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ベンゾジアゼピン離脱症候群の症状と対策とは?

  • 最終更新日:2017.03.13
  • 公開日:2017.01.11

夜になってもなかなか眠れない、眠ってもすぐに起きてしまうという状態が長く続くと不眠症になってしまいます。

不眠症になると体力もなかなか回復しませんし、健康面でも精神面でも支障をきたすことが多くなり自分ではなかなか治すことが難しくなります。

重症化しないうちに病院に行くことが大切になってきますが、病院ではほぼ間違いなく不眠症改善のために睡眠薬が処方されます。

医師によっては色々な睡眠薬を使い分けすることがあり、その中でベンゾジアゼピン系の睡眠薬を選択されることがあります。

現在では安全性も高く、不眠症に対する効果もある薬として認識されている薬ですが、中には、この睡眠薬の投与を中止した時に起こるベンゾジアゼピン離脱症候群というものに苦しむ人がいます。

では、ベンゾジアゼピン離脱症候群とはどのような症状なのでしょうか?

また、ベンゾジアゼピン症候群になってしまったらどんな対策をとると良いのでしょうか?

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は安心できる睡眠薬

 

現在の日本国内では、約20人に1人が何らかの理由で睡眠薬を服用していると言われています。

その睡眠薬の中でも医師が処方する一番多い薬がベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。

昔から、色々な睡眠薬がありましたが、どちらかと言うと睡眠薬というのは副作用があるということで服用に対して偏見を持つ人も多かったですし、実際、服用して睡眠薬の副作用に苦しむ人もいました。

しかし、医学の進歩により様々な睡眠薬が開発され、1960年代頃から、しっかりとした睡眠効果を得ながら重い副作用がないベンゾジアゼピン系睡眠薬が登場します。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬が開発される以前はバルビツール系睡眠薬が、処方される睡眠薬でメジャーな存在でしたが、大量服用した場合には非常に危険な副作用があらわれる危険性がありました。

しかし、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は大量に服用してしまっても致命的な副作用がなく、医師も患者さんも安心して取り入れることのできる薬として広く認識されています。

そのような経緯から現在までの50年近くの間、人気のある睡眠薬となっています。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは?

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、それまで心配された睡眠薬による副作用の危険を軽減できる上に高い睡眠効果を得ることができるのが最大の特徴です。

不眠症にはなかなか寝付けない入眠障害、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、朝早く起きてしまう早期覚醒など様々なタイプがありますが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は作用時間や強さなどに対応する様々な10種類以上の薬があり個人の不眠の特徴に特化した処方ができる睡眠薬となっています。

しかし、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、薬である以上、全く副作用がないとは言えません。

危険な副作用は少ないのですが、副作用が少ないゆえにたくさん服用してしまったり、だらだらと長期間服用し続けることで体が睡眠薬を使用することに慣れてきて、薬が効きにくくなる耐性が出たりすることがあります。

そうすると睡眠薬なしでは生活できないほどの依存性が出ることがあり、このことが昨今では非常に問題となっています。

 

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睡眠薬の名前

 

現在、睡眠薬を服用されている方などは、自分が処方されている薬がどういう種類の睡眠薬か気になります。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は10数種類あります。

ハルシオン、レンドルミン、リスミー、デパス、サイレース、ロヒプノール、ロラメット、エバミール、ユーロジン、ネルボン、ベンザリン、エリミン、ドラール、ダルメート、ベジノール、ソメリンなどはベンゾジアゼピン系睡眠薬です。

作用時間は超短時間型のものには、ハルシオン、アモバン、マイスリー。短時間作用型にはデパス、レンドルミン、リスミー、エバミール、ロラメット。

中間作用型にはエミリン、ロヒプノール、サイレース。ユーロジン、ベンザリン、ネルボン。

長時間作用型にはダルメート、ソメリン、ドラールなどがあります。

 

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睡眠薬の作用

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は脳にあるGABA-A受容体というものに結合します。

GABA-A受容体は抑制系受容体と呼ばれ、脳の働きを抑制します。

脳の働きを抑制すると、不安を和らげたり、眠気が出たり、筋肉がリラックスしたり、けいれんを抑えるという効果があります。

これによって睡眠効果が得られるとされています。

 

ベンゾジアゼピン離脱症候群とは?

睡眠作用にしっかりとした実感があり、副作用が少ないということで日本では非常に人気のあるベンゾジアゼピン系睡眠薬ですが、欧米では10年以上前から徐々にその服用が法律で禁止されている国もあります。

その理由はベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用で、4週間以上服用し続けると麻薬、大麻、ヘロインなどのように酷い依存症になり、依存症になってしまうと服用をやめたとたんに健康に問題が出てくるというベンゾジアゼピン離脱症候群になってしまうからです。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬を1ヶ月以上服用し続けると、徐々に体が薬に慣れてきて耐性ができて、今までと同じ量の睡眠薬の服用では眠れなくなったり、飲まないことによって不安になる精神依存や薬を減らすと体調が悪くなるという身体依存、大量に薬を服用することでアルコールに酔ったときのような状態になり、倒れたり、事件や事故を引き起こすなどの2次的な被害もあると言われています。

このためベンゾジアゼピン系睡眠薬を長期間服用し続けてしまった人がなかなか薬から離れることができない状態をベンゾジアゼピン離脱症候群と言います。

 

主な症状とは?

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬を長期間服用した後に服用を突然中止すると、様々な離脱症候群という禁断症状があらわれます。

症状が酷いと自覚できますが、些細な体調の悪化の場合、それがベンゾジアゼピン離脱症候群であるという認識を持てない人も多くいます。

 

・ 内臓系の症状
胃腸炎、胃痛、下痢、便秘、消化不良、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、失禁、頻尿、膀胱炎、血圧変動、激しい動悸、胸焼け、高血圧、起立性低血圧、心臓の痛み

 

・ 呼吸器系の症状
喘息、気管支炎、花粉症、副鼻腔炎、息苦しい、息切れ、過呼吸、窒息感

 

・ 体調一般の症状
頭痛、ドライマウス、唇の乾燥、のどの痛み、歯・歯茎の痛み、のどのつかえ、唾液の分泌、頭皮の刺激感、偏頭痛、頭が重い、吹き出物、鼻炎、目の充血、肌荒れ、鼻血、口内炎、目の痛み、目のかゆみ、光過敏、飛蚊症、視力低下、複視、ピント障害、むずむず脚症候群、目が回る、平衡感覚、歩行困難、体のバランス疾患、めまい、食欲増進、食欲不振、急激な体重の増減、嘔吐、吐き気、むかつき、にきび、しびれ、疲労感、脱力感、免疫異常、自律神経失調症、筋けいれん、筋肉痛、発汗、寝汗、聴覚異常など

 

・ 女性の疾患症状
生理不順、生理痛、生理不順、生理の停止

 

・ 精神上の症状
不安、恐怖、神経質、パニック発作、脅迫観念、イライラ、クヨクヨ、自信喪失、無感情、妄想、罪悪感、負の思考、希望の喪失、自傷行為、混乱、うつ、現実感の喪失、記憶の低下、フラッシュバック、集中力の欠如、人格の変化、興味の喪失

 

・ 睡眠上の症状
不眠、悪夢、むずむず脚症候群、幻覚

 

その他、色々なベンゾジアゼピン離脱症候群が原因の症状があります。

あまりにも体調の変化や出る症状が多岐にわたるため、その体調の悪化がベンゾジアゼピン系睡眠薬をやめたことであるという自覚がない場合も少なくありません。

症状によっては、なかなか気づきにくいケースもありますが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の服用を止めて体調が悪くなったという場合はベンゾジアゼピン離脱症候群である可能性が非常に高いと言えるでしょう。

 

症状はどれぐらい続く?

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬を4週間以上服用し続けた結果、服用を止めた途端に離脱症候群によって体調が悪化したという人の症状が数ヶ月から数年続くと考えられます。

しかし、基本的にはベンゾジアゼピン系睡眠薬は今現在でも副作用の少ない睡眠薬であるとされています。

ベンゾジアゼピン離脱症候群になる人は睡眠薬を長期服用した人の10~15パーセントの人で、薬を長期服用したからといって全員がベンゾジアゼピン離脱症候群になるわけではありませんので安心してください。

ベンゾジアゼピン離脱症候群になった人で多いのは、長期間ある程度の量の薬を服用していたにも関わらず、突然薬の服用を中止したり、急激なペースで薬を減量したという場合です。

このような断薬の方法をとった人はベンゾジアゼピン離脱症候群を発症しやすいと考えられていますので、その後の対策が重要です。

 

ベンゾジアゼピン離脱症候群の対策は?

 

ベンゾジアゼピン離脱症候群を引き起こしやすい人は、長期間ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用していたにも関わらず、急激に服用している量を減らしたり、突然薬の服用を自分で中止した人です。

ベンゾジアゼピン離脱症候群を発症してしまった人は放置すれば数年間も体調不良や不眠や精神不安に陥ることもありますが、しっかり対処すればまた体調も良くなります。

離脱症候群の対策として一番効果があるのが、もう一度ベンゾジアゼピン系睡眠薬の服用を再開して、今度はゆっくりと服用量を減らしていく方法です。

一度副作用に苦しんだ人がもう一度副作用のある薬の服用を再開するにはかなりの抵抗があると思いますが、徐々に睡眠薬を体から抜いて、体を慣らしていくという方法をとることが、一番苦しくなく、安全な対策方法なのです。

 

睡眠薬の減量方法は?

 

急激にベンゾジアゼピン系睡眠薬の服用を止めることで体調を崩すため、段階を踏んでゆっくり睡眠薬のない状態に慣らしていくよう心がけることが大切です。

どれぐらいのペースで睡眠薬の服用量を減量させるかということは服用量や服用期間にもよりますが、2週間ごとに10分の1から20分の1ほどの微量を徐々に減らし、時間をかけて服用量を減量させることで体をベンゾジアゼピン系睡眠薬のない状態に慣すことができます。

微量の減量ですのであまり離脱症候群の症状はないと思いますが、もし途中で苦しい症状が出た場合には無理をせずに減量をストップして症状を緩和していきましょう。

微量ずつ減量することは非常に時間がかかり、時には1年以上かかることもあるようですが、体に無理のない断薬方法をとる対策が大切です。

 

薬の種類を変えてもらう

薬が粉状のものは徐々に量を減らしやすいのですが、粒状の薬を服用していると20分の1の減量というのは非常に難しくなります。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は色々な種類がありますので事情を話して薬の種類を変えてもらったり、形状を変えてもらうと良いでしょう。

 

専門医に相談しましょう

 

睡眠薬を断薬したり、薬の種類を変えるというのは自分の一存ではできません。

薬の処方は専門医がしますし、断薬の期間や量の調整は本来治療にあったっている主治医の指導の元行うべきです。

急激な薬の減量や断薬が原因でベンゾジアゼピン離脱症候群などの症状が出るのですから、専門の知識を持った医師が断薬方法を指導することが大切です。

しかし、不眠症の根本的原因の治療が進んでない状態などでは自分が睡眠薬の服用止めたいと思ってもなかなか主治医が納得してくれない場合もあります。

まずは、主治医に睡眠薬の減量の相談を行ったり、離脱症候群への対策をとってもらうべきです。

ですが、どうしても自分の考えた方と主治医の治療方針などの折り合いが付かない場合は、薬の減量管理を自分で行うか、他の医療機関に相談に行ってみたり、東洋医学である漢方薬を治療に使っている医師へ相談してみるものよいでしょう。

 

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>>不眠症・睡眠障害かな?と思った時、病院の何科にいくべきかのまとめ

 

再び服用しない体を作る

 

不眠症というのは一度発症すると、何度もその症状を繰り返します。

できるだけ睡眠薬を服用しなくても質の良い睡眠をとることができるよう日頃から睡眠に入りやすい生活をしていくことが何よりの対策です。

まずは規則正しい生活をすることが大切ですので、早寝早起きを心がけましょう。

朝はしっかり太陽の光をあびて運動などをして体を動かしましょう。

精神的な面をケアするためにはヨガや瞑想も効果的です。

また、趣味を持ったり、友達と会話したりして生活をイキイキさせることも良い対策方法と言えるでしょう。

 

まとめ

 

現在日本国内において副作用の比較的少ない睡眠薬として人気があるのがベンゾジアゼピン系睡眠薬です。

大量服用しても致命的な副作用がないとされる睡眠薬ですが、長期間服用した人が突然服用を止めたり、短期間で薬を減量して服用を中止するとベンゾジアゼピン離脱症候群になる場合があります。

自己判断での断薬には十分な注意が必要です。

ベンゾジアゼピン離脱症候群の症状は多岐に渡りますが、症状が出た場合には一旦止めた薬を再び服用して徐々に薬の量を減量するという対策方法をとるよう心がけましょう。

医師と相談の上、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用、中止については検討していくと良いでしょう。

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