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歳をとると眠れないのはナゼ?高齢者の不眠症7つの原因と対策

  • 最終更新日:2017.06.06
  • 公開日:2017.06.06
歳をとると眠れないのはナゼ?高齢者の不眠症7つの原因と対策

日本人の5人に1人が悩まされている不眠症、40歳を超えると睡眠の質は一気に悪くなり、60歳以上では約3人に1人が不眠を訴えています。

しかも高齢者の不眠は、若い人のようにストレスや不規則な生活などはっきりした原因ではなく、複数の原因が絡み合って慢性化している場合が多いのです。

夜中に何度も目が覚める、朝目覚めたときに体がダルい、朝早い時間に目覚めてしまうなど、高齢者に特有の不眠の症状ですが、その原因はどこにあるのでしょう。

若い頃とは違う、高齢者が不眠症になる原因と、その対策を見てみましょう。

高齢者の不眠症、最大の原因は「深い睡眠」がとれなくなる

高齢者の不眠症、最大の原因は「深い睡眠」がとれなくなる

 

睡眠時間に対して深く眠れている時間がどれぐらいあるかを比較してみると、若い成人は一晩のうちに深い睡眠が40%ほどを占めるのに対し、70歳ぐらいの高齢者は1~2%となり、寝ている時間のほとんどが浅い眠りで深い睡眠を得られていないのがわかります。

そのため、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」や、朝やたらと早い時間に目覚めてしまう「早朝覚醒」が起きやすくなるのです。

不眠症には、寝つきが悪くなる「入眠障害」、熟睡感を得られない「熟眠障害」、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」などがありますが、高齢者の場合はどれも深く眠れていないことが起因しています。

 

高齢者の不眠症には「早朝覚醒」が多い

高齢者の不眠症には「早朝覚醒」が多い

 

「年寄りは朝が早い」といわれるように、とくに高齢者に多いのは「早朝覚醒」です。

単なる早起きで一日が快適に過ごせているなら問題はないのですが、もっと寝たいけど眠れないから起きるような場合は、眠りが浅いために熟睡感を得られていず体に疲れが残っていることがほとんどです。

また、「中途覚醒」も高齢者には比較的多い不眠の症状です。

夜中に何度もトイレに立ち布団に入ってもすぐには眠れない、それを一晩で何度も繰り返すことでより眠りは浅くなります。
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高齢者は睡眠時間が長いのに不眠症?

高齢者は睡眠時間が長いのに不眠症?

 

「年寄りは早寝早起き」ともいわれます。高齢者は寝る時間が早くなり、ヘタをすれば小学生より早く布団に入ることもあるようです。

朝起きるのも早いのですから睡眠時間はそれほど変わらないかと思いきや、たとえば8時に寝たとして朝5時に起きたら9時間は寝ている計算になります。

2010年の国民生活時間調査報告書によると、日本国民の平均睡眠時間は7時間14分だとされています。

ところが70歳以上の高齢者の平均睡眠時間は、8時間7分と1時間近く長い結果になっているのです。

ですが高齢者の睡眠時間が長くなるのには理由があり、若い頃のように深く眠れず充分な熟睡感を感じられないためなのです。

布団に入ってもなかなか寝つけず、眠ってもすぐ目が覚める、トイレで起きる回数も増え、朝は早い時間に目覚めて眠れなくなる、このような状態では質の良い睡眠がとれず、不眠気味となってしまいます。

それを補うために睡眠時間を増やすことでカバーしているのです。

 

高齢者はなぜ深い睡眠がとれなくなるのか?

 高齢者はなぜ深い睡眠がとれなくなるのか?

 

1,睡眠物質である「メラトニン」が減少する

高齢者の不眠症の主な原因に、睡眠物質「メラトニン」の分泌量の低下があります。メラトニンとは睡眠ホルモンとも呼ばれる、睡眠を促す作用をもつ脳内物質です。このメラトニンが脳の中で分泌されることで、夜には自然な眠りにつけて熟睡できるのです。

ただ、メラトニンは10代にピークを迎えてそれ以降は年齢を重ねるごとに分泌量が低下していきます。
うつ病や体内時計のズレなどからもメラトニンが減少することがありますが、高齢者になると否応なく減っていくものなのです。

 

2,高齢からくる最高体温の低下

一日の中で人間の体温は変化していきます。朝起きる直前がもっとも体温が低く、日中に向けて徐々に体温は上がっていきます。夜寝る前には体温がもっとも高くなり、そこから一気に体温が下がります。

エネルギーの代謝を抑えて脳を休ませるために体温は下がっていき、その時に人間は眠気を感じるのです。お風呂上がりに眠くなるのはこれに似た現象、体温の上昇と下降が起きるからです。そして最高体温と最低体温の差が大きければ大きいほど質の良い睡眠が訪れます。

ところが、高齢になると最高体温が低くなるためその差も小さくなり、体温を下げるためにかかる時間も短くなるので睡眠時間も減少してしまいます。結果的に深い眠りにまで到達できなくなって不眠症となってしまうのです。

 

3,不眠症や睡眠障害の原因になりやすい病気

代表的なものとしては、高血圧・糖尿病・リウマチ・夜間頻尿などがあります。関節痛などは痛みで眠れにくくなってしまいますし、前立腺肥大の方も頻尿になるため夜間頻尿を引き起こします。

また、高齢者に多いうつ病や認知症なども精神の不安定から不眠症の要因となりがちです。

そして、睡眠時に一定時間呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」、夜寝るときに足がむずむずしたり痒くなったりする違和感でなかなか寝つけない「むずむず脚症候群」、睡眠中に手や足がピクピク動いたり瞬間的なけいれんを繰り返す「周期性四肢運動障害(睡眠時ミオクローヌス症候群)」は、中高年から高齢者に増えてくる不眠症の症状です。

どれも睡眠を妨げるもので、年齢とともに発症率があがる傾向がありますので、疑わしい症状があれば早めに専門医の診察を受けましょう。

 

4,服用している治療薬の副作用

不眠症や睡眠障害の一因として薬の副作用も考えられます。

睡眠障害を起こす薬として代表的なものには、降圧薬・気管支拡張薬・胃腸薬・抗うつ薬・ステロイドなどがあげられます。高齢者の方のなかには病院で処方してもらった治療薬を毎日服用している方もいるでしょうが、眠れなくなったり悪い夢ばかりみたりと睡眠を妨げるような影響がでている場合には、すぐに担当の医師に相談してください。

高齢になってくると若い頃より薬の作用が強く出ますので、現在服用しているものが睡眠障害を起こしている原因であれば薬を見直してもらう対策が必要です。

 

5,昼寝のしすぎ

高齢者には比較的自由な時間があります。会社勤めをしていた時のように毎日決まった時間に出勤することもなくなり、子どもの世話で一日中動き回ることもありません。時間はあっても刺激は少なくなり、昼寝をしやすい環境ができあがります。そのうえ夜は熟睡する時間が減って何度も夜中に目が覚めたり、朝の早い時間に目が覚めてしまったりで、どうしても日中に眠気を感じやすい状況になりがちです。

ですが、そこで長時間の昼寝をしてしまうと、また夜に寝つけなくなるという悪循環につながります。たとえ短時間でも夕方の遅い時間に昼寝をすると、やはりなかなか眠れなくなってしまいます。日中は昼寝をしないようにする、もしくは夜の睡眠に影響を及ぼさない範囲で昼寝することで不眠症対策ができます。

 

6,睡眠環境が良くない

若いときは「泥のように眠る」ことができましたが、高齢になると眠りが浅くなるため、小さなことが気になってなかなか寝つけなかったり目が覚めたりします。

布団の寝心地、どこからか聞こえる物音、外からもれてくる光など、若い頃なら気にもならなかったことで眠れなくなることがあるのです。今の環境が睡眠に適しているかどうかを見直して、必要なら改善することも考えてみましょう。

 

7,カフェインやアルコールによる不眠

お茶やコーヒーに含まれるカフェインには覚醒作用があり、高齢者は若い人より覚醒作用が強く出るため寝つきが悪くなります。あまり遅い時間にお茶やコーヒーを飲むと不眠のもとになりますので注意しましょう。

アルコールは、寝つきをよくしてはくれますが深い眠りではありません。質のよい眠りではないため熟睡できず、トイレのために夜中に目覚めたり、朝の早い時間に目覚めたりします。さらにアルコールによって喉の筋肉が緩むので、高齢者が発症しやすい「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こしやすくなります。

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高齢者の不眠症に睡眠薬は処方されない?

高齢者の不眠症に睡眠薬は処方されない?

 

不眠症や睡眠障害の方に睡眠薬の使用をすすめられることは珍しくありませんが、高齢者の場合はよほどのことがない限り睡眠薬を処方されることはないでしょう。

理由として、睡眠薬には意識低下をおこす副作用があるということ、高齢者は代謝機能が低くなっているため副作用の症状が強く出ること、睡眠薬の成分が体から抜けるのに時間がかかるため症状が長い時間続くということがあげられます。

たとえば夜に薬を飲んだとして、翌日の日中まで意識が低下したままだと、ふらつきや転倒などケガをする原因になってしまうのです。

高齢者の場合は、転倒したことで足や腰の骨折など重篤な障害をもつこともあり、寝たきりになってしまう危険性もはらんでいます。

睡眠薬は一時的な対処療法として使用されるもので、不眠症や睡眠障害が根本的に治療される薬ではありません。

長期間の服用によっての依存症もあり得ますので、まずは薬に頼らずに生活のリズムを見直すことから始めてみましょう。

 

睡眠物質である「メラトニン」の生成量を増やす

高齢者の不眠症の主な原因はメラトニンの減少ですが、メラトニンは生活習慣を改善すれば増やすことも可能です。それにはまず太陽の光を浴びることです。脳内でメラトニンが分泌されるためには太陽の光が不可欠ですのでしっかり浴びましょう。

とはいえ高齢者が早朝の太陽光を浴びるのは早朝覚醒を引き起こすこともあります。
人間の体は、朝に太陽光が目に入ったときから一日のリズムを刻み始め、およそ15時間後に眠くなってくるといわれています。体内時計の修正のためにもあまり早い時間から太陽の光を浴びないようにしましょう。

お昼すぎから夕方頃までに運動もかねて散歩をするのも不眠症改善にはよい方法です。

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メラトニンを増やすために必要な物質「セロトニン」も増やす

メラトニンを増やすためには、その材料となる物質「セロトニン」を増やすことも大事です。セロトニンもメラトニンと同様に体内で分泌される物質ですが、夜になるとメラトニンに変化するという性質をもっています。

セロトニンを増やす方法として「リズム運動」をおすすめします。
軽いジョギング、踏み台昇降など、一定のリズムで筋肉の緊張・緩和を繰り返す運動は、セロトニンの分泌をうながすのに効果的だといわれています。

 

高齢者の不眠症、対策は?

高齢者の不眠症、対策は?

 

高齢になって睡眠の質が低下するのは自然なことですが、日々の生活習慣を見直すだけで改善されることもあります。

 

昼寝は睡眠の邪魔にならない範囲で

昼寝をするなら夕方の遅い時間は避けて、3時頃までに20~30分間ほどにしましょう。眠いときに昼寝するのではなく、毎日決まった時間にするほうが不眠症や睡眠障害の改善には役立ちます。

 

毎日少しでも運動をする

運動をすることで体温は上昇します。体温が上昇すれば最低体温との差も大きくなり寝つきがよくなります。また運動はダイエットにもつながりますので、肥満からくる「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こしている方も症状が緩和されますね。

太陽の光のもとでウォーキングや軽いジョギングをすればメラトニンの分泌量が増え、リズム運動を取り入れればセロトニンを増やしますので、不眠症対策になります。

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寝るために効果的な入浴

寝る前に体温を上げておくためには、効果的な入浴も大事です。38~40℃ぐらいのぬるめのお湯に10~20分ほど浸かって、体の芯まで温めましょう。布団に入る1時間前にはお風呂から上がるようにしてください。

熱いお風呂が好きな方もいるでしょうが、あまり熱いお湯に入ってしまうと寝る時の体温低下に時間がかかって、かえって寝つきが悪くなってしまいます。どうしても熱いお風呂がいいという方は、寝る2~3時間前までには入浴を済ませておきましょう。

 

カフェインとアルコール

カフェインの覚醒作用はおよそ4~5時間続きますので、寝る時間から逆算して遅い時間には飲まないようにしましょう。ちなみにスタミナドリンクにもカフェインが含まれていますので注意してください。カフェインとアルコール、どちらも夕食時までにしておくのが無難です。

 

睡眠に適した環境にする

不眠症の自覚がある方、睡眠障害でお悩みの方は、とくに睡眠環境を整えることが大事です。
音や光を遮断できているか、室温は適切か、自分に合った寝具(布団・枕・パジャマなど)を使用しているかなど、今一度見直して対策してみましょう。

 

無理に寝ようとしない

眠くもないのに早い時間から布団に入ることは、かえって不眠症を悪化させる悪循環の元です。早く寝ると早く目覚めてしまうので睡眠不足の解消にはなりません。もし布団に入っても寝つけないようなら、一旦起きてしまいましょう。

 

必要以上に気にしない

高齢になると若い頃より体を動かすことも少なくなるので、消費するエネルギーの量も減ります。そのため睡眠の量がそれほど必要なくなり睡眠時間も短くなります。昔のように眠れなくなるのはごく自然なことなのです。ですから、不眠をあまり気にすることはありません。

気にしすぎるとストレスから悪化してしまう場合もありますので、「年が年だから仕方ない」ぐらいに思って開き直る方が気が楽になって症状が和らぐかもしれません。

 

サプリメント

それでも不眠症の症状をなんとかしたいとお考えなら、まず「グリシン」や「クワンソウ」などの睡眠改善サプリメントを試してみるのはいかがでしょう。

睡眠改善サプリには、眠るために必要な体に優しい成分が使われています。生活習慣の見直しとともに睡眠改善サプリメントを摂取すると、不眠症の改善により期待がもてますね。サプリメントを試してみる場合は、なるべくハーブなどの天然素材にこだわった製品を選ぶと安心です。

関連リンク
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まとめ

まとめ

 

高齢者の不眠症は、日中の生活に支障がなければある程度は仕方のないことです。ですが、毎日の生活を少し見直して気をつけることで症状が緩和されることもあります。睡眠に対する正しい知識をもって、満足できる睡眠を得るために工夫をするのも大事なことです。

ただし、睡眠障害からくる不眠症が疑われる場合には、自己判断をせずに専門医に相談することをおすすめします。

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