
一言で不眠といっても、その症状や度合いはさまざまです。
専門の医師から処方箋をもらっている人、市販の睡眠導入剤を使っている人、薬を使いたくはないけれど何とかしたいと思っている人など、皆さん本当なら薬や睡眠導入剤に頼らずに健康的な眠りにつきたいと願っている事でしょう。
中には、睡眠に良いとされるハーブやアロマを上手に利用している人もいるかもしれません。
そこで、今回は別名「メリッサ」とも呼ばれるレモンバームについてご紹介していきたいと思います。
知っているようで知らなかったレモンバームの睡眠効果と効能、効果的な使い方などについて見ていくことにしましょう。
この記事の目次
レモンバームとは
レモンバームとは通称名で、学名はMelissa officinalisといい、別名ではメリッサ、和名では香水薄荷(コウスイハッカ)や西洋山薄荷(セイヨウヤマハッカ)と呼ばれています。
シソ科の多年草のハーブで、原産は東地中海地方ですが、今日では南ヨーロッパをはじめ世界中の国々で育てられています。
50~80㎝ほどの高さに生長して、四角い茎と、縁がギザギザした小さなシソのようなハート型の葉をもち、その葉からはレモンの香りが漂います。
春から秋にかけては小さな白い花が咲き、レモンバームの花にはたくさんのミツバチが集まることから、ミツバチのギリシャ語である「メリッサ」とも呼ばれているのです。
また、ギリシャ神話の「メリッサという女性が蜂蜜を与えてゼウスを育てた」という伝説にも由来しています。
レモンバームの名前の通りレモンの香りはしますが、酸味はなくミント系のさっぱりした味です。
酸味がないためハーブティーとして利用される事も多く、料理や飲み物の香り付け、入浴剤やポプリなどにも有効活用されています。
レモンバームの歴史
レモンバームはとても長い歴史をもつハーブで、古代ギリシャやローマ時代にはすでに栽培が行われていたと考えられています。
そもそもはハチミツを得るために、ミツバチが集まりやすいレモンバームは大切に栽培されていたのですが、その後は噛み傷の治療に効果があると薬用植物として利用されるようになりました。
また、アラブ人によって強胃・強心・強壮作用をもった薬草であるとも伝えられ、薬物誌には解毒剤としても有効だと書かれています。
そして、8世紀には不眠や頭痛などの改善に効果が、11世紀にはうつ症状の改善への有効性が認められました。8世紀~9世紀頃より、レモンバームは「長寿のハーブ」「若返りの薬草」と信じられていたのです。
さらに16世紀になると、錬金術師として有名なスイスの医師パラケルススが、心臓に対して鎮静作用をもつことからレモンバームを「生命のエリキシル(不老不死の霊薬・万能薬)」と呼んで珍重し、炭酸カリウムと合わせた「プリムム・エンス・メリッサエ」という薬剤を開発して医療に用いていました。
現代においても、ポリフェノールが豊富なレモンバームはアンチエイジングに役立つハーブとして親しまれています。ドイツのコミッションEも、鎮静作用や消化不良、吐き気の防止に効果があると認定しています。
レモンバームの睡眠効果と効能
1. 精神を安定させてリラックスさせる効果
レモンバームには、シトラール・ゲラニオール・リナロールなどの精油成分が含まれており、これらの精油成分には鎮静作用があると言われています。
また、自然の精神安定剤と言われるβ-カリオフィレンも含まれているため、イライラしたり緊張しすぎたり、パニックになったりなど、昂ぶった神経を沈めて落ち着かせてくれる働きがあるのです。
しかも、レモンバームには抗うつ作用や抗不安作用もありますので、気分が滅入っていたり沈んでいたり不安が頭から離れない時などには、気分を高揚させて前向きに考えられるよう働きかけてもくれます。
レモンバームに含まれる成分は、気持ちを安定させて心身共にリラックスしやすい状態にしてくれるので、寝る前に嫌な事を思い出してしまったり、心配事で眠れなかったりする場合に有効とされています。
精神の不安定からくる不眠症の緩和に効果があると用いられているのです。
2. 自律神経失調による不調を改善する効果
気持ちを落ち着かせる鎮静作用と、沈んだ気持ちを癒してくれる抗うつ作用で、不安定な心もバランスが取りやすくなるため、ストレスが軽減されて自律神経の疲労も緩和されるとされています。
レモンバームの効果と効能には、不安・緊張・めまい・頭痛・耳鳴り・食欲異常などの緩和とありますが、これらはストレスや自律神経失調症からくるものが多いため、レモンバームの鎮静作用と抗うつ作用の働きによって緩和されると考えられているのです。
睡眠障害の一つである不眠症は、人間関係や仕事の問題などストレスからくる心理的原因が多いと言われています。
とくに不眠症の主な症状と言われる、布団に入ってもなかなか寝つけない入眠障害は、気持ちが昂ったり落ち込んだりと安定しない状態のために眠れない人が少なくないようです。
レモンバームは、ストレスが溜まっている、心が不安定だと自覚している、そんな人に是非試してほしいオススメのハーブなのです。
3. 抗菌作用・抗ウイルス作用
レモンバームには抗菌作用・抗ウイルス作用があるため、抗菌作用で体内の毒素を無効化して食中毒を防ぎ、抗ウイルス作用で風邪やインフルエンザや気管支炎など呼吸器感染症の予防にも有効だとされています。
また、生理不順や口唇ヘルペスなどにも効果があるとされ、古くから女性に重宝されてきました。
口唇ヘルペス研究では、患部にレモンバーム軟膏を一週間前後塗り続ける事で改善されるという報告があります。
そして、レモンバームには緩和な発汗作用もあり、風邪などで発熱した際に発汗を促して熱を下げる働きもします。気管支のけいれんを静める効果も備えているので、喘息や気管支炎にも有効性を発揮します。
4. アレルギー抑制・抗酸化作用
レモンバームの成分にロズマリン酸というポリフェノールが含まれているのですが、このロズマリン酸には、過剰な免疫反応を正常に戻してヒスタミンの過剰分泌を抑える働きがあります。
アレルギー症状は過剰に分泌されたヒスタミンによるものであり、
また、豊富に含まれたポリフェノールには高い抗酸化作用があり、アンチエイジングや生活習慣病の予防としても定評があります。 ポリフェノールの活性酸素を分解する効果や抗酸化作用によるアレルギー症状の緩和や、不快な症状から感じるストレスを精油成分などのリラックス効果によって軽減するなど、レモンバームはあらゆる面で花粉症の改善に役立つことでしょう。 レモンバームは、昔からお茶にして食後に飲むと良いとされてきました。 それは、レモンバームに含まれている苦味成分が消化器系に働きかけて消化吸収を助け、胃の調子を整えてくれるからです。 さらに、腸内にガスが溜まっているような時にも効果があると言われています。 消化不良やお腹の張り、胃の不快感なども、レモンバームティーを飲んで腸内環境を整えればお腹全体がすっきりします。 また、レモンバームの成分の一つであるテルペンには神経の昂ぶりを沈める働きもありますので、神経性の胃痛や胃炎、過敏性腸症候群などストレスからくる消化器系の不調にはとくに役立ちます。 レモンバームには発汗作用もありますが、末梢血管を広げて身体中に血液を行き渡らせる働きもあるとされています。 血行が良くなれば身体も温まり、新陳代謝アップにもつながって冷えも改善されることでしょう。温かいレモンバームティーを飲めばお腹もすぐに温まるので、とくに寒い冬場には活用してください。 さらに近年、レモンバームに含まれるロズマリン酸には、炭水化物が分解される際に体内に蓄積しやすいブドウ糖に分解されるのを抑える働きがあると報告されました。 つまり、中性脂肪として体内に蓄積されやすいブドウ糖が減るため脂肪が付きにくくなる、ダイエット効果が期待出来るというわけです。 食事前後にレモンバームを摂る事でロズマリン酸の効果が有効に働くと言われています。 レモンバームの精神を安定させる効果や自律神経の不調を改善する効果は、更年期障害や月経前症候群の改善にも役立つと考えられています。 レモンバームにはホルモンバランスを調整する作用をもつβ-カリオフィレンが含まれており、その安全性と効果の高さから「自然の精神安定剤」と言われるほど精神面に働きかけるからです。 不安を和らげる効果がとても高いので、ストレスからホルモンバランスが乱れるのを防ぎます。 女性ホルモンの血中濃度が変化する時期に起きるという特徴があるため、月経前症候群(PMS)や生理不順、月経困難症などにとくに有効だと言われています。 生理やホルモンバランスの崩れによるイライラや気分の落ち込みなどが激しい時には、レモンバームを症状の緩和に利用してみるのもいいでしょう。 近年とくに話題となっている放射線ですが、レモンバームエキスを飲用することで、病気の元となる酸化ストレスとDNAの損傷が抑えられる、つまり放射線によって与えられるダメージが著しく改善されるという実験結果が発表されたそうです。 また、アルツハイマー型認知症の症状を改善する効果、パーキンソン病を予防する効果、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)を和らげる効果も報告されています。 いずれも今後、引き続いて研究がなされていくと思われます。 レモンバームの持てる力をさらに解明して、医療における治療や予防の進歩に役立てられることでしょう。 レモンバームのハーブティーは、不眠症の改善に大きな効果をもたらします。 しかも、レモンバームに限らずハーブティーにはカフェインが入っていませんので、飲む時間に制限がありません。 ただ、眠る前にリラックス状態を作る方法として飲んでも眠れなくなる心配はないのですが、高い効果を望むなら温かいレモンバームティーを就寝の1時間ほど前に飲む事をオススメます。 ホットハーブティーを飲む事で身体が温まって体温が上がり、その後体温が下がる事で眠気がきますので、そのタイミングで眠りにつきましょう。 普段より寝つきが良くなりますので、不眠症や睡眠障害でお悩みの人は一度試してみてください。 眠る前に飲むのなら冷たいレモンバームティーの方がいいですね。せっかく体温が下がって眠りやすい状況にあるのですから、身体を温めてしまっては眠気が覚めてしまいます。 また、たくさん飲み過ぎると夜中にトイレに起きてしまいます。小さめのカップに1杯など、適度な量を飲んでください。 レモンバームティーの作り方は、乾燥させた葉(ティースプーン1杯)をティーポットに入れて熱湯を注ぎます。5分間蒸らして、茶こしを使ってティーカップにハーブティーを注げば出来上がりです。 冷たいレモンバームティーを作る場合は、蒸らし時間を長くして濃いハーブティーを作り、氷を入れてかき混ぜながら冷やしてください。 レモンバームは葉のみで売られている事も多いのですが、手軽に使えるティーバッグの方が手間もかからず便利>です。 レモンバームは、内側からだけでなく外側から摂っても鎮静効果やリラックス効果が期待出来ます。 睡眠前にお香やアロマオイルで香りに包まれるのは、精神を安定した状態にしてスムーズな眠りへと誘ってくれることでしょう。 また、肌をなめらかにする効果もありますので、レモンバームの葉を湯舟に浮かべてゆったりと入浴するのもいいですね。 神経を落ち着かせる鎮静作用や不安を解消する抗うつ作用をもつレモンバームは、その効果から睡眠サプリメントとしても使用されています。 ただし、ハーブのサプリメントは副作用の心配もなく安心ではありますが、表記されている用法や用量は守るようにしてください。 また、医師から処方された薬を飲んでいる場合には、サプリメントを服用する前に必ず医師に相談しましょう。 レモンバームは心にも身体にも良い働きをするハーブで、不眠症の改善に留まらず、万能薬とも言えるほどさまざまな効能があります。 とはいえ、薬ではありませんので即効性はありません。毎日レモンバームティーを飲むなど、続ける事でたしかな効果が現れるのがハーブです。 不眠症や睡眠障害にならないために、症状を緩和するために、レモンバームを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。5. 腸内環境を整えて消化を促進する効果
6. 冷え性改善・ダイエット効果
7. 更年期障害や月経前症候群の改善
8. 認知症改善などその他の効果
睡眠のためにレモンバームを効果的に使う方法
ハーブティーとして使う
アロマオイルとして使う
サプリメントとして使う
まとめ