
夜遅くに食事をすると太る、それは誰もが知っている事実です。
とはいえ、夕食の時間が早過ぎたり量が少なかったりして空腹のまま布団に入ってもなかなか寝つけない、それもまた事実です。
たしかに夜寝る前に食べてしまうと、太ってしまうだけでなく睡眠にも悪影響を及ぼす場合があります。
ですが、空腹を抱えたまま布団に入って、何時間も寝つけないつらい夜を過ごしてしまうのは、不眠症や睡眠障害の原因ともなり得るためかえって逆効果です。
そこで、寝る前に食べてはいけない物と飲んではいけない物をご紹介していきます。
もし夜中にお腹が空いて眠れなくなったら、出来るだけ身体に負担をかけない物を口にするようにして、食べてはいけない物や飲んではいけない物は避けるようにしましょう。
この記事の目次
寝る前に食べてはいけない理由は?
質の良い睡眠が取りにくくなる
私たちには体内時計という本能的な生活リズムがあり、一般的には21時ぐらいから、徐々に副交感神経が優位となって睡眠への準備が進められます。
体内では、夕食後に食物の消化が始まり、そろそろすべて消化し終えて今日はもう作業は終わり、睡眠とともに心身共に休息に入ろうと準備しているのです。
そこに新たな食物が入ってくると、せっかく作業を終えて休息モードになっていた胃や腸は、また消化するべく残業をさせられる羽目になります。
この状態で布団に入っても、胃や腸は消化活動をしているため眠りに入れず、寝つきが悪くなって浅い睡眠となってしまいます。
また消化活動も、起きている時のようにフル稼働というわけにはいきません。
つまり、消化の効率も下がり、寝ている間に消化しなければならないため胃や腸は休むことが出来ず、心身共に休息出来ないため眠りの質も下がって、質の良い睡眠が取れなくなってしまうのです。
夜寝る前に何かをつまむのが習慣となっている場合や、仕事の関係などで寝る直前に食事をする習慣がある場合には、自覚はなくても慢性的な睡眠不足になっている事が考えられます。
食べてはいけない物や飲んではいけない物を知って、せめて身体に優しい物を口にするようにしましょう。
太りやすくなる
厚生労働省の調べでは、30代女性の平均BMIは21.3だそうで、これは世界でも痩せている部類だと思われます。
しかし、30代女性の理想のBMIの平均値は19.6となっています。
やはり、より細く美しくなりたいと願う女心の表れなのでしょう。
ですが、寝る前に食べ物を口にする事は、その理想のBMI値から遠ざかる事になるのです。
エネルギーとなる食物は、身体を動かさないため使い道がなくなり、消費されないまま体内に残ってしまいます。
たとえ少しずつであっても、蓄積される事で肥満の原因となってしまうのです。
また、消化しきれずに胃もたれを起こす事もあります。
さらに、質の悪い睡眠は成長ホルモンなどの分泌の妨げになり、肥満体質や肌荒れの要因ともなりますので注意が必要です。
夕食は、食べた物が出来るだけ消化しきれるよう、せめて寝る3時間前には済ませてくださいね。
消化に時間がかかる食べ物は安眠できない
私たちの眠気は、体温が上昇して下降するタイミングで訪れるのです。
夕方や夜に食事をすると、私たちの身体は食べ物を消化しようと活発に活動するため体温が上昇します。
そして消化が終わり、胃の中に食べ物がなくなると活動も終えて体温が下降します。
そのタイミングで眠気が来るということです。
脳も身体も休息に入るべく準備を始めるためで、その時間が一般的に21時以降と言われているのです。
しかし、消化に時間がかかる食べ物が体内に入った場合は、その時間になっても胃の中に食べ物が残っている状態となり、消化活動が終わっていないため体温も下がりにくくなります。
すると、眠気が来ないまま寝つけなくなってしまうのです。
たとえ眠れたとしても、その眠りは浅いものとなってしまいます。
浅い眠りでは脳も身体も充分な休息を得る事が出来なくなり、身体に残った疲れは少しずつ溜まっていきます。
そのままの状態が続けば、いずれは大きな病気へと発展するかもしれません。
胃の中の食べ物が完全に消化されるまで寝るのを待つ必要はありませんが、夕食には消化の良い食べ物を食べる、夕食後にはなるべく食べ物を口に入れない、寝る前に食べてはいけない物や飲んではいけない物を知っておくという事は、良質な睡眠を得て健康な身体でいるために重要な事だと言えます。
牛乳は飲み方を考える
牛乳に含まれるラクトース(乳糖)は糖分ですから、寝る前に大量に飲んでしまうと消化しきれずに寝つきにくくなります。
ですが、同じく牛乳に含まれているトリプトファンやカルシウムには、鎮静効果や安眠効果があります。
寝る前に飲むのであれば、無脂肪乳や低脂肪乳を選んで、少量のホットミルクとして飲みましょう。
水の飲みすぎには注意
日中の水分摂取は大切ですが、寝る前にあまりたくさんの水を飲むと、夜中にトイレに頻繁に起きてしまう事になりかねません。
また、お風呂上りに冷たい水をがぶ飲みしてしまうと、血管が収縮して血流が悪くなり、胃腸の機能も落ちてしまいます。
寝る前に水を飲むなら、体内の臓器に刺激を与え過ぎないよう、常温の水を少量飲みましょう。
私たちは寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われていますので、就寝前にコップ1杯ほどの常温の水を飲むことは、健康のためにも良い事なのです。
寝る前に飲んではいけないカフェインを含む飲み物
カフェインには覚醒作用があり、一般的にはカフェイン30mgで5~6時間の持続効果があると言われています。
つまり、寝る5~6時間前からカフェインを含む飲み物を飲んではいけないという事です。
コーヒーを飲むと眠れなくなるという人は、もっと前からカフェインを摂らない方が無難ですね。
ですが、カフェインを含む物はコーヒー以外にもたくさんあるので気を付けましょう。
緑茶や紅茶
カフェインには覚醒作用だけでなく利尿作用もあります。
夕食後に緑茶を飲みすぎると、夜中に何回もトイレに起きてしまうかもしれません。
コーヒーより少ないとはいえ、紅茶にもカフェインが含まれています。
どちらも飲みすぎには注意してください。
ココア
ココアは牛乳に溶かして飲むため、寝る前に飲んで身体を温める飲み物、子どもに飲ませる飲み物、というイメージがあるかと思いますが、多量ではないもののカフェインが含まれています。
身体を温めるには最適ですが、寝る前の飲み物としては適していません。
エナジードリンクや炭酸飲料
栄養ドリンクにはカフェインが含まれている物が多くあります。
中には、100mlにつき40mgという多量のカフェインを含んでいる栄養ドリンクもあるので、飲む時には成分表を確認しましょう。
また、炭酸飲料は糖度が高い物が多く、ガスを生成して胃酸が逆流するケースもあるので、寝る前に飲んではいけません。
痛み止めや風邪薬などの薬
鎮痛剤などにも無水カフェインが含まれているため、寝る5~6時間前までに飲むようにしましょう。
とはいえ、痛みを我慢していても眠れなくなるだけですので、頭痛などの痛みが出始めたら、無理に我慢するよりいっそ飲んでしまった方がちゃんと眠れます。
寝る前に食べてはいけない甘い食べ物
糖分が多い食べ物は肥満の元、分かっていても欲しくなるものですが、寝る前だけは食べてはいけません。
せっかく寝る態勢に入っていた身体が、糖分を摂ることで血糖値が上がって活動モードになってしまいます。
太るだけでなく、睡眠のためにも悪いことだらけなのです。
生クリームやアイスクリーム
お風呂上りに冷たいアイスクリーム、食後のデザートに生クリームたっぷりのケーキなど、とかく女性は甘い物が好きな人が多いですね。
もちろん、たくさんの脂肪と糖分が含まれている事を分かっていても食べてしまうのでしょうが、脂肪が消化されにくく胃腸に負担をかけやすい事や、冷たい物や糖分が神経を刺激して寝つきを悪くする事はご存知でしょうか。
生クリームたっぷりのケーキやアイスクリームは日中のお楽しみに残しておいて、寝る前には少量のホットミルクや低脂肪のプレーンヨーグルトにしておきましょう。
クッキーやスナック菓子など
炭水化物や糖分を含むクッキーやスナック菓子なども、血糖値を上げて体温を上昇させ、眠りを妨げる食べ物です。
同じ炭水化物でも、クッキーなど1個が小さい物はついつい食べ過ぎてしまいます。
最初の1個が肝心ですので、グッと我慢してローカロリーで消化の良い物を口にするようにしてくださいね。
チョコレート
実は、チョコレートにも覚醒作用のあるカフェインが含まれています。
また、原料となるカカオには興奮作用がある「テオブロミン」というアルカロイドも入っています。
カフェインもテオブロミンも、集中力アップややる気を起こすには有効なのですが、寝る前に食べる物としては不適切と言えるでしょう。
寝る前に利尿作用がある物を食べてはいけない
メロンやスイカ
メロンやスイカなど南方系のフルーツには、暑い地域特有の、身体を冷やして利尿を促すという効果があります。
夜中に頻繁に起こる尿意は快眠の妨げとなり、身体を冷やすため血行も悪くなってしまいます。
セロリ
栄養もあり香辛料としても人気があるセロリにも利尿作用があります。
カロリーなどの心配はないでしょうが、寝る前に食べてしまうと夜中はトイレに何回も行かねばならなくなり、深い眠りを得る事は難しくなるかもしれません。
寝る前にアルコールを飲んではいけない
アルコールには、眠らせる効果と3~4時間後に起こす効果の2つがあります。
寝酒は寝つきを良くしてくれますが、それと同時に、飲んだ数時間後には喉の渇きで目が覚めてしまうという事です。
飲み過ぎれば脱水症状を起こす場合もあり、トイレに起きる事も何回となくあるでしょう。
当然眠りは浅くなり、中途半端な時間に目覚めてしまうと、その後寝つけなくなってしまいます。
飲むなら寝る4~6時間前までにしておく方がいいのですが、どうしても飲まなければならない状況もあるかもしれません。
その場合は、お酒とともに常温の水を飲んだり、事前に牛乳を飲んでおく事で、アルコールの吸収を緩やかに出来ます。
また、お酒を飲みながら喫煙する人も多いようですが、タバコの主成分であるニコチンは中枢神経興奮剤で、質の良い睡眠を妨害するものです。
アルコールを日常的に飲んでいる人は、夜中に目覚める中途覚醒や、睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害になりやすいと言われています。
深刻な状態になる前に、アルコールの摂取方法を見直してみましょう。
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>>寝酒は不眠症の解決に効果がない?アルコールの飲み過ぎと不眠の関係
寝る前に消化に時間がかかる物を食べてはいけない
ブロッコリーやトマトなどの野菜類
ブロッコリー・玉ねぎ・キャベツ・カリフラワーなどは、不溶性の食物繊維を多く含んでいるため消化に時間がかかります。
ガスも発生させやすいので、寝る前に食べるのは控えましょう。
また、トマトに含まれているアミノ酸の一種「チラミン」には覚醒作用があります。
脳がリラックスしていなければ寝つきは良くなりませんので、寝る前や遅い時間に食べるのはやめましょう。
栄養価の高いトマトは、夕方までに摂取するようにしてください。
中華料理や揚げ物などの油っこい食べ物
夕食は一日の締めくくりとばかりに揚げ物や中華といった高脂肪の物を食べる人もたくさんいますが、油っこい食べ物は消化にとても時間がかかります。
まして寝る前に大量に食べたりすれば、布団に入っても消化活動は続くため浅い眠りとなります。
それでも消化しきれなければ、消化不良となって胃腸に負担をかけ、翌朝も身体が重くだるく感じることでしょう。
寝る前の油っこい食事は、胃もたれや胃の痛み、胃けいれん、胃酸の逆流を引き起こす事も考えられるのです。
食べる量にもよりますが、天ぷらなどの揚げ物は胃の中に4時間以上停滞すると言われています。
どうしても夜遅くに食事をしなければならないなら、睡眠と健康の事を考えて消化の良い物をチョイスするようにしましょう。
ステーキや焼き肉など
動物性たんぱく質も消化して分解するには大量のエネルギーが必要で、ステーキや焼き肉など、タンパク質と脂質が主となる食事は消化されるまでにかなりの時間がかかります。
ステーキも揚げ物と同様、胃の中に4時間以上停滞するようですので、夜遅くに食べる場合は20~50gぐらいに抑えるのが無難です。
ドライフルーツ
美容やダイエットに効果があると言われるドライフルーツも、寝る前に食べるには不向きです。
豊富に含まれる食物繊維は消化に時間がかかるため、胃や腸が休めなくなって、睡眠の妨げとなってしまうからです。
安眠や快眠のため、美容やダイエットのためにも、ドライフルーツは夕方までに食べるようにしてください。
まとめ
私たちにとって良質な睡眠は、食事と同じように健康を保つために必要不可欠なものです。
質の良い睡眠が取れていれば、身体は好循環を繰り返してさらに健康になります。
しかし、不眠症や睡眠障害などで質の悪い睡眠しか取れていなければ、負のスパイラルに陥ってさらに健康を害してしまうのです。
生活のリズムやパターンは人それぞれですが、寝る前に食べてはいけない物は食べない、飲んではいけない物は飲まない、良く眠れる工夫をするなど、快眠のために出来る事はたくさんあります。
自分の生活に合った方法を取り入れて、睡眠の正のスパイラルを作っていきましょう。