
「最近、寝起きはいつも頭が痛い」と悩んでいませんか?
「起きた時ぐらいは、心地良い気分で目を覚ましたい」と願っているにもかかわらず、毎日頭痛に悩まされて起きると言うのは本当に辛いものです。
実はこの寝起きの頭痛にはいくつかのタイプがあり、その原因もそれぞれ異なります。
睡眠だけが関係しているとも言い切れないのです。
ここではあなたの寝起きの頭痛がどれかチェックしてみましょう。
それぞれの原因と対策についても詳しく紹介させていただきます。
この記事の目次
そもそも頭痛とは?
頭痛を伴うと文字どおり頭が痛みます。
頭の大部分を占めているものは脳であるため、「脳が痛みを感じているのでは?」と勘違いする方も多いと思いますが、人間の生命を維持するために重要な働きを担う脳には痛点がありません。
そのため、脳そのものは痛みを感じることができないのです。
頭痛は、頭やその周辺にある太い血管や筋肉、頭皮、神経などが刺激を感じているために起こる症状と言えます。
これらが炎症や圧迫を受けることで頭痛となって現れます。
頭痛の仕組み
では、脳で感じない痛みがどのように頭痛となって現れるのでしょうか?
これは怪我をした時と同じ仕組みで痛みが脳に伝わるからです。
頭の血管が拡張し、神経を圧迫することで異変を感じた部位が、痛みの原因となる物質を放出することで脳に伝達し、痛みの症状となって現れるためです。
こうした血管の拡張、収縮により、その周囲部分が炎症を起こすことで、同じく痛みの原因となる物質を放出し、頭痛となるケースもあります。
よくある頭痛鎮痛薬は、この痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑えることで、その炎症を抑え、痛みを緩和してくれるようになっています。
頭痛の種類
頭痛の種類は日本では国際頭痛学会がその基準を定めていますが、主に一次性頭痛と二次性頭痛に分けることができます。
一次性頭痛は一般的に言われる頭痛で頭痛自体が疾患であるものを言い、二次性頭痛はくも膜下出血や脳腫瘍など他の原因疾患がある頭痛です。
起床時に起こる頭痛の中にも、もちろん二次性頭痛が潜んでいる可能性は十分に考えられますが、普段、起きて痛みを感じる頭痛のほとんどが一次性頭痛に分類されます。
一時性頭痛の中には1つの原因が単独で起こる頭痛もあれば、2つ以上の症状が合わさって起こるものもあります。
起床時に起こる頭痛、一時性頭痛とは
起床時に疑われる頭痛は一時性頭痛に分類されることが大半です。
その一時性頭痛とはどんな頭痛なのでしょうか?
主な一時性頭痛の種類と共にその症状と発症の原因についても見ていくことにしましょう。
1.片頭痛(migraine)
片頭痛は別名偏頭痛などと呼ばれることもありますが、血管が拡張し、炎症を起こすことで起こる頭痛です。
ガンガンとリズムを刻むように痛みが襲うと言う特徴がある頭痛で、若い女性に多く見られます。
4時間から72時間続き、片側が痛むと言う傾向があります。
遺伝性であると言われているため、お母さんも片頭痛持ちと言うことが多いですが、その原因はあまり良く分かっていません。
血管を収縮させる作用のあるセロトニンが大量に分泌された後、血管が再び拡張するときに痛みが出るという説、血管周辺にある三叉神経が刺激を受け、様々な神経伝達物質が分泌されることが要因という説もあり、頭の痛み以外にも、嘔吐や下痢、めまい、耳鳴りなどを併発することがあります。
このような頭痛以外の症状にも注意が必要です。
朝起きて太陽(光)を見た瞬間に頭痛が襲った場合には、この片頭痛が有力と言えるでしょう。
また、激しい運動をした後や休日など緊張がほぐれた時などにも起こりやすく、生理前や生理中、食欲旺盛の時や甘いものを食べたいとき、まだ眠気を感じる時などに頭痛を感じることがあります。
2.緊張型頭痛(Tension headache)
筋肉の緊張やストレスが原因となって起こる頭痛で、頭を強く押されたような、締め付けられるような痛みが特徴の頭痛です。
無理な姿勢を続けたことによる体の凝り(肩こりや首のこり)により、その周辺の血行が悪くなり、疲労物質が蓄積されて、神経が圧迫されることで痛みとなって現れるため、パソコンを長時間使用していたり、スマホを長い時間使っている方に多い頭痛とされています。
他にも、不安や悩みを抱えることで、自律神経が上手く作用しなくなり、この緊張型頭痛を伴うこともあります。
まじめな性格で、几帳面な一面がある方などはこの緊張性頭痛に陥りやすいので注意が必要です。
3.群発頭痛(Cluster headache)
毎日決まった時間に発症する頭痛で、それを1年から4年のスタンスで繰り返すと言う特徴から群発頭痛と呼ばれています。
目の後ろを通っている血管が拡張することで、炎症を引き越し、激しい痛みに襲われます。目の奥に我慢できないほどの痛みを感じる場合にはこの群発頭痛と言えるでしょう。
睡眠中に群発頭痛に襲われると、飛び起きてしまうと言う方も多いようです。
慢性的な群発頭痛になるケースもあり、朝から波のように痛みが続きます。
ピーク時は10の痛みを感じますが、それ以外の時間には3から5の痛みが常にあり、一日中痛みが消えることがありません。
それぞれの頭痛と睡眠対策
起床時に起こる頭痛には一時性頭痛である3つの頭痛が考えられますが、あなたが起床時に襲われる頭痛はどのタイプの頭痛でしょうか?
それぞれの症状でマッチングを行い、起床時に頭痛を引き起こす要因とその対処法を見ていくことにしましょう。
1.偏頭痛チェックリストと対策
片頭痛は実際に起床時に始まることの多い頭痛です。
次のような症状がいくつ当てはまるかチェックしてみましょう。
・ガンガンしたリズムを刻むような痛みが襲ってくる
・4時間から72時間痛みが続く
・片側の頭が痛むことが多い
・頭痛が始まると臭い、音、光に不快感を覚える
・睡眠時間が足りていない
・睡眠時無呼吸症候群かもしれない
・睡眠や生活のリズムが乱れている
・朝太陽や明かりを見たら頭痛に襲われた
などの当てはまる症状が多ければ、この片頭痛が起床時に起きている可能性が高くなります。
片頭痛は男性の4倍と女性に多い頭痛ですが、質の悪い睡眠や睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群などを患っている場合でも起きる頭痛と言われています。
つまり睡眠リズム、睡眠の質に直結している頭痛なのです。
その対処法を見ていくことにしましょう。
規則正しい生活リズムを
正しいリズムで、きちんとした生活サイクルを繰り返すことで改善が見られることがあります。
朝起きる時間や夜眠る時間がまちまちと言う方は、決まった時間に起きる習慣を身につけましょう。
また、休日などに頻繁に起きる頭痛とも言われるように、休みの日に起きる時間が遅くなることで、頭痛が襲うこともありますので、休日でも起きる時間を一定に保つようにしましょう。
眠る時間を決めることも大切です。
質の良い睡眠をとる
睡眠の質が上がれば、片頭痛は改善されていきます。
深睡眠やレム睡眠が不十分だと脳内のセロトニン量が減少してしまい、そのセロトニン量が足りなくなってくると慢性的な片頭痛を引き起こすことがあります。
寝る前に、ゆっくり入浴することを心掛けたり、日中適度に体を動かして質の良い睡眠をとるよう心がけましょう。
また、寝る前のストレッチなども効果的です。
不眠症や睡眠時無呼吸症候群を患っているなら、その治療を行っていくことで片頭痛も改善されていきます。
急に明るい所に出ない
片頭痛は朝明るい場所に出たときに襲ってくることもありますので、ゆっくり日差しを浴びるよう工夫してみるといいでしょう。
カーテンを開け、目覚める前から光を浴びるようにしてみましょう。
また、光目覚ましなどを用いて光を徐々に浴びながら目覚めるのも効果的です。
暗い寝室から、急に明るい場所に出ると言う行為を避けてみると良いでしょう。

頭痛があるときは仮眠する
痛みを感じた場合には頭痛の原因となる明るい場所を避け、暗く静かな場所で、もう一度仮眠をとるのが一番です。
仕事なので仮眠が取れないと言うこともあると思いますが、休日などに片頭痛が襲ってきたときは、痛みを早くなくすためにも、暗い場所で仮眠をとると良いでしょう。
カフェインで片頭痛を治す
例え頭痛が襲ってきたとしても、仕事や学校に行かなくてはならないと言う方も多いと思います。
そのようなときはカフェインが効果的です。
カフェインの血管収縮作用が血管の拡張を抑えてくれますので、片頭痛の改善が望めます。
朝、頭が痛むようであれば、ゆっくりコーヒーを飲んでから、出かけてみると良いでしょう。
ただし生理などで一日中、片頭痛が襲ってくる場合には、我慢せずに鎮痛剤を飲むようにしましょう。
2.緊張型頭痛のチェックリストと対策
緊張型頭痛は、肉体の凝りやストレスが原因で起こる頭痛です。
そのため次のような症状があった場合、この緊張性頭痛の可能性が高くなります。
・頭を締め付けられるような頭痛がある
・両側の頭が痛む
・何の前兆もなく、突然頭が痛くなる
・30分から1週間、継続して頭痛に襲われる
・肩や首が凝っている
・1か月に1日から15日程度痛みを覚えることがある
・会社や人間関係に悩みがある
・パソコンやスマホを長く使用している
・冷え性である
・同じ姿勢が続く仕事である
このような症状があるなら、この緊張型頭痛が疑われます。
緊張型頭痛は同じ姿勢を続ける必要のある仕事についていたり、パソコン、スマホを長時間使用している場合にも起こりやすい頭痛ですが、毎朝頭痛に襲われるならば、その理由が睡眠中にある可能性が高くなります。
その対処法について見ていくことにしましょう。
寝具を見直してみる
睡眠中に考えられる要因は、たとえば枕です。
高すぎたり、低すぎたりと枕があなたに合っていなくはありませんか?
そのことで首や肩が凝ってしまい、朝の頭痛を引き起こしている可能性が考えられます。
また、寝具などが固すぎたり、柔らかすぎたりしていませんか?
体が極端に沈んでしまったり、思ったように寝返りできないと体のあちこちが痛くなり、肩や腰などが凝ることになるため、この緊張型頭痛を引き起こすことがあります。
ぜひ寝具をもう一度見直してみると良いでしょう。
ストレスを解消してから眠る
ストレスが溜まってしまうと、この緊張型頭痛に朝襲われることになります。
寝ている間に悪い夢などをよく見ると言う方は、もしかしたら何かしらのストレスが溜まっているのかもしれません。
できるだけ眠る前にストレスを発散させるようにしましょう。
ストレス発散法は個人によってその効果も異なりますが、ストレス日記をつけるのもおすすめです。
今日一日ストレスになったことを紙に綴ると言うもので、上司の悪口や同僚の心無い言葉、友人の無礼な行為などをすべて書き出します。
そうすることで精神は安定を保つことができます。
また、入眠の際に好きな音楽を聴いたり、思いっきり泣く映画を見るのも効果的です。
毎日のストレスを上手に解消し、入眠するよう心掛けましょう。
ストレッチを取り入れる
普段仕事で同じ姿勢を続けている場合やスマホなどを長時間使用している時には、その合間合間にストレッチを取り入れてみると良いでしょう。
1時間間隔でストレッチを取り入れると、筋肉の緊張が適度にほぐれます。
朝に緊張型頭痛に悩むこともなくなりますので、ぜひ試してみてください。
入浴時は湯船にしっかりつかる
仕事で帰宅時間が遅い時など、シャワーで入浴を済ませる方も少なくありませんが、緊張型頭痛を伴うようであれば、ぜひ湯船にしっかりつかるようにしましょう。
湯船につかることで血行が良くなり、体の筋肉の緊張がほぐれていきます。
朝頭が痛くなることも少しずつ軽減されていきます。
3.群発頭痛のチェックリストと対策
この群発頭痛は男性に多い頭痛です。
睡眠中に群発頭痛が起こると言う方も多く、明け方痛みに襲われ、目が覚めてしまう方も少なくありません。
頭痛と併発して目の充血や涙、鼻水、瞳が収縮する、汗をかくなどの症状が見られます。
またその痛みから興奮状態となるのもこの頭痛の特徴で、何も行動したくなくなる片頭痛とは対照的です。
群発頭痛の症状に、あなたの症状が当てはまるかどうか見てみることにしましょう。
・朝だけでなく、起きた後も何度も頭痛に襲われる
・頭痛と合わせて涙、鼻水、目がきょろきょろ、充血するなど目、鼻に他の症状がある
・15分から3時間痛みがある
・目の周辺や前頭部、側頭部に痛みがある
・朝頭痛に襲われると、眠気がなくなる
・針で刺されるような、激しい痛みがある
・20代から40代である
・毎日決まった時間に痛みに襲われることが多い
・アルコール摂取後40分から1時間後に痛みがくることがある
などの症状に当てはまる場合には群発頭痛の可能性が高くなります。
男性に多い頭痛と言われていますが、最近では女性の占める割合も増えてきていますので、女性でもこのような症状がある場合は群発頭痛を疑ってみると良いでしょう。
群発頭痛の改善法を紹介していくことにしましょう。
アルコールやたばこを控える
群発頭痛はアルコールがトリガーとなり痛みを発することの多い頭痛です。
また、喫煙したことで体内の気圧が急激に変化し、痛みを感じることがあります。
そのため痛みがあると言う方はお酒やたばこを控えることが対策となります。
寝酒などを習慣としている方は避けてみることが大切です。
酸素吸入
群発頭痛は、治療法として鎮痛剤を使用することもありますが、鎮痛剤では症状を抑えることが難しい頭痛と言われています。
有効と言われているのが、酸素吸入です。
朝起きて強烈な痛みに襲われたときには、窓を開け新鮮な空気を入れ、思いっきり深呼吸してみると良いでしょう。
それでも改善が見られない場合には純酸素吸入をしてみると良いでしょう。
最近ではネットショップでも、高濃度の酸素を購入できますので、痛みが出たら使ってみると良いでしょう。
ただし高濃度の酸素は引火に十分気を付けなくてはなりません。
化学繊維の衣服を着て使用すると、静電気などで引火してしまうこともありますので、注意事項をよく読み、安全に配慮して使用するようにしましょう。
ひどい症状を伴う場合には医療機関で受診を
群発頭痛は、針の指すような痛みや我慢できないほどの痛みが襲う頭痛です。
また、鎮痛剤などの効果もないことから、自己改善が難しい病気です。
今では、スマトリプタンの皮下注射などの治療法も確立されており、予防法としてベラパミルが処方されるなど頭痛を予防することができるようになってきています。
やはり病院で受診することが一番効果的です。
一人で悩むことなく、一度病院で相談をしてみると良いでしょう。
まとめ
朝寝起きに見舞われる頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3つがあります。
片頭痛は、片側が一定のリズムを刻むように痛むことが多く、緊張型頭痛は両側から締め付けられるように痛む頭痛です。
群発頭痛は目の奥や前頭部付近に刺すような強い痛みがあり、頭痛のタイプによって症状も異なります。
痛みに対する対策は各頭痛によって異なりますので、自分の頭痛の症状に合った対処法を試し、スッキリとした朝を目指してみてくださいね。
ただし、症状がひどい場合は、我慢せずに、病院を受診してみると良いでしょう。
最近では、頭痛を専門とする外来を設けている施設が増えてきています。
寝起きの頭痛や痛みのタイプに合わせた治療が行えるようになってきていますので、ぜひ活用してみてください。