
日々の疲れやストレス、悩み事や体調などが原因でなかなか眠れない、寝てもすっきりしないなどという経験は誰しもがあると思います。
今、慢性的な不眠症を始めとする睡眠障害に悩まされていると言う人の割合は年々増加を続けています。
たまに眠れない日がある程度であればさほど心配する必要はありませんが、きちんとした睡眠を取れない状態が長期にわたって続いてしまうと精神的にも身体的にも負担となり、日常生活に悪い影響を及ぼしてしまいます。
質の良い睡眠をとるためにはどうしたら良いのでしょうか?不眠症をおなすためにはどんな方法が効果的なのでしょうか?
ここでは、不眠症で悩む人のために、簡単にはじめられる治し方を紹介していくことにしましょう。
この記事の目次
1.まずは、不眠症の原因を取り除こう
不眠症を患っている場合、それを引き起こしてしまっている原因が必ずあります。まずはその原因を取り除くことから始めてみましょう。
不眠症につながる原因には、次のようなものがあります。
・ストレス
・自律神経の乱れ
・興奮
・昼夜の逆転
・行動量の不足
・アルコール
・カフェインの摂りすぎ
・就寝前の食事
・朝食を抜いている
・就寝前のスマフォやPCの使用
・薬の使用
・病気
などです。
こうした精神的要因や生活習慣の乱れがある場合、不眠症を治していくことは難しくなります。
まずは、心当たりとなる不眠症の原因を取り除き、良い睡眠を取ることができるよう努めていくことが大切です。
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2.朝日を浴びて、体内時計をリセットしよう
人間には毎日の生活リズムを整える「体内時計」と言うものがあります。
体内時計は人間が生活していくために必要なものです。朝目覚め、時間がきたらお腹が空き、夜は眠るというリズムを刻んでくれます。
体内時計が正常に働いている場合、体は昼間活動に適した状態となり、夜は休息状態へと切り替わります。
しかし、体内時計が乱れている場合、昼なのに少し動いただけで疲れを感じてしまったり、夜眠れなかったりと言う不具合が生じてしまうのです。
そのため体内時計を整えることは不眠症を治していくことにつながります。
この体内時計を整えるためには、何といっても朝、太陽の光を浴びることが大切です
。電気などがなかった時代私たちは太陽と共に目覚め、行動し、眠る生活を何万年もの間送ってきたのです。
・朝日でのリセットが大切な訳
この体内時計は人によって異なるという性質があります。
これには脳内で時間を刻む働きをする時計遺伝子が深く関係していますが、一日を24時間と正確に刻んでいる人もいれば、23時間、25時間などと誤差を生じている人もいるのです。
それをリセットしてくれるのが朝浴びる太陽です。太陽の光を浴びることで時計遺伝子が直接反応し、誤差を修正してくれるのです。
「曇りの日や雨の日があるのだから毎日太陽の光を浴びることがそんなに大切なの?」と思う方もいると思いますが、曇りの日でも太陽の光は1万ルクス(光の明るさを表す単位)もの強い明るさがあります。
そのため朝起きてカーテンを開け、光を浴びることで体内時計はリセットさせるのです。
不眠症を克服するためにも、朝、太陽の光を浴びることは忘れず行うようにしましょう。
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3.良い睡眠につながる環境作り
良い睡眠を取るためには、睡眠環境を整えることも大切です。
心地よい睡眠環境があってはじめて人はゆっくり眠りにつくことができます。
不眠症改善のために、睡眠環境についても気を使ってみましょう。
・寝室の湿度と温度を整えよう
良い睡眠を取るためには、眠っているときの温度と湿度のバランスを整える必要があります。夏暑いと眠ることができなかったり、あまりの暑さに目が覚めてしまったりしますよね。
そうした眠るために障害となる環境をまずは整えることから始めてみましょう。暑い夏であれば、眠る30分前に少しクーラーをつけて25度から28度まで温度を下げておくといいでしょう。
冬は布団をかぶることを考えて、16度から20度程度の温度にしておくとスムーズに睡眠に入ることができます。
また、湿度の高い時には除湿器を使ったり、エアコンのドライ機能を活用して快適な湿度に整えましょう。
おおよそ50%前後の湿度が理想と言われていますので、冬など湿度が低い時には逆に加湿器を付けたり、濡れタオルをつるしておくなど工夫をしてみましょう。
・寝具やパジャマにも一工夫
人は眠る時、立っている状態と同じ姿勢が理想と言われています。自然なS字カーブを描ける寝具に変えてみるといいかもしれません。
柔らかすぎる場合には少し硬めにしてみたり、反対に硬すぎる場合には、クッション性のあるマットレスを使用してみるなど工夫して、理想の寝姿勢を取ることができるよう心がけましょう。
また、枕の高さなどにも気を使ってみましょう。枕は、寝返りをスムーズに打てる高さが理想と言われています。
今では、マイ枕を作ることのできるショップなども増えていますので、寝心地がいまいちと言う方は枕を見直してみると不眠症改善につながるはずです。
自分が心地よいと思える素材などにもこだわってみるといいかもしれません。
また、パジャマは体への締め付けが少ないものを選びましょう。
快適な体温調節を促すためにも、通気性の良いもの、吸湿性の良い素材のものを選んでみましょう。
・アロマの睡眠導入効果も活用しよう
アロマには200から300種類のものがあると言われていますが、その中には睡眠を促す効果のある、快適な目覚めを促すと言われるアロマがあります。
こうしたアロマを上手に活用し、心身共にリラックスして不眠症を治していくといいでしょう。
特におすすめなのが、鎮静効果を得ることのできるアロマです。
アロマ初心者であれば、ティッシュに精油を1・2滴たらし、枕元に置いてみる方法がいいかもしれません。
吸入法や沐浴法でアロマを利用してみるのも良いですね。
アロマポットやアロマディフューザーなど専門のアロマ器具を使用してみるのも、寝ている間継続して効果を得ることができます。
●ラベンダー
さわやかで、フローラル系の香りのするラベンダーは、リラックスしたいときや安眠を促す効果が期待できるアロマです。
●オレンジ・スイート
柑橘系のさわやかな香りが楽しめるアロマです。気分を良くしてくれる効果があり、ぐっすり眠ることができるアロマとして知られています。
●カモミール
心配事がある時におすすめなのが、カモミールです。心をリラックスさせてくれ、スムーズな眠りに導いてくれます。
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・一杯のハーブティーを寝る前に
ハーブティーとは、薬効成分を持つ植物を乾燥させて作ったお茶のことですが、このハーブティーには副交感神経の働きを活発にする効果があります。
副交感神経は睡眠と深い関係があり、活性化させることで安眠を手助けしてくれると言う作用を持っていますので、不眠症対策として活用してみるといいでしょう。
また、ハーブティーによっては、不眠に直接作用してくれるものや気分を落ち着かせてくれるもの、冷え性を改善してくれる効果のあるものもあり、不眠症の要因となる部分さえもいっぺんに解決してくれる飲み物と言えます。
睡眠に良くないとされるカフェインも一切含まれていないお茶ですので、眠る前でも安心して飲むことができますね。
ベッドに入る1時間前に飲むとより高い効果を得ることができますので試してみましょう。
不眠症対策としてぜひ眠る前の一杯のハーブティーを毎日の習慣としてみましょう。
ハーブティーには1種類のハーブで作られているものと、色々なハーブをブレンドして作られているものがありますので、自分に合ったものを見つけてみましょう。
数あるハーブの中でも特に睡眠に効果的なハーブティーを紹介させていただきます。
ブレンドハーブティーなどを購入する場合には、これらのハーブがどのくらい含まれているかを確認して、購入してみるといいでしょう。
●バレリアン
バレリアンは高い薬効成分のあるハーブで、特に脳内の神経伝達物質であるGABAの働きを良くしてくれます。
GABAを刺激することは高い睡眠導入効果が得られるため、一般的な睡眠薬でも用いられている仕組みです。
古代ギリシャでも安眠ハーブとして広く活用されていました。
GABAには他にも、ストレスが緩和できたり、興奮状態をリラックスさせる、抗不安作用があるとされていますので、不眠症の原因にまで良い働きをしてくれることが期待できます。
ぜひ、ハーブティーとして飲んでみるといいでしょう。ただし大量に飲んだりすると血圧が上昇するので、飲みすぎには注意しましょう。また、妊娠中や子供への飲用は避けましょう。
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●セージ
17世紀ごろからお茶としてヨーロッパなどで広く飲まれているセージは、万能薬と言われており、「セージを育てているうちに死人が出ない」と言われるほど効果の高いハーブとして知られています。
中国医学では神経系に高い効果を発揮すると言われていて、精神の安定やストレス軽減、興奮状態の沈静などに用いられています。
これらは不眠症の代表的な原因とも言えますので、不眠症改善に取り入れてみるといいでしょう。
ただしハーブティーとしてのセージの葉には独特な香りがあります。
お茶として飲むときにはマイルドになりますが、味に少し苦みがあるため、飲みにくい、苦手と言う方は他のハーブティーとブレンドして飲んでみるといいでしょう。
セージには、他にも美肌効果、アンチエイジング効果、生理不順や更年期障害の改善効果、風邪や口内炎、歯肉炎などに効く抗菌効果などもありますので、女性にとって嬉しいハーブです。ぜひ取り入れてみてくださいね。
ただし、高い効能があるため、妊娠中、授乳中、てんかんの方の飲用は避けた方がいいでしょう。
●ミント
ミントはその味わいがすっきりしているだけでなく、気分もリフレッシュさせる効果のあるハーブです。
高い鎮静効果があるため、不眠症の原因であるイライラや不安、ストレスを和らげることができ、スムーズな睡眠を手助けしてくれます。
ただし、母乳などをあげている方にとっては抑制作用があるので、産後の飲用には注意しましょう。
●オレンジピール
その名の通りオレンジの皮を乾燥させて作ったハーブティーです。オレンジピールには2種類あり、スイートとビターから選ぶことができます。
気持ちが落ち込んで眠れないときや不安が邪魔して眠れないとき、イライラなどの興奮状態のときにも抗うつ効果と鎮静効果が働いてくれるので、スムーズな眠りをもたらしてくれます。
さわやかな香りがする馴染みやすい味ですので、ハーブティー初心者でも飲みやすいハーブと言えます。
他のハーブなどとの相性も良く、ブレンドハーブティーとして楽しんでみるといいでしょう。
●カモミール
アロマでも紹介したカモミールはハーブティーとして飲んでも高い効果を得ることができます。
ストレスや不安を取り除き、リラックスできるという効能がある他、不眠改善も期待できます。
飲みやすく、作用も柔らかいため、子供やお年寄りでも気軽に利用できるハーブです。
女性にとって嬉しい生理痛や生理不順、冷え性を改善させるという効果もあります。
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>>カモミールで不眠解消!睡眠に効果的な摂り方と注意点って?
●ラベンダー
ラベンダーについてはアロマでも紹介させていただきましたが、ハーブティーとして飲用するのもおすすめです。
鎮静作用があるため、ストレスやイライラ、不安などの不眠要因を取り除いてくれる効果が期待できます。
高いリラックス効果があるため、どうしても寝付けないと言う夜におすすめです。
ただし妊娠中、授乳中の方の飲用は避けた方がいいでしょう。
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>>ラベンダーの睡眠作用と効果的な使い方とは?
4.軽い運動で不眠症を克服しよう
ただ、運動をすれば、安眠につながるというわけではありません。
激しい運動をすれば、体が疲れるため、睡眠できると思われがちですが、不眠症の原因の一つともいえる興奮状態を作り出すため逆効果となるケースもあるのです。
ここでは、不眠症を治すために行うべき運動を紹介していきましょう。
・寝る2時間前までの軽い運動
毎日、軽い運動であるウォーキングに出かけてみてはいかがでしょうか?
不眠症を治していく効果が期待できます。就寝直前ではなく、就寝時間の2時間ぐらい前までに行うのがポイントです。
交感神経を刺激して興奮状態を作らないためにも、激しい運動ではなく、有酸素運動を心がけましょう。
散歩に限らず、ストレッチ運動や階段の上り下りなどでもいいでしょう。おおよそ20分ぐらいでかまいません。
わざわざ運動するのが面倒と言うのであれば、会社から帰宅する際に一駅歩いてみるというのもいいかもしれません。
不眠症を治すためには、ノンレム睡眠(いわゆる夢を見ない時間)をできるだけ長く作ることがポイントとなります。
ノンレム睡眠は体の筋肉や疲労を回復する時間であり、運動することでその時間が長くなり、深い睡眠をもたらしてくれます。毎日適度な運動を心がけましょう。
5.専門家に相談することも大切
やはり長く習慣化した不眠症を治すことは簡単なことではありません。
色々な不眠症治し方を試していくうちに、少しずつ不眠症が良くなっていくこともあると思いますが、不眠症には自分では意識することのできないうつや睡眠時無呼吸症候群など危険な原因が潜んでいるケースもあるのです。
すべての不眠症を自分自身で治せるというわけではないため、やはり医師に相談してみることは大切なことと言えるでしょう。
また、病気などが原因となって、かゆみや痛みで不眠症に陥っていることも考えられます。
自分の症状に合わせ一度専門機関での診察を受けてみると安心です。
睡眠薬などの薬の服用に懸念のある方はその旨を伝えることで医師も治療法などの相談に応じてくれますので、心配はいりません。
不眠症を早く治すためにも、医師での治療と両立して紹介した不眠症の治し方を試してみるといいでしょう。
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まとめ
ここで紹介してきた不眠症の治し方は、今日試したからと言ってすぐに不眠症が治るというものではありません。
ですが、毎日続けていくことによって必ず不眠症は改善されていきます。
できれば2つ、3つと合わせて、習慣づけていけると理想です。自分に合った不眠症対策を見つけ、いち早い安眠を目指していきましょう。