
「布団に入っても眠ることができない」
「ウトウトしてもすぐ目が覚めてしまう」
「寝た気がしない」
など眠りに対する悩みは人それぞれですが、本人が「辛い」「よく眠ることができない」と感じる症状が不眠症です。
今では日本人の5人に1人が不眠症だと言われており、年々不眠症に悩む方は増加しています。
不眠症は、十分な睡眠を取ることができないため、仕事や家事に支障をきたしてしまったり、頭痛を伴うなど体調にも影響してくるため、本当にどうにかしたいと思うものですよね。
そんな不眠症はいったい何が原因で生じてしまうのでしょうか?
ここでは、不眠症の原因について詳しく見ていくことにしましょう。
この記事の目次
精神的要因
精神的要因が、不眠症の原因となっていることがあります。
そのいくつかの原因についてまずは一緒に見ていくことにしましょう。
1.ストレス
過度のストレスが原因となって不眠になってしまうことがあります。ストレスと言うものは自律神経と密接した関係性があり、この自律神経には交感神経と副交感神経があります。一度はこれらの言葉を耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
人はストレスを感じると交感神経が活発になり、心身が緊張状態になります。自律神経は、血流にも大きく関係しているため、心拍数を上げ、血圧を上昇させます。
また、ストレスは交感神経を活発にすると同時に、副交感神経の働きを邪魔します。副交感神経は眠る時に優位に立つ神経で、心身共にリラックスさせてくれる働きがあります。
ストレスにより緊張状態が続き、リラックスできないとなれば、当然眠ることもできませんよね。
つまり不眠症を引き起こしてしまうのです。解決できない心配事や仕事上の悩みなど、長く続くストレスは特に危険です。
2.自律神経が乱れているケース
ストレスが原因でなくても、ストレスの時と同じような自律神経の乱れが見られる場合、不眠症を引き起こすことがあります。
更年期障害や自律神経疾患、うつなども自律神経が乱れることがあるため、不眠症になることがあると言われています。
3.興奮状態
子供のころ経験したことがあるという方も多いと思いますが、明日の遠足が楽しみでなかなか寝付けないというように、楽しみなこと、昼間あったことなどが引き金となって、心が興奮状態になることがあります。
たまになら何の問題もなく、次の日に良く眠れば問題はありませんが、こうした興奮状態が何日か続いたりするとそれが原因となり、不眠症に陥ってしまうことがあるのです。
刺激の多い食事や、覚せい剤やシンナーなどの薬物、劇物なども興奮状態と言われる精神状態を誘発しますので、不眠症の原因となります。この興奮状態とストレスが交互にあるケースでも不眠症に陥ることがあります。
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不眠症につながる生活習慣
不眠症につながる生活習慣と一口に言っても色々なことが考えられます。次は日常の習慣が原因となっているものについて見ていくことにしましょう。
4.昼と夜の生活の逆転
昼は起きて夜は眠るというのが通常の睡眠サイクルですが、夜遊びが続いたり、12時過ぎまで起きている、夜勤があるなどと言う方は不眠に陥ることがあります。
一日、二日昼夜が逆転しただけでは、眠れないことがあってもいずれ元の状態に戻りますが、長期的に夜起きている状態が続くと不眠症を引き起こす原因となります。
また、幼少期などに夜眠る習慣を身に付けていない場合、就寝時間が毎日異なるという人も、ある時から夜目が覚めるという症状が見られるようになり、不眠症になると言われています。
5.昼間の行動量の不足
家から一歩も出ない、何も運動しないという生活を送っているという方もいると思いますが、このように運動量が少ない生活を送っている場合、不眠症になってしまうことがあります。
ある程度の運動は睡眠の質を上げるために必要不可欠なことと言われていますので、この睡眠の質の悪さが、不眠の引き金となってしまいます。
6.アルコール
飲酒を習慣としている方もいると思いますが、飲酒の習慣は不眠症の原因となります。
アルコールを飲むと良く眠ることができると思っている人は案外多いのですが、実はアルコールで良い睡眠を得ることはできません。
アルコールには覚醒中枢や睡眠中枢を麻痺させる作用があり、それで一時的に脳の機能を抑制しているだけにすぎません。
少量のアルコールを飲んだ場合、覚醒作用が働くと言われていますので、眠るためには大量のアルコールを摂取する必要があります。
ですが、大量のアルコールを飲むとアセトアルデヒドと言う毒素を多く分解する必要があり、このときに交感神経が刺激され、体温や脈拍が上昇するのです。この刺激は、夜中に目覚める原因となってしまいます。
良く眠ることができると思って飲むアルコールが、かえって睡眠障害の原因を作ってしまっているのです。アルコールを常習しているとアルコールの作用に慣れてしまい体に耐性がついてくるため、摂取量も徐々に増えていきます。
摂取量の増加はアルコール依存症を発症することにつながり、不眠症を発症してしまう原因にもなってしまうのです。
7.就寝前の食事習慣
就寝前に、食事を摂ったり、カフェインの強い飲料を飲むという方も不眠症に陥るケースがあります。夕食は寝ている間の必要なエネルギー源ですが、消化するためには3時間程度の時間が必要だと言われています。
そのため、寝る前に食べ物を食べると眠るはずの時間になっても食べ物が消化されていないため、胃腸や循環器はまだ休むことができないのです。
自分は眠ろうと思っても、体は完全に眠る準備ができていないため、熟睡できないことになります。こうした生活が続くことで不眠症につながってしまうのです。
また、カフェインの入った飲料を頻繁に飲む、または夜に飲む習慣があるという方もいると思いますが、カフェインの覚醒効果は8時間から14時間持続すると言われています。
そのため、カフェインに敏感な体質の方は昼に飲んだカフェインの入った飲料さえ、眠りを妨害してしまうのです。
体質にもよりますが、就寝前はもちろんのこと、昼間の頻繁なカフェインの摂取は不眠症の原因となりますので、注意しましょう。
8.朝食を抜く
食事は、体内時計をリセットしてくれるものです。特に朝食は、寝ている間に失われた栄養や水分を補う役割があり、脳と体を覚醒させてくれる大切な食事です。
寝ている間でも人間は栄養を消費しているため、起きたときは栄養が足りていない状態になっています。
そのまま、朝食を食べないということは、脳が働くための栄養も少ない状態ですので、脳は覚醒することができずにボーっとしている状態が続きます。
もちろん体内時計のリセットがされませんので、その日の眠りの時間も狂ってしまうというわけです。
朝食を継続して取らないと毎日の体内時計がリセットできずに、日々の生活を送ることになります。眠る時間になっても眠ることが段々できなくなってしまうのです。
これが不眠症に大きく関係しています。
9.ベッドでのPCやスマホの使用
PCやスマホなどのブルーライトは波長が380nmから495nmの青色光で、目に見える光の中で最もエネルギーが強い光と言われています。
眠る直前までベッドなどでPCやスマホをいじっているという方も多いと思いますが、この光は目覚めたときに浴びる太陽などの光に匹敵する強い光のため、眠りを妨げてしまうようです。
また、一日中スマホを利用している場合、体内時計を狂わすとの研究も明らかになっています。
液晶テレビなどブルーライトを発する製品は広く普及しているため、デジタルディスプレイを全く見ないということは難しいと思いますが、就寝前のPCやスマホの使用を避けるだけでも不眠症を引き起こす原因を少なくすることができると言えるでしょう。
10.薬の服用
薬の服用により、不眠症に陥ることもあります。アレルギーの薬や風邪薬、降圧剤やステロイド薬、抗がん剤や経口避妊薬など不眠を引き起こす薬はたくさんあり、それを常用している場合、不眠症になってしまうことがあります。
服用をやめれば改善されることもありますが、睡眠障害がある場合には医師に相談してみる必要があるでしょう。
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まとめ
色々な不眠症の原因を見てきましたが、この他にも身体の病気が原因となって不眠症に陥ることがあります。
咳が続いたり、体のかゆみが原因となって眠ることができないという経験がある方もいると思います。こうした症状が長期にわたって続くことで不眠症になるケースもあるようです。
紹介してきた様々な不眠症の原因の中に、自分に当てはまるものがあったという方もいるのではないでしょうか?
不眠症を改善したいと思うならば、まずはそれらの原因を取り除いてみることから始めてみましょう。
原因を取り除き、辛い不眠症を改善していけるよう心がけていくことが大切です。