
寝不足になると何となく顔や体がいつもよりもスッキリせずにむくんでいるなと感じるときはありませんか?
むくんでも特に痛みを伴う症状ではありませんので、学校や職場に行くことはできますが、むくんだ姿で人とは会いたくないものです。
どうすればむくまずにすっきりとした姿で朝を迎えることができるのでしょうか?
寝不足で体がむくむ原因と対策をまとめてみました。
この記事の目次
体がむくむメカニズム
体がむくむとはどういったことでしょうか?
むくみにも、いくつかのメカニズムがありますのでみていきたいと思います。
血液とリンパ液とむくみ
体内には血液とリンパ液が絶えず巡っています。
血液とリンパの違いがよくわかっていない人もいますが、この2つは働きも流れているところも違う全くの別もので、体のむくみと大いに関係があります。
血液は血管を通って体中を巡っています。
血液には色々な働きがありますが、主な働きとしては全身に肺から取り込んだ酸素や体に必要な栄養素を運んでいます。
また、全身からは、生命活動で出た老廃物や二酸化炭素を運び出します。
一方、リンパというのは、血液とは全く別の液体で黄色味がかった透明の体液のことを指します。
リンパ液は血管を通るのではなく、リンパ管を通って心臓に向かって流れています。
リンパ管を流れるリンパ液は常に一方向に流れており、このリンパ液の働きは、血管から出てきた栄養素を血管に戻したり、不要な老廃物や敵となる異物が体内に入るのを阻止します。
リンパ管は体の排水管であると考えると良いでしょう。
血液は心臓というポンプを使って全身を約40秒ほどで一周しますが、リンパ液は心臓のポンプ機能を使うことなく、リンパ管の周りの筋肉の動きによって全身を12時間もかけてゆっくり巡ります。
リンパ管は柔らかいので周囲からの圧迫があると流れがすぐに悪くなります。
血管から染み出た水分が溜まったリンパ液の流れが悪くなると体が何となく腫れたようなむくんだ状態になります。
むくみと静脈の関係
むくみというとリンパの流れが悪いというのが定説です。
確かに、リンパの流れが悪くなることでむくむという場合がありますが、リンパが原因しているむくみに比べて、もっと多いのが静脈の流れの問題です。
血液は心臓から動脈を通って全身に流れていき、静脈を通って心臓に戻ってきます。
心臓に血液を戻す力が弱まると血液中に水分が溜まりやすくなり、血液中の水分が皮膚や皮下脂肪に溜まることによって体がむくみます。
重力とむくみの関係
血液やリンパの流れが悪くなると血液やリンパ液の中にある水分が溜まりむくみやすくなります。
血液やリンパの流れが良いと水分が体内に溜まらなくなるのでむくみにくくなります。
女性で立ち仕事をしている人が夕方になると足がむくむということを良く聞きますが、これは、足に巡っている血液が心臓に返し難くなっているために、むくみという症状が出やすくなります。
足は心臓から非常に遠いですし、足から心臓に血液を返すためには重力というものに逆らって非常に大きな力が必要になります。
血液は全身へ送り出すときは心臓というポンプの力を使って勢いよく送り出されますが、帰りはポンプの役目になるものがないので緩やかな流れになります。
リンパ液の場合は、行きも帰りもポンプの役割になるものはなく、足から心臓に返るときが一番重力と言う抵抗を受けることになります。
このため、足を流れる血液やリンパ液はどうしても他の部位に比べて流れが悪くなるため、水分が蓄積されやすくむくみやすくなります。
睡眠は重力から解き放たれる時間
血液やリンパ液の循環は重力というものに非常に大きく影響されているので、人間が活動をしている時間帯はどうしても心臓から遠い場所、低い場所はむくみやすくなります。
しかし、睡眠時間というのは心臓と他の部位がほとんど同じ高さになり血液やリンパ液の流れが重力に影響されない状態になります。
睡眠時間は血液やリンパ液の流れが日中の重力の力から解き放たれる貴重な時間帯になるわけです。
日中に体がむくんでいた人でも夜にしっかり横になって睡眠を取ることで血流やリンパの流れがよくなってむくみが解消されます。
体をフラットにして、体全体を圧迫することなく睡眠を取ることで健康な人であればむくみがなくなります。
しかし、例えば、狭いベッドやソファーなどで体を完全にフラットにせずに仮眠するような状態で眠れば睡眠時間が長くても体が圧迫されたり、重力の影響を受けることになるのでむくみが解消されなかったり、余計に朝になって体がむくむということもあります。
寝不足で体がむくむ場合の対策9選!
1,睡眠時間を確保する
日中に活動するとどうしても体が疲れていますし、夕方になればなるほど体が疲れてくるので血液やリンパ液の流れが悪くなり体がむくんできます。
そのため、疲れている日ほど睡眠時間をしっかり確保して体を横にする時間を増やすことが大切です。
寝ている時間は通常体は水平になっているので血液やリンパ液が流れやすくなりますし、副交感神経が優位になっているので体は自分の体のメンテナンスをする時間帯になります。
できれば8時間ほどの睡眠をとるのが理想ですが、忙しくても毎日一定時間は睡眠時間を確保する努力が必要です。
2,楽な姿勢で眠るようにする
睡眠時間をとっても眠る体勢が悪いと体がむくみます。
眠る時はできるだけ体を圧迫することのないように心がけることが大切です。
体勢としては仰向けで手足を少し広げるゆとりがある場所を確保しましょう。
狭いソファーで眠ったり、コタツでうたた寝という睡眠ではむくみは解消できません。
3,眠る時は足を高くする
起きて活動している間はどうしても足に水分が溜まりやすくなるのでむくみが酷くなります。
このため眠る時に重力から開放して心臓と同じ高さに足を上げるように仰向けで眠るのが良いのですが、足先からもしっかり血液やリンパ液が心臓に戻りやすいように足にクッションや枕などをかまして足を高くして眠ると睡眠不足でもむくみが解消されやすくなります。
4,締め付ける下着やパジャマをやめる
眠っている時間が短くても、血液とリンパ液の流れをスムーズにすることで体のむくみを解消できます。
パジャマはゆったりとしたものでウエストや足首、手首などの締め付けができるだけ少ないものにしたり、下着もきついものではなく、楽なものを選ぶことが大切です。
女性の場合、夜でも体を補正するためにブラジャーをしたり、ガードルのような下着をつけて眠る人がいますが、血流やリンパの流れを悪くしているので睡眠時間をしっかりとっても体がむくんでしまう人がいます。
体のむくみを解消したいのならば体をできるだけ締め付けない下着やパジャマを選ぶようにすると良いでしょう。
5,お風呂に浸かる
眠る前には1日の疲れをゆっくりとるためにもシャワーで入浴を済ますことなく、湯船にお湯を張ってしっかり入浴しましょう。
入浴はできるだけ就寝時間の1時間ほど前にするのが望ましいです。
入浴から就寝まで時間を何時間も空けてしまうと、せっかく温まった体が冷えてしまって血流が悪くなります。
また、就寝の直前に入浴する人もいますが、直前過ぎると体が温まりすぎて入眠までに時間がかかってしまうことがあります。
熱めのお湯に短時間入るのではなく38~40度ほどの少しぬる目のお湯にゆっくりと入ると体も神経もリラックスしますし、体がしっかり温まって血流がよくなります。
また、湯船でリンパマッサージをするとリンパの流れがよくなります。
眠る前にしっかり血流とリンパの流れをスムーズにしておくと少し睡眠時間が足りないような日でも朝から体がむくむことなくすっきりします。
6,温かい飲み物や食べ物を食べる
体が冷えていると血液とリンパ液の流れが悪くなります。
このため、体の中からも体が冷えないように温かい食べ物を食べたり、飲んだりして体を冷やさないようにしましょう。
短時間しか睡眠時間が取れないという人は、短時間でもしっかりと質の良い睡眠を確保することがむくみ解消にも大切です。
眠る前にカフェインの入った飲み物を飲むのはできるだけ避けましょう。
コーヒーや日本茶、紅茶などはカフェインが入っていますので脳や神経が刺激されて副交感神経が優位になれず体が休まりません。
ホットミルクやホットココア、白湯、ショウガ湯、葛湯などが眠る前に飲む飲み物としては良いでしょう。
また、アルコール類はよく眠れるように感じます。
確かにアルコールを飲むと酔って眠気が強くなるので眠りやすいのですが、眠っている途中で何度も目を覚ましたり、朝早くに起きてしまうというように睡眠の状態が悪くなるのであまりおすすめできません。
アルコールを飲む場合は、ホットワインを軽く1杯程度飲んで眠るようにしましょう。
7,塩分を取り過ぎないようにする
食事などで日頃から塩分を多く摂っている人はむくみやすくなります。
人間の細胞は塩分の濃度を一定に保つようにできています。このため、塩分を多く摂ると塩分濃度を一定に保とうと体が働いて体の中に水分を溜め込みます。
むくみやすい人は水分の摂りすぎが原因と考えている人が多いのですが、水分の摂りすぎが問題なのではなく、塩分の摂りすぎが原因で水分が体内に溜まってしまい、その結果体がむくんでしまうということです。
塩分を多く摂りすぎた食事をした後はどうしても朝起きた時に体がむくみやすくなるので、寝不足で体がむくみやすいという人は食事の塩分量に気をつけて食生活を見直すことが重要です。
8,ストレスを溜めない
ストレスは体の色々な場所に影響が出ます。
ストレスを溜めるとコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
コルチゾールが分泌されると体の中の水分の排泄がスムーズにできなくなることで体がむくみやすくなります。
ストレスを溜めると自律神経も乱れてきて、睡眠の質が悪くなります。
短い睡眠時間でもしっかり熟睡できることで体の修復が可能になるので質の良い睡眠を摂るためにもストレスを日頃から溜め込まないようにしましょう。
9,適度な運動をする
適度な運動をすると睡眠の質がよくなります。また、運動をすることで筋肉が衰えません。
女性は男性に比べて体の筋肉量がどうしても少なくなっています。
リンパ液は血液のようにポンプの働きをする心臓のようなものがありません。
リンパ液が体内を巡るためには常にリンパ管周辺の筋肉の動き、収縮を頼りに流れています。
また、体に過度の負担がかかってしまうほどの運動は睡眠の質を悪くしてしまいますし、寝不足気味の人にとってはむくみを増幅させてしまう恐れがあります。
心地よい適度な運動がむくみ改善のためには大切です。
むくみを放置してはいけない
寝不足でむくみがちだという自覚がある人は多くいますが、むくんでいても特に体調が悪いわけではないので、朝にむくんでいることに何の問題意識も持っていないという人がいます。
しかし、むくみは単に体に水分が溜まっているというだけではないので注意する必要があります。
むくみの原因になっている体に溜まった水分というのは、体から出た老廃物や二酸化炭素を含む水分です。
いわば、体にとって悪い影響がある水分が体に溜まっていることで、その周りにある脂肪細胞に栄養を与えることになり、俗にセルライトと呼ばれる肥大した脂肪に変化します。
また、健康な細胞に酸素が行き渡らないようになるので肌が活性化されずにくすんできたり、免疫力が下がったり、疲れやすくなります。
体内に酸素が欠乏することによって、体は多量の血液を循環させようとすることで血圧が上がる原因になります。
むくみは単に体に水分が溜まっているだけと安易に考えていると、慢性的に太りやすくなったり、血圧が上がったり、免疫力が下がって他の病気を発症しやすい体になります。
まとめ
寝不足の翌朝は顔や体がむくみやすくなるのは、睡眠時間中に体の血液やリンパ液がしっかり循環しないことで皮膚や皮下脂肪に水分が蓄積されてしまうからです。
体は日中活動している間は重力が働くので心臓から遠い手先や足は血流やリンパの流れが悪くなるためにむくみやすくなりますが、夜に体を横にすることによって重力から開放された血液やリンパが循環するようになります。
睡眠時間をある程度確保したり、体をできるだけ開放して血流やリンパの流れを良くすることが大切です。
また体を冷えから守ったり、ストレスを溜めないことなどでむくみを解消することができますので、毎日の生活の中で気を付けてみると良いでしょう。