2017年7月7日 フジテレビその原因Xにあり!「残念睡眠、夜間熱中症」番組内容まとめ
- 最終更新日:2018.08.10
- 公開日:2017.11.21

2017年7月7日(金)放送
放送のテーマは「残念睡眠」や「夜間熱中症」、「寝言と認知症の関係」などについての詳しい説明や注意喚起です。
暑い夏についついやりがちな残念睡眠とは?
5つの夜間熱中症とはどのようなものなのか?
寝言が認知症のサイン?など、私たちが生きていく上で欠かせない睡眠に関わる大事な情報ばかりです。
ここではフジテレビその原因Xにあり!「残念睡眠、夜間熱中症ほか」の内容についてまとめていきます。
質の良い睡眠で日々を健康に過ごせるように、睡眠時の病気によるサインを見逃さないように、普段の行動と照らし合わせながら参考にしてください。
この記事の目次
残念睡眠とは?
夏の寝苦しい夜に、良い眠りが得られるように良かれと思ってしている行動が、実は悪質なものにしている可能性があります。
そこで、睡眠学の権威である慶応義塾大学医学部の特任教授・スリープドクター遠藤拓郎(えんどうたくろう)先生監修のもと、質の良い眠りのための正しい行動が紹介されました。
では、遠藤拓郎先生による、ついやりがちな残念睡眠のトップ5とはどんな内容だったのかをご紹介していきます。
1. 氷枕で寝る
氷枕は、もはや蒸し暑く寝苦しい夜にスムーズに寝つくための定番となっていますが、遠藤先生によれば「氷枕は首を冷やす過ぎてしまうので、残念睡眠」なのだそうです。
眠るためには体温を下げる事が大事です。
体温を放熱して、身体の中の深部体温が下がることによって眠りにつきます。
ところが氷枕は首にある頸動脈を直接冷やし過ぎてしまうため、頸動脈を流れる血液も冷えたまま脳へ行き、脳にある体温調整中枢が身体はすでに充分に冷えていると勘違いするのです。
すると、脳は体温の放熱を抑えてしまい、深部体温は下がりにくくなり、結果的にスムーズな眠りに入れなくなってしまいます。
氷枕を使うときは、水だけを入れたり、タオルなどで氷枕をくるむなどして、首を冷やし過ぎないようにしましょう。
また、冷た過ぎず清涼感がある冷却シートをおでこに貼るなどしても、寝苦しい夜に寝つきが良くなる効果があるとのことです。
2. カーテンを少しだけ開けて寝る
起きてすぐに朝日を浴びるのは、不眠症など睡眠障害の改善にも役立つほど、睡眠にとってとても重要な行動です。
ですが、朝日によって眠りを妨げられてしまっては元も子もありません。
遠藤先生は、「夏は、日の出の時間が早く、午前4時半には明るくなってしまう。結果的には、目覚めが早すぎるので残念睡眠」だと、カーテンをしっかり閉めて寝る事を勧めています。
私たちの身体は、太陽の光を浴びると睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が減少します。
ですから、起きるべき時間に目覚めてすぐに朝日を浴びるのは、朝スッキリ起きるためにも効果的なのです。
しかし、起きるべきではない時間、まだ眠っているべき時間に朝日が顔に当たると、メラトニンが低下して脳が覚醒し、身体も目覚めてしまいます。
毎朝7時に起きる人が、カーテンのすき間から朝日を浴びたために4時半に目覚めたら2時間半の睡眠不足となります。
もしこれが毎日続けば、慢性的な睡眠不足に陥ってしまうのです。
日中にウトウトして夜眠れなくなるといった悪循環にならないためにも、カーテンはちゃんと閉めて眠りましょう。
そして、普段通りの起床時間に起きてから、カーテンを開けて太陽の光を顔に当てるようにしてください。
ちなみに番組では、起きてすぐにカーテンを開けられない人用の、電動でカーテンを開けてくれる便利なグッズや目覚ましカーテンの紹介もありました。
3. 寝る4時間以上前に風呂に入る
帰宅したらとりあえずお風呂に入るという人も多いようですが、遠藤先生によれば「眠る4時間以上前にお風呂に入るのは、残念睡眠。お風呂を出てから眠るまでの時間が長いと、その間に深部体温が下がってしまい、いざ眠る時に眠れなくなる」とのことです。
お風呂に入って体温を上げ、その後手や足などから身体の熱を放出して体温を下げる事で眠気が訪れるのですが、「個人差はあるが、入浴後、深部体温が下がり切るまでにかかる時間は2~3時間程」なのだそうです。
つまり、お風呂に入ってから4時間以上も経っていては、寝る時間になる前に深部体温が下がりきっているため、それ以上体温が下がらずに眠気が来ないという事です。
暑い夏の日など、帰宅したら早く汗を流してサッパリしたいところですが、夜にしっかり眠るためには軽くシャワーを浴びる程度にしておきましょう。
お風呂は寝る前にゆっくり入って、すんなり寝つけてぐっすり眠れる快眠を手に入れてください。
また、入浴後に時間が経ってうたたねしてしまった場合の対処法として、白湯や少量のホットミルクで一旦体温を上げるという方法も紹介されていました。
4. 寝る前にアイスを食べる
遠藤先生は、「アイスクリームだけでなく冷奴やキンキンに冷えたビールなど冷たい食べ物、飲み物などは残念睡眠。深部体温が下がり切って、いざ寝たい時に眠れなくなってしまう」と、寝る前の冷たい物の摂取にも注意を促していました。
体温には、身体の表面の温度である「表面体温」と、身体の内部の温度である「深部体温」の2種類があります。
睡眠に大きな関わりがあるのは深部体温の方で、深部体温が上がる時に目が覚めやすくなり、深部体温が下がる時に眠りやすくなるのです。
ところが、寝る前に冷たい物を摂取すると深部体温は下がり切ってしまい、それ以上下がる事ができないため眠りにつきにくくなります。
冷たい物を摂る場合は、寝る3時間前までにしておくと眠りやすくなるのでオススメとの事です。
5. 寝る前に扇風機を止める
遠藤先生によれば、「よく扇風機をつけっぱなしだと、身体によくないという噂を信じて扇風機を消してしまう方がいますが、それは残念睡眠」なのだそうです。
人間の身体は、常に身体から熱を放出しているヒーターのようなもので、風がない室内では放出された熱が身体のまわりに漂ってまとわりついてしまうのです。
その熱を身体のまわりから逃がすために、扇風機を回して室内に気流を作ってあげましょう。
ただし、扇風機の風を身体に直接当て続けるのは良くないとの事。昔の言い伝えのように扇風機の当て続けによって死んでしまったりはしませんが、身体にずっと強い風を当て続けると、身体が冷えて毛細血管が縮まり、血液の流れが悪くなってしまいます。
血行不良は代謝が悪くなる原因にもなり、筋肉の冷えによって筋肉痛や関節痛を引き起こすことも考えられます。
遠藤先生による寝るときの扇風機の正しい使い方は、「扇風機を固定して当てるのではなく、首振り状態で使用してほしい」です。
扇風機の風量は「弱」にして、身体から1~2m離した場所で首振り機能を使い、身体に時々風が当たるような状態にして眠りましょう。
残念睡眠の番外編「夏の布団の使い方」
夏の布団の使い方のオススメとして、横掛けが紹介されました。
冬は布団を縦に使って、手も足もすべて布団の中に入れる事で体温の下がり過ぎを防ぎます。
しかし夏の場合には、縦に使うと大きく寝返りを打つたびに布団がめくれてズレてしまいます。
そこで、布団を横にして掛けましょう。
お腹や腰まわりに掛けることで寝返りを打ってもズレる心配がなく、お腹も冷やさないので腹痛や夏風邪も避けられます。
足が布団から出ていても、消化が悪くなったり免疫が落ちることはないそうです。
夜間熱中症とは?
熱中症といえば昼の炎天下に引き起こされる症状というイメージですが、熱中症に関する書籍を執筆する横浜国立大学の田中英登(たなかひでと)教授は「暑くて寝苦しい時は、夜間熱中症の可能性がある」と言います。
つまり、夜であっても熱中症になる可能性はあるため注意が必要だという事です。
2015年には、東京23区内で起こった夏の熱中症による死者101名のうち、夜間に熱中症で亡くなった人の割合は約半数にものぼっていました。
では、一体なぜ夜間に熱中症が引き起こされるのでしょう。
住環境と熱中症の関係を研究する慶應義塾大学の伊香賀俊治(いかがとしはる)教授によれば、「夜間熱中症のカギを握るのが放射熱」との事です。
夜間熱中症になる原因「放射熱」
番組では、都内の一般的なマンションの様子をサーモカメラで見せていました。
直射日光にさらされたマンションの壁や窓は、太陽の熱をまともに受けており、その表面温度は30℃を超えていました。
「放射熱」とは日差しを受けた建物に蓄えられた熱のことで、この放射熱には、蓄えられてから約5時間後に室内に放射されるという特徴があります。
伊香賀先生は「昼間溜め込まれた熱が時間差で室内に放射されるので、夜寝る頃になって室内がものすごく暑くなってしまうという現象が起こる」と言います。
実際に、東京のとあるマンションで測定された7月中旬の温度変化を表すグラフも提示されました。
そのグラフによると、昼間の屋外の最高気温は36.4℃でしたが徐々に気温は下がっていき、朝方の5時頃には24.1℃にまで下がりました。
ところがマンション室内の温度は、屋外で36.4℃だった時には30.8℃で涼しかったものの、そのままずっと同じ温度を保って、屋外が24.1℃にまで下がった朝方の5時頃でさえ30.8℃をキープしていました。
放射熱のせいで、室内は昼でも夜でも変わらず高温状態のままだったのです。
夜間熱中症を防ぐ方法「エアコンを活用する」
熱中症で亡くなった方の約90%以上が、エアコンを使用していなかったそうです。
そして、夜間熱中症を防ぐために田中先生は「まず、第一にエアコンを上手に活用する事。温まった部屋の温度を下げるには、どうしてもエアコンに頼らざるを得ない」と勧めています。
エアコンの上手な活用法として、「夜間熱中症予防を考えたら、冷房をつけっぱなしにして寝て、温度は28℃が良いと思う」とアドバイスもされました。
タイマー設定では、エアコンが切れた後に室内が暑くなって目が覚めてしまう可能性があるためです。
伊香賀教授らの昨年発表された研究でも、就寝時は昼間よりも薄着で動きも少ないので代謝熱が低い、夜は28℃くらいに保たれている時がもっとも熟睡できているという結果が出ています。
夜間熱中症を防ぐ方法「よしずやすだれを活用する」
「よしず」とは葦(よし)の茎を編んで作ったすだれのことで、田中先生は「放射熱は、窓から伝わりやすい性質があるため、日本に昔からあるよしずを使うのが効果的」と言います。
例えばよしずを壁に立て掛ければ、窓から熱が入るのを抑えてくれるため、太陽からの熱を約50%カットして、室内の温度を約1℃下げる効果があるそうです。
さらに、よしずに水をかけておけば、水が蒸発する際におきる気化熱によって、外より2~3℃は涼しい風が入り込んでくれるので放射熱を抑えることも出来ます。
よしずが無いという場合は、代用品として「すだれ」を使いましょう。
窓から離した位置の物干し竿などに吊るせば、太陽からの熱が入ってくるのを防げます。
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夜間熱中症を防ぐ方法「寝る前の正しい水分の摂り方」
さらに大切な夜間熱中症対策として、田中先生より
「寝る前に水を200~300mlくらい飲む。また、寝苦しく目が覚めた時に、喉が渇いたと思ったらそこで少し飲む。枕元に是非、水を置いておいて頂きたい。「特に高齢者の方はトイレを考えて水を飲まない、クーラーをつけないという事が一番危ない」
とのアドバイスがありました。
熱中症は夜でも起きてしまうという事実を忘れずに、快適な環境で眠れるように工夫しましょう。
「寝言が認知症のサイン!?」
番組では、68歳のある男性の体験が症例として紹介されました。
症状としては、まず寝ている時に何を言っているのかわからないほどの不鮮明な寝言から始まります。
その後も寝言の回数は増えて、週に3~4回言うようになりました。
寝言を言い始めてから半年後には不鮮明だった寝言が大声で叫ぶような寝言に変わり、手まで出るようになって、夜中に暴れだすようにもなったそうです。
そして、寝言を言い始めてから10ヶ月後には突然の便秘に悩まされるようになり、2年後にはベッドからテレビ台へ倒れて鼻を骨折し、ついに睡眠の専門医に診察を受けることとなったのです。
実際にその男性を診察した、獨協医科大学越谷病院神経内科の宮本智之(みやもとともゆき)教授によれば、「彼が睡眠中に叫ぶ、暴れるのは、レム睡眠行動障害が原因だった」との事です。
睡眠には、身体も脳も寝ている「ノンレム睡眠」と、身体は寝ていて脳は覚醒状態に近い浅い眠りの「レム睡眠」があり、レム睡眠行動障害とは、この浅い眠りであるレム睡眠の時に見る夢の内容と同じ行動を現実でもしてしまう病気なのだそうです。
レム睡眠行動障害になる原因は?
この病気に関してはまだ不明な点が多いようですが、脳幹の異常が原因ではないかと考えられています。
「脳幹」とは、脳と脊髄をつなぐ部分です。
本来は人間が夢を見ている時に、たとえ本人が眠っていても脳は身体に「動け」と指示を出しているのですが、この脳幹が指示をストップしてくれるため、私たちは動くことなくすこやかに眠っていられるのだそうです。
宮本先生によると「しかし、この脳幹に異常があると、指令が伝わってしまい、夢の内容と同じ行動を現実でもしてしまう」との事で、その症状がレム睡眠行動障害なのです。
レム睡眠行動障害は認知症のサイン?
そして、このレム睡眠行動障害は、パーキンソン病やレビー小体型認知症のサインである可能性も考えられるそうです。
「パーキンソン病」とは、脳の異常によって身体の動きに障害が起こり、症状が進行すれば歩行困難や寝たきりになってしまうこともある病気です。
「レビー小体型認知症」とは、脳の中のタンパク質が変異して、脳の神経を攻撃し続けてしまう「認知症」の一種です。
また、この2つの病気には「便秘」という共通点があります。
パーキンソン病やレビー小体型認知症になる元と言われている「レビー小体」が腸の自律神経を破壊して、腸の働きが鈍くなるため便秘になったと考えられるのです。
68歳の男性は、寝言から症状がエスカレートして、2年後にレム睡眠行動障害である事が判明しました。
たかが寝言だと軽く考えずに、ちゃんと眠れているか、他にも兆候が出て来ていないかなど、早い段階で確認する必要がありますね。
レム睡眠行動障害の治療は?
レム睡眠行動障害の治療法として、クロナゼパムという飲み薬を病院から処方されるそうです。
ストレスや不安を感じさせる扁桃体が穏やかになって悪夢を見にくくする効果があるとの事。
また、宮本先生から「レム睡眠行動障害を早期に発見できると、今後の研究しだいではあるが、パーキンソン病、レビー小体型認知症の進行をゆるやかに出来る事が期待出来る」と早期発見の重要性が語られました。
レム睡眠行動障害かどうかは、「睡眠ポリグラフ検査」を使えば一晩で調べられます。
全国約100ケ所の病院で受診が可能ですので、気になる方は日本睡眠学会のホームページを参考にしてください。
参考:日本睡眠学会
まとめ
睡眠については、テレビやネットでさまざまな情報が飛び交っています。
ですが、間違った情報や曖昧な情報を流している場合もないとは限りません。
もしあなたが不眠症や睡眠障害で悩んでいるなら、しっかりとした知識を得ましょう。
そして、正確で信用できる知識を得るには、専門家や専門の医師による監修を受けた情報を選ぶことが大事です。