
「神経が高ぶって眠ることができない」「色々考えてしまって、スムーズに眠ることができない」と言う睡眠に対する悩みをお持ちの方もいることでしょう。
そんな方におすすめなのが、高い鎮静効果を持つことで知られている酢酸リナリルと言う成分。
酢酸リナリルは主にエッセンシャルオイルに含まれているもので、アロマなどとして私たちが取り入れることのできる成分です。
そんな酢酸リナリルについて、今回は掘り下げてみたいと思います。
その酢酸リナリルを含むアロマや睡眠をもたらすとされる効果について詳しく見ていくことにしましょう。
この記事の目次
酢酸リナリルって何?
酢酸リナリルと言う成分を耳にしたことがあると言う方は少ないのではないでしょうか?
酢酸リナリルは別名リナリルアセテートと呼ばれる物質で、リナロールと共に精油の中に含まれる成分です。
天然由来の成分で特に枝や葉の付いた精油の主成分に多く含有されています。
ラベンダーなどは安眠効果が高いことで知られていますが、この酢酸リナリルが豊富に含まれていることがその大きな理由です。
精神を安定させる効果があるため、「リラックスしたい」「イライラをなくしたい」「悩み事がある」時などに用いられるアロマにはこの酢酸リナリルが含まれています。
酢酸リナリルが持つ睡眠にもたらす効果とは?
睡眠に不可欠な神経伝達物質としてセロトニンがあります。
セロトニンは、興奮性の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンを抑制する作用があります。
不安やイライラを取り除き、スムーズな睡眠をもたらすとされています。
また、このセロトニンは、脳内でメラトニンに変化します。
メラトニンは皆さんご存知の通り、睡眠をもたらすホルモンで、このメラトニンが分泌されると副交感神経が優位に立ち、脈拍、体温、血圧を下げ、睡眠の準備ができたことを脳に知らせることで、眠気を感じることになります。
酢酸リナリルはこれらの睡眠にとって大切な役目を果たしているセロトニンを誘発する効果があるとされています。
しかし、セロトニンは加齢や心身の疲れやストレスなどでもその数が減ってしまいます。
そのため、睡眠障害に悩んでいる方の多くが、このセロトニン不足に陥っているのです。
それを回復させてくれる、誘発させてくれる酢酸リナリルですから、睡眠にもたらす作用にも期待が持てますよね。
酢酸リナリルをマロマとして積極的に取り入れ、快眠できる体を手に入れることができそうですよね。
アロマを選ぶときの酢酸リナリル含有量の目安は?
アロマを選ぶとき、やはり気を配りたいのが酢酸リナリルの含有量です。
酢酸リナリルが含まれていたとしても少量では、睡眠への効果も期待できませんよね。
いったいどのくらいの酢酸リナリルを含んでいれば、マロマとして使用したとき睡眠への効果が期待できるのでしょうか?
その目安は割合で30%以上と覚えておくといいでしょう。
精油には酢酸リナリルだけでなく色々な成分が含まれています。
一般的に精油は多くの化合物からできており、炭水化物、アルコール、アルデヒド、ケトン、フェノール類、アステル類などと分けることができますが、その主成分だけ見ても10種類を超えるものも少なくありません。
そのため、睡眠に効果のあるアロマかどうか判断するときも、酢酸リナリルの含有量が30%以上含まれていれば、相当量含まれていると判断できます。
それ以上酢酸リナリルが含まれている精油ももちろんあり、含まれている量が多ければ多いほど、睡眠時に必要なセロトニンをたくさん誘発してくれることになります。
ですが、一日に必要なセロトニン量は一定ですので、アロマを選ぶときには30%以上酢酸リナリルが含まれていれば、十分に効果が期待できると考えられます。
アロマ、精油選ぶ際の基準としてみてくださいね。
酢酸リナリルを30%以上含むアロマって?
酢酸リナリルを30%含み、睡眠に有効なアロマには、いったいどんなものがあるのでしょうか?
ラベンダー
ラベンダーは、アロマの定番とも言われ、多くの方が愛用しているアロマの一つでもあります。
ラテン語の洗うを意味する「Lavare」がその名前の由来とされており、古代ローマ時代の入浴時に使われていたためとされています。
そのラベンダーには実は28種類もの品種があり、ラベンダーで作られた精油には酢酸リナリルの含有量の割合が30%~50%もあります。
酢酸リナリル特有のイライラやストレスを軽減させる鎮静効果をはじめ、脳やせき髄などの中枢神経のバランスを整えたり、抗菌、殺菌作用、消炎作用や血圧降下、抗うつ、鎮痛など幅広い効果が期待できます。
そのため「万能の精油」「ハーブの女王」とも呼ばれています。
ラベンダーの精油は肌への刺激も穏やかで、肌へ直接つけても、入浴剤代わりに使ってもトラブルが少なく、初心者におすすめのアロマです。
睡眠時により効果を得たいと思うならば、就寝前の入浴時にラベンダーの精油を入れて楽しむか、または寝室でアロマポットに精油を入れ香りを満たした部屋で眠ると言った使い方が良いでしょう。
また、よりリラックス効果を高めるため、マッサージオイルとして活用してみるのも良いですね。
ただし、子供や妊婦さんの利用には注意した方が良いでしょう。
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クラリセージ
ラテン語で明るい、清浄な、澄んだを示すクラルスが語源となっているハーブで、中世では目を洗浄するために使われていました。
そのためクラリアイとも呼ばれていたそうで、その効能には酢酸リナリルの効果として知られている鎮静効果が挙げられます。
数あるハーブの中でも最も酢酸リナリル含有量の多いハーブと言われており、その割合は50%~80%もあります。
あまりにも高い酢酸リナリルの含有量だけに、その効果は絶大ですが、使用にはいくつかの注意点があります。
その一つが車の運転です。
車など集中力が必要な作業前にクラリセージを使用してしまうと、事故につながるため、その使用を控える必要があります。
また、飲酒と併用するのも避けなければいけません。
ですが、クラリセージは高い鎮静効果の他に、女性ホルモンのエストロゲンに似ているスクラレオールと呼ばれる成分も含まれているため、生理不順や月経時のトラブル、更年期障害などにも効果があります。
マスカットに似た柑橘系の甘い香りが心地良く、使用感も大変満足できるハーブです。
睡眠時の効果を高めるのであれば、アロマバスやアロマポットに入れてアロマテラピーとして楽しんでみるといいでしょう。
くれぐれも子供や妊婦さんへは使用しないようにしてくださいね。
プチグレン
プチグレンはビターオレンジの木から抽出されるアロマです。
もともとその名の語源である小さな粒が意味する通り、未完熟の果実からアロマを抽出していましたが、今では主に若い枝と葉から抽出されています。
同じビターオレンジから抽出するアロマにネロリと言う精油がありますが、これは同じ木の花から取られた精油で、その効能は少し違っています。
プチグレンはクラリセージの次に酢酸リナリルの含有量が多いアロマです。
そのためストレスや不安を取り除くだけにとどまらず、睡眠に大変効果があります。
他にも、疲れを取り除く効能があり、殺菌作用が高く、皮脂のバランスを整えてくれるため、ニキビなどの皮膚トラブルにも高い効果を発揮してくれます。
香りはどちらかと言うとウッディー調ですが、葉の持つフレッシュさと甘い果実系の香りを持ち合わせているため使いやすく、デオドラントの効果を得ることもできるので、夏場など汗の臭いが気になる季節には、持ってこいのアロマと言えるでしょう。
睡眠時の効果を期待するのであれば、アロマテラピーとしてやアロマバス、マッサージオイルとして活用するのも良いです。
酢酸リナリルを含んでいるアロマですが、特に使用上、危険なこともないので初心者におすすめのアロマと言えるでしょう。
ベルガモット
イタリアの小都市「ベルガモ」で初めて栽培されたことが、名前の由来となったミカン科の植物ベルガモット。その果皮から精製した精油がベルガモットアロマです。
オーデコロンやアールグレイの香り付けとしても使用されている通り、リッチな柑橘系の香りを持つことでも知られており、甘いその香りは好まない方はいないと言われるほどです。
ベルガモットは酢酸リナリルの含有量も高く、およそ30%以上と睡眠に高い効果を発揮してくれます。
他にも、食欲不振の改善効果があり、優れた殺菌作用もあるため、呼吸器系の感染予防として、ニキビやヘルペス、湿疹などの肌トラブルとしても用いられます。
アルコールとブレンドして虫よけや空気清浄としても活用できるので、その用途も豊富です。
快眠を促すために使いたいのであれば、やはりアロマバス、アロマテラピーに用いるのが良いでしょう。
香水などにも使われるように品よく、とても良い香りがしますので、快適な眠りをもたらしてくれるはずです。
ただしベルガモットには注意点があります。
光に当たると紫外線を吸収してしまうと言うこと、つまり火傷や日焼けをしてしまうのです。
肌に直接付けないことはもちろん、アロマバスなどで楽しむ場合にも入浴後よく洗い流して眠ると安心と言えるでしょう。
紫外線でトラブルを起こすフロクマリン類を取り除いたものも販売されていますので、そうしたものをあらかじめ購入するようにするのも良いかもしれませんね。
いずれにしてもこうした注意点はあるものの、効果の高いオイルです。
注意点を知って正しく使えば睡眠に高い効果を得ることができますよ。
まだまだある!酢酸リナリルを含むアロマ
酢酸リナリルの含有量の多いアロマを4つほど紹介しましたが、他にも酢酸リナリルを多く含むとされるアロマはたくさんあります。
ローズウッドやカモミール、ネロリなどもそのアロマの一部です。
枝葉の付いた樹木から抽出されたアロマであれば、また、リラックス効果があるとされるアロマであれば、酢酸リナリルを含んでいますので自分で好みのものを探してみるのも良いでしょう。
心地よい香りと快眠をもたらしてくれるアロマを見つけてみてくださいね。
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酢酸リナリルを含むアロマを選ぶときの注意点
セロトニンの誘発し、睡眠に良い効果を発揮してくれるアロマを購入するのであれば、製品の質をしっかり確認することが大切と言えます。
最近では、100円ショップなどでもアロマを格安で販売していることがありますが、こうしたものは天然由来のエッセンシャルオイルではなく人工的に作られたフレグランスオイルと言うことも実は少なくありません。
せっかく購入しても、エッセンシャルオイルでなければ、当然酢酸リナリルが含まれていませんので、睡眠に何の効果も期待できません。
製品をよく見てその製品が間違いないものであるか確認した上で購入するようにしましょう。
以下のような点に着目して購入すると、間違いありません。
瓶の色に着目!
天然由来100%のオイルは品質が劣化しやすいことから、その品質を守るため、瓶に色がついています。
茶、青、緑などの色がついているのが一般的です。
透明なガラス瓶やプラスチック容器に入っているものは、間違いなく偽物ですので、購入しないよう気を付けましょう。
精油(エッセンシャルオイル)の表記があるか?
瓶の色だけ見ても分からない時には、製品表記を見てみるといいでしょう。
精油または、エッセンシャルオイルと書かれている場合、間違いなく本物です。
アロマオイルと表記されているものは精油でない可能性がありますので、睡眠のために使用するのであれば、購入しないようにしましょう。
製品表記を確認しよう!
製品表記では、学術名、抽出部分、抽出方法などの明記が義務付けられていますので、それらをしっかり確認しましょう。
確認した上で睡眠に効果のある酢酸リナリルを含むアロマを購入してくださいね。
まとめ
酢酸リナリルを含んだアロマを活用することでセロトニンの高い効果を得ることができ、そのお陰で様々な睡眠障害を改善することができます。
ですが、アロマ購入の際には、質の高いものを選ばなくては意味がありません。
酢酸リナリルをしっかり含んでいる良質なエッセンシャルオイルを選び、開封後はよりしっかり酢酸リナリルの効能を得られるよう、半年を目安に使い切るようにしてください。
酢酸リナリルの睡眠への効果を十分に発揮してくれるアロマで、ぜひ快眠を目指してみてくださいね。