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睡眠薬「デパス錠」が効かない時って?強さと効果・副作用の知識

  • 最終更新日:2018.11.03
  • 公開日:2018.06.18
睡眠薬「デパス」が効かない時って?強さと効果・副作用の知識

睡眠薬のデパスはベンゾジアゼピン系に属するお薬です。

1984年に田辺三菱製薬株式会社が発売した純国産の薬です。精神安定剤で不安や緊張を鎮める効果がある薬で、主成分はエチゾラムです。

最近はデパスのジェネリック製品も多くエチゾラム錠、エチゾラム細粒、デゾラムと言ったものを利用している人も多くなっています。

デパスを服用すると不安から開放されて非常に精神的に落ち着くのですが、安易に服用すると副作用がある薬でもあるので注意して使用することが大切です。

デパスの特徴

デパスは一般名をエチゾラムと言います。

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬ですが、デパスを服用することで神経細胞の活動を抑制する働きがあるGABAという脳内物質の作用を増強させることで精神安定効果が高いのが特徴です。

GABAを増強させるのでGABA作業薬とも言われています。

欧米ではエチゾラムを主成分とした睡眠薬は中毒性があるということで1970年代から問題になっていて規制がありましたが、日本では長らくベンゾジアゼピン系の睡眠薬には規制がなかったので、消費量が世界トップクラスの国とされていました。

しかし、2016年に厚生省によって精神安定剤・睡眠導入剤の第三種向精神薬として認定されました。第三種向精神薬として認定されるということはある意味厚生省がデパスの危険性を認定したということになります。

国内ではデパスの投与期間の上限が30日となり、薬としての取り扱いが厳しくなりました。

デパスの用法

デパスの用法

デパスは、抗不安作用(不安を和らげる)、催眠作用(眠りやすくなる)、筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)、抗痙攣作用(痙攣をおさえる)がありますが、抗不安薬として高齢者が使用していることが多く、精神科、診療内科だけでなく整形外科などでも広く処方されています。

高齢者が多く利用しているので用量を個別に調節しやすいように低含有量製剤としてデパス錠0.25mgというものが発売されています。

神経症やうつ病で服用する場合、成人では1日3mgを3回、心身症、脊椎症、腰痛症、筋収縮性の頭痛の場合は、成人で1日1.5mgを3回、睡眠障害の場合は、成人で1日1~3mを就寝前に1回経口するとされています。

しかし、高齢者は成人でも肝臓や腎臓の機能が下がってきているので、薬の成分が体内に残りやすいために若い人よりも副作用が出やすく危険であるために、1日1.5mgまでとしています。

デパスの強さは?

睡眠薬の強さはその作用時間によって分類されています。分類の基準についてまずは見ていくことにしましょう。

睡眠薬の分類は以下の4種類に分けることができます。

睡眠薬の強さ 出現時間 持続時間
超短時間作用型 10~15分 2~4時間程度
短時間作用型 15~30分 6~10時間程度
中間作用型 30分 20~25時間程度
長時間作用型 30分~1時間 24時間以上

持続時間は半減期を基準に計算しており、薬の濃度が半分になるまでかかる時間を示しています。

その薬の強さを知る目安となりますが、デパスはこの中でも短時間作用型(効果が短い)に分類されています。

個人差はありますが、デパスは血中濃度がピークに達するまでの時間は3時間、血液中の成分が代謝により半分になるまでの時間が6時間ほどになります。

血中濃度がピークに達するまで3時間となっていますが、実際に30分~1時間ほどで薬の効果が出てきます。

睡眠導入剤として利用することも多いデパスですが、同じように入眠剤として利用されるハルシオンやマイスリーのような即効性の高い睡眠導入ではなく、効き目が穏やかで優しい印象があります。

また、効果が出なくなるという半減期までの時間が約6時間ほどですので、実際は約5時間ほど経つと薬の効果がなくなります。

このため、デパスを睡眠薬として服用しても長時間効果を持続できない薬と言えます。

頓服として利用する場合は、薬を効かせたいと思う30分ほど前に飲むことが大切です。

デパスの効果とは?

デパスの効果

デパスは抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用と幅広い効果があるので精神科、心療内科、整形外科といった様々な科で処方されている薬です。

日本国内でのデパスの服用量は世界でもトップクラスですが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか?

ここではデパスの効果について詳しく見ていくことにしましょう。

1.睡眠導入剤として適している

精神的に不安や緊張があるとなかなか眠れません。

また、抑うつ、神経衰弱症、睡眠障害、うつ病によって、不安、緊張、睡眠障害や心身症、統合失調症からも睡眠障害になります。

睡眠障害になるとなかなか布団に入っても寝付きが悪く、眠れないことに対して不安を持ったりストレスを感じてしまいます。

このため、精神科や診療内科では睡眠導入剤としてデパスを処方することがよくあります。

個人差はありますが、睡眠の30分ほど前に服用することで薬の効果があらわれるので入眠がスムーズになります。

2.抗不安薬として優れている

デパスはベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬はGABAを増強することで不安を和らげます。

GABAというのは脳内の神経と神経の間で情報を伝えるために必要な神経伝達物質ですが、神経細胞の活動を抑える働きがあります。

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン受容体に結合してGABAの働きを強めます。

GABAによって神経細胞の活動が弱まることで記憶や情報に関する働きを抑え、不安や緊張を緩和します。

ベンゾジアゼピン受容体にはω1受容体とω2受容体があります。ω1受容体は催眠作用や抗痙攣作用に働き、ω2受容体が抗不安作用や筋弛緩作用に働きかけます。

睡眠薬と抗不安薬はどちらも共通する部分が多いのですが、デパスはω1受容体とω2受容体の両方に強く働きかける効果があります。

緊張や不安、パニック障害、更年期障害、自律神経失調症などで気分が落ち込んだ時や、うつ病で特に不安が強い時に効果があります。

3.即効性がある

デパスは抗不安効果が強く、即効性があり、薬の効果を実感できるので一時的に強い不安になるという症状に効果があります。

不安で眠れないという時はデパスを服用すると一時的に緊張が和らぐので、効果を強く感じることができます。

強い緊張や不安で身体に力が入ってしまっている場合はデパスやレキソタンという薬が用いられますが、効果が短時間であるということを知っておきましょう。

常に不安になる人よりも、眠る時などに強く不安を感じるという人の睡眠薬として優れているといえます。

また、デパスはハルシオンやマイスリーと比較すると身体への安全性が高いのでよく処方される薬です。

デパスの副作用

デパスの副作用

安全性の高い睡眠薬としてよく利用されますが、長期間服用したり、過量服用することで副作用も多く出る薬として知られています。

特に高齢者がデパスの副作用に影響されやすいので注意が必要です。

眠気やふらつき

デパスは作用時間は短いのですが、即効性があり効果がはっきり感じられるので服用すると急に眠気がきたり、ふらつき、めまい、頭痛などを起こします。

高齢者にもデパスはよく処方されますが、即効性があり筋弛緩作用があるので高齢者が服用するとふらついたり、転倒する危険があります。

高齢者は骨も老化しているので転んだだけで骨折してしまうこともよくあるので注意しなければいけません。

また、若い人でも即効性のあるデパスを服用してすぐに運転すると、突然強い眠気に襲われて運転がおろそかになり交通事故を起こす危険がありますので、デパスを服用した後は運転をしてはいけません。

交通事故を起こしたヒトから検出される薬で、一番多いのがデパス(エチゾラム)ということを肝に銘じておきましょう。重度の副作用になると歩行困難になったり、言語障害などが出ることがあります。

認知症のリスクを上げる

デパスはGABA脳内の神経情報伝達物質ですが、GABAを増加させることで脳内の神経活動を抑えることで不安や緊張を緩和する薬です。

強く不安や緊張を持っているということは常にその記憶や情報が強く神経が過敏になっていることから起こるので神経の興奮を抑えることで不安や緊張がなくなります。

記憶や思考の神経を落ち着かせるということは一時的には非常にリラックできてよいのですが、長期間薬を服用することで常に脳内の活動が弱まります。

このことで最初のうちは軽い物忘れであった症状が徐々に大きくなり認知症になります。

不安をなくして眠るために服用していたデパスの副作用で認知症のリスクを抱えることになります。高齢者は特に薬の効果を強く受けやすいので認知症になりやすい状況になります。

デパスを服用してから物忘れが酷くなったと感じる場合は主治医とよく相談して服用量を減らしたり、違う薬を処方してもらった方が良いかもしれません。

幻覚が見える妄想

デパスを服用することで意識が混濁して自分の状況が分からなくなると言うせん妄になったり、実際はないものが見えるという幻覚が起こることがあり、その事で急に不安や恐怖状態になることがあります。

依存してしまう

デパスを長期間服用していると服用しないと強い不安や恐怖を感じることがあり、デパスがないと眠れない、不安という状態に陥ります。

この状態をいわゆる薬に依存している「依存症」と言います。

デパスは抗不安作用が強く即効性があるので効果を強く感じることができる薬ですが、一時的に不安がなくなっても根本的に不安要素を解決できていないと常にデパスを服用して不安から逃げるという状態になります。

うつ病などが原因で睡眠障害になっている場合、根本的にうつ症状の原因が解決していないとデパスを長期服用することになり依存してしまいます。

長期間服用というとどの程度が気になると思いますが、おおよそ1ヶ月以上服用を続けると長期服用となります。

デパスは長期依存性が高い薬なので、服用を止めるとリバウンドや不眠が再発することもあります。担当の医師とよく相談して、もし不安少し和らいだのならデパスよりも弱い薬に変えたり、服用量を減らすという相談をしてみましょう。

一番大切なことはデパスは医師の処方通りに服用することで、自己判断で服用量を多くしたり、少なくしたりしないことです。

効果が得られなくなる

デパスを長期間服用することによって、服用し始めの時に感じられた効果が徐々に感じられなくなってきます。

最初は非常に効果を感じることができるので、ついついデパスに依存して眠ることを続けていると、最初に処方された量のデパスでは効果が得られなくなります。

精神科では過量服用がよくありますが、過量服用になっている人が飲んでいる薬として最も多いのがデパス(エチゾラム)です。

効果が得られなくなるとまた眠れなくなるので、デパスの服用量を多くしてしまいます。

自己判断で服用量を多くすると薬に対する耐性が出来てしまうので、薬に効果が感じられなくなった場合は担当の医師に相談して他の薬に変えてもらうようにしましょう。

離脱症状がでる

離脱症状というのは薬を止めたときに症状が起きることです。

デパスを長期間服用していたのに突然服用を止めると不安が急に大きくたったり、イライラしたり、酷い頭痛になったりして耐えられないような状況になります。

睡眠薬を長期服用していることに不安を感じたり、心配になって服用を突然止めたり、自分では症状がよくなったということで自己判断で突然デパスを服用しなくなると離脱症状が起きることがあります。

デパスの服用を止める場合は、徐々に薬の量を減らしていって止めるということが大切です。薬を減量する場合も医師とよく相談して適量を探って行きましょう。

デパスの服用を止める場合は、自分の身体がデパスの減量を感じないほどゆっくるとしたスピードで減らすのが望ましいと考えられます。

デパスはこんな人におすすめ

デパスはこんな人におすすめ

睡眠障害の中でも特に入眠障害があるという人は、即効性のあるデパスを服用することで入眠がスムーズになります。

デパスは即効性がありますが、持続性が短かい睡眠薬なので中途覚醒や早期覚醒の人には向いていません。

デパスが効かない場合は?

デパスが効かない場合は、主治医の先生に相談して今の服用量を増量して効き目を強くするか同じベンゾジアゼピン系で中時間型の薬を変更してもらうと良いでしょう。

ただし、どんな場合でも必ず医師の判断には従ってください。

まとめ

睡眠薬のデパスは効き目は短時間ですが、即効性があるのでなかなか入眠できないという入眠障害の人向きの睡眠薬です。

睡眠薬のデパスは効き目は短時間ですが、即効性があるのでなかなか入眠できないという入眠障害の人向きの睡眠薬です。

しかし、長期間服用し続けることで依存性も高く、離脱症状もあるので自己判断で薬を服用することなく医師の処方通りに服用することが大切です。

高齢者でデパスを服用している人が多いのですが、突然ふらついたり、めまいがしたり、眠気が出るので転倒してしまうことも多くなりますし、デパスの効果によって物忘れが酷くなったり認知症のリスクが上がりますので特に注意が必要です。

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