策をすればよいのかなどを詳しく見ていくことにしましょう。

五月病になる原因は?

五月病になる原因は?

 

五月病とは正式な病名ではなく、診断名をつけるならば「軽度の適応障害」ではないかと考えられています。

また「うつ病」と似た症状もあります。

ですが、五月病は環境に適応していくことで症状が改善されていく短期的な精神不安定状態なので、適応障害やうつ病とは少し違います。

五月病が発症するのはやはり五月頃が多く、新入生や新社会人になって1ヶ月が過ぎ、何もかも新鮮に感じた新しい環境にもようやく慣れてくる頃合いです。

新しい環境や新しい生活に適応することができずストレスを抱えたままゴールデンウィークという大型連休に入ってしまい、長い休みの間にリズムが狂ったり、考え込んでしまう時間ができて、連休明けには「朝起きれない」「職場(学校)に行きたくない」となってしまうようです。

去る2017年4月に、医師専用コミュニティサイトMedPeerにて、精神科・心療内科系の医師206人に対してのアンケート調査が行われました。

五月病の原因・症状・対処についての質問です。

その結果によれば、五月病になった原因として一番多かったのが「人間関係の悩み」で34%、次に「日常の生活パターンの変化」で26%、「新生活のイメージと現実のギャップ」が15%、後は「仕事量が多いまたは厳しい」12%、「大学合格などの目標を達成して次の目標が見つからない」11%、「その他」2%、となっていました。

社会人の場合は上司との関係性、学生の場合は友人関係で悩んでいる人が多く、五月病を発症する大きな要因といえそうです。

また、上司に叱られて出勤できなくなった、慣れない仕事と長時間勤務が厳しい、などが理由として挙げられています。

 

参考サイト:MedPeer 

 

五月病の症状とは?

五月病の症状とは?

 

五月病は人によって症状がさまざまなのですが、先述のアンケート調査によれば、もっとも多く見られたのは「抑うつ・無気力」の66%でした。

朝起きられない、起きても身体が動かない、やる気が出ない、だるい、何事もおっくう、心身ともに疲れて仕事に行きたくない、仕事にいく気力が出ない、仕事のことを考えると落ち込む、好きだったはずのことにも興味がもてない、休日に楽しめない、などの訴えをよく聞くそうです。

次に多かったのは「不眠」で22%です。

数字だけ見ればそれほどの割合でもないのですが、実は、五月病は不眠症状から始まることが多いのだそうです。

ストレスを抱えていると、そのことばかりを考えるようになってリラックス状態になれず、身体は疲れていても目が冴えて眠ることができなくなるのです。

これは、布団に入ってもなかなか寝つけない「入眠障害」の症状といえます。

ストレスから熟睡できないため、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」を引き起こしてしまい、昼間にしょっちゅう眠くなるといった症状の方もいるそうです。

また、連休後の出勤に不安やストレスを感じて朝早くに目覚めてしまう「早朝覚醒」が頻繁に起こる方もいます。

これらの睡眠障害は過度のストレスからくるもので、脳と身体からのサインだったのかもしれません。

なお、五月病のその他の症状は「動悸や息苦しさ」7%、「焦燥感」3%、「食欲不振」1%、「その他」1%、となっています。

 

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五月病の対策は?

五月病の対策は?

 

このような五月病の症状に対してどのような対策をするべきなのか、精神科・心療内科系の医師の方々はどう指導してらっしゃるのでしょう。

一番多かったのは「知人や家族に話しを聞いてもらう」で、41%と半数近くを占めていました。

社会人の場合は、自分一人で悩まずに家族や同僚や上司と話していれば改善できた、誰かに愚痴をこぼすだけで半数以上が回復する、相談できる相手を見つけると気分が楽になる、とのアドバイスがありました。

一人で抱え込まずに誰かに相談することは予防になり、回復の早道にもなるのですね。

また学生の場合も、休みに帰省する、大学の保健センターで相談に乗ってもらうという方法があるようです。

次に多かったのは「睡眠を多くとる」の28%です。

「睡眠がとれるようになれば半分は回復です」、「良質な睡眠は心身の健康に重要です」、「昼寝でもよいからとにかく寝ることです」、「睡眠によってしか脳の疲れは取れません」など、睡眠と休養がセットで推奨されています。

たしかに、ストレスによって眠れなくなるのですから、眠れるようになれば回復に向かっている証拠です。

とにかく寝る、これに尽きるのでしょう。

そして「運動でストレス解消」の11%、「趣味に打ち込む」5%、「音楽、お風呂などでリラックスする」3%、「その他」12%です。

つまり五月病の対策としては、まず誰かに話すことですね。

家族でも友人でも、相談センターのような窓口でもいいので、一人で考え込まずに吐き出すことが大事なのです。

と同時に、とにかく眠ることです。

眠れなくても眠る努力をしましょう。

そのためには、運動で身体を動かしたり、お風呂でリラックスする、ということになります。

五月病は「うつ病」に進展してしまうこともありますので、時が経てば治ると楽観視せずに、早い段階で気づいて早急に対処してください。

 

五月病という病気はない?

五月病は、新しい環境に適応できないことが原因となって5月頃に現れる精神的に不安定な状態の総称であり、「五月病」という名前の病気はありません。

新しい環境に適応していないことが原因となっていますので、環境の変化になじめば回復します。

だいたい2~3週間ほどで収まってくるようなら、短期的な五月病なので心配いりません。

家族や友人とのおしゃべり、質の良い睡眠、適度な運動、規則正しい食生活などで症状は改善されていきます。

ですが、症状が長引いたり回復の兆しが見られないようなら、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。

そして必要なら心療内科や精神科の診察を受けてください。

五月病は「軽度の適応障害」ともいわれています。

ある程度の期間が過ぎても症状が改善されない場合は、軽度ではない「適応障害」の可能性も考えなければなりません。

また五月病は、環境に適応できずに長引いてしまうと抑うつが強くなって「うつ病」へと移行するケースも少なくないのです。

五月病でいるうちに対処して、適応障害やうつ病へと進展しないよう充分に注意しましょう。

 

適応障害とは?

適応障害とは?

 

適応障害とは「不安障害」の一種で、環境や生活の変化に適応できずにストレスとなり日常生活に支障がおきる病気です。

きっかけとなる変化は、進学・就職・退職・転職・失恋・離婚・引っ越しなど、生活していく上で起きるさまざまな出来事です。

他の人が何気なくやり過ごしていることでも、その人にとっては耐えられないほどのストレスとなって精神的に不安定になり、身体面や行動面でも問題が生じることがあります。

 

症状

症状には個人差がありますが、憂うつ・不安感・神経過敏・イライラ感・意欲の低下・集中力の欠如などが精神的な症状として挙げられます。

身体的な症状としては、頭痛・不眠症状・動悸・めまい・倦怠感などです。

行動面の症状では、遅刻・早退・無断欠勤・喧嘩・無謀な運転・物を破壊する・攻撃的になるなど問題行動を起こすことがあります。

症状の中にはうつ病と似ているものもありますが、適応障害の場合はストレスを起こしている原因が明らかに分かっていますので、その原因から遠ざかれば症状は改善されていきます。

また、休日などでストレスの原因から離れている時は、体調も気分も良い状態になることが多いのです。

そこがうつ病と異なる点といえます。

ただ、逆にどうしてもストレスの原因を取り除けなかったり、離れられない場合は、症状が悪化して慢性化する可能性もあります。

 

適応障害になりやすい性格とは?

この病気は、真面目で責任感が強く優等生的な性格で、一人で物事を抱え込んでしまう頑張り屋さんがかかりやすいといわれています。

今の状況を自分でなんとかしなければと、誰かに頼ることなくあがき続けたりすることで症状がますます悪化してしまうことがあるのです。

 

治療法

もっとも有効な治療法は、ストレスの原因から離れることです。

転職や転校、引っ越しなどがありますが、困難な場合は他の方法を考えます。

カウンセリングなどを通じてその状況に適応する力を養う「認知行動療法」と「薬物療法」です。

ですが、薬物療法は症状に対しての対症療法ですので根本的な治療にはなりません。

適応障害には、ストレスをなくすために環境を整えることと、認知行動療法でストレスに対抗できる力をつけることが有効な治療法なのです。

 

うつ病とは?

うつ病とは?

 

うつ病とは「気分障害」の一種で、精神的ストレスや身体的ストレスによって気分が沈み込む「抑うつ状態」が長期間にわたって続き慢性化した状態をいいます。

脳が機能障害を起こしてうまく働いてくれないため、ネガティブな見方をするようになり、自分に自信が持てずダメな人間だと思い込んでしまいます。

そこにストレスがかかれば普段以上にダメージを受け、さらに抑うつ状態が悪化するという悪循環を引き起こしてしまうのです。

 

症状

うつ病の症状には精神的な症状と身体的な症状があります。

精神的な症状の代表的なものとして「全体的な意欲の低下」が挙げられ、

 

・「何をしても楽しくない」

・「良いことがあっても嬉しくない」

・「イライラする」

・「ネガティブな思考をくりかえす」

・「自信がなくなる」

・「落ち着きがなくなる」

・「集中力がなくなる」

・「むやみに自分を責める」

・「いろんなことが不安になる」

・「死にたくなる」

 

といった症状も現れます。

身体的な症状では、

 

・「眠れなくなった」

・「寝てもすぐ目がさめる」

・「寝起きの調子が良くない」

・「疲れやすくなった」

・「身体がだるい」

・「食欲がない」

・「喉が渇きやすい」

・「性欲がない」

・「頭痛」

・「肩こり」

・「めまい」

・「下痢」

 

などの症状が起こり、慢性化しやすくなります。

 

うつ病になりやすい性格とは?

うつ病は、几帳面で完璧主義、義務感が強く頑固、争いを好まないため他人の顔色をうかがい、物静かで感情を抑え込むタイプの人がなりやすいといわれています。

感情をあらわに出来ないため不満や苛立ちを内に秘めてしまい、発散できずに鬱積してしまいがちになるのです。

 

治療法

うつ病の治療には、まず心と身体に充分な休息を与えることが重要です。

その上で、抗うつ剤などの「薬物療法」を行います。

また、カウンセリングによる「認知行動療法」などもうつ病に効果的だということがわかってきました。

うつ病は、こじらせると回復に時間がかかってしまいます。

もしかしたら?と感じたらすぐに専門医の診察を受けましょう。

 

関連記事
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五月病は誰にでも起きる可能性がある

五月病は誰にでも起きる可能性がある

 

五月病は新入社員や新入生がかかるもの、5月にだけ起きるものと思っていませんか?

意外かもしれませんが、五月病は年齢に関係なくかかるもので、環境の変化によって年中起きます。

転勤や転職などで新しい環境に置かれた場合、20代でも50代でもストレスの感じ方次第で五月病になり得るのです。

結婚数年後に姑と同居することになって五月病を発症したというケースもあります。

つまり誰にでも、どの時期でも五月病になる可能性はあるということです。

とくに、適応障害にかかりやすいといわれる、真面目で責任感が強く優等生的な性格の頑張り屋さんは気をつけましょう。

自分で自分を追い込まず、一人で無理な時は誰かに頼るようにしてストレスを乗り切ってくださいね。

 

まとめ

まとめ

 

現代のストレス社会では、五月病になる人も珍しくなくなりました。

しかし、五月病になる原因も対策も明確に分かっています。

こじらせる前に対処しましょう。

人とのコミュニケーションを大事にして何かあれば相談する、愚痴るのもいいですね。

質のいい睡眠をしっかりとる、眠れなくても眠る努力はする、パジャマに着替えるなどの睡眠儀式を取り入れると寝つきやすいですよ。

適度な運動でストレス解消する、お風呂に入ってリラックスする、どちらも気持ちをリフレッシュさせて眠りやすくする効果があります。

良質な睡眠は脳と身体の休息に不可欠で、ストレスで傷んだ心も癒してくれます。

苦しい時や悩んでいる時こそ、しっかり眠ってエネルギーを蓄えましょう。

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