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睡眠薬「ベンザリン錠」が効かない場合って?強さと効果・副作用の知識

  • 最終更新日:2018.06.28
  • 公開日:2017.11.13
睡眠薬「ベンザリン」が効かない場合って?強さと効果・副作用の知識

ベンザリンは1967年に日本で初めてシオノギ製薬から発売されたベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。

ベンゾジアゼピン系が広く用いられる前は、バルビツール酸系の睡眠薬が主流となっていましたが、脳幹に直接作用するため、安全性も低く、致死量も低いため死に至る危険性を秘めていました。

呼吸抑制や血液低下などが引き金となり、ショック状態に陥ることもあり、医師の管理が必要だったのです。

このベンザリンが発売されたことで睡眠薬が入院患者に限らず使用できるようになりました。

ベンザリンは、ベンゾジアゼピン系の中でも中時間型に分類されますが、強さや効果、副作用などについて気になる方もいるでしょう。

ここではそれらの知識と、もし効かない場合の考えられる要素についてご紹介していきます。

ベンザリンの特徴

ベンザリンの特徴

 

ベンザリンの主成分はニトラゼパム。

ベンゾジアゼピンが名前の由来となっていることもあり、その効果はバルビツール酸系の睡眠薬のように強いものではありませんが、安全性が高く、副作用も少ないという特徴があり、病院でも多く処方されています。

脳神経の興奮を抑え、不安や緊張をなくすことで、自然に近い眠りをもたらしてくれる薬です。

現在では、2㎎、5㎎、10㎎の錠剤とベンザリン細粒1%が販売されており、同じ成分であるニトラゼパムを使用したジェネリックとしてネルボンが販売されています。

 

ベンザリンの用法

不眠症の治療薬としてベンザリンが処方される場合、成人は1回5㎎から10㎎と定められています。

もちろん年齢や、症状などにより、医師の判断で容量が調整されることもあります。

また、他の睡眠薬同様、安定剤や抗うつ剤などとの併用は禁止で、飲酒やカフェインなども副作用、効果を増幅、半減させてしまうため、控えるよう指導されています。

 

ベンザリンの強さは?

睡眠薬の強さはその作用時間によって分類されています。分類の基準についてまずは見ていくことにしましょう。

睡眠薬の分類は以下の4種類に分けることができます。

 

睡眠薬の強さ 出現時間 持続時間
超短時間作用型 10~15分 2~4時間程度
短時間作用型 15~30分 6~10時間程度
中間作用型 30分 20~25時間程度
長時間作用型 30分~1時間 24時間以上

 

持続時間は半減期を基準に計算しており、薬の濃度が半分になるまでかかる時間を示しています。

その薬の強さを知る目安となりますが、ベンザリンはこの中でも中間作用型に分類されます。

ベンザリンは薬の血中濃度がピークに達するまで2時間ほどかかりますが、比較的即効性のある薬です。

また、半減期までの時間も27時間と長いため、睡眠全般をカバーしてくれます。

薬の効果が長く作用してくれるため、その効果はどちらかというと長時間作用型に似た性質があり、徐々に体の中に薬の成分が蓄積され、毎日の眠りを安定したものへと導いてくれるタイプの薬となっています。

不眠に高い効果を現わしてくれるお薬ですが、薬の強さは「標準」と言えるでしょう。

 

ベンザリンの5つの効果

ベンザリンの5つの効果

 

ベンザリンは発売から長い間使用されている薬でもあるため、その効果も他の古い薬同様、「物足りない部分があるのでは?」と考えている方も多いと思いますが、逆に考えれば、新たに販売されている睡眠薬に匹敵する価値があるからこそ、現在でも使われていると取ることもできます。

つまり、ベンゾジアゼピンを代表する素晴らしい効果があると言うことです。

ベンザリンの効果について詳しく見ていくことにしましょう。

 

1.即効性が期待できる

ベンザリンは、薬を飲んでから、約30分で効果が現れ始めます。

薬のピーク時間は、超短時間作用型や短期作用型と違いゆっくり長く作用しますが、薬の出現までの時間には差がないため、即効性が期待できます。

つまり、自然に近いスムーズな入眠ができると言う訳です。

「眠りたいのに眠ることができない」のは本当に辛いものですが、薬を飲んですぐ、眠りに落ちてしまうのも、決して自然に近い眠りとは言えません。

だんだん眠りに誘われていくという理想の眠りができる点がベンザリンの効果となっています。

 

2.安定した眠りをもたらしてくれる

ベンザリンの薬の半減時間は長時間作用型と同様、27時間と長くなっています。

そのため、次の薬を服用するときまで、薬の効果が残っています。

この体に残った薬の成分は決して永遠に溜まっていくというものではなく、5日間などで一定量つまり定常状態を維持することになります。

薬の効果が常に効いているということになりますので、安定した眠りをもたらしてくれます。

翌日もその翌日もスムーズに眠りにつけるよう、体が薬の成分を維持してくれるのです。

ひどい不眠症の場合、強い薬を飲んで眠るという方も多いと思いますが、ベンザリンは標準的な強さの薬にもかかわらず、安定した眠りを作ってくれる薬なのです。

 

3.抗不安作用

ベンザリンは抗不安薬としての効果もあります。

精神の不安定さは不眠症の大きな原因であると言われていますが、入眠を妨げているストレスや悩みなどを緩和してくれる効果がベンザリンにはあるのです。

ベンザリンの薬の作用時間は日中にも働き、昼間仕事場などで受ける精神へのダメージを軽いものにしてくれます。

ストレスなどがなくなるということは、その後の睡眠をよりスムーズにしてくれますので、徐々に不眠症が改善されていくということになります。

睡眠、ストレス、ダブルで効果を発揮してくれる薬であるという点はベンザリンの大きな効果と言えるでしょう。

 

4.あらゆる覚醒の悩みに対応してくれる

ベンザリンは、入眠にも高い効果を発揮してくれる薬ですが、作用時間が長いということもあり、夜中何度も目が覚めてしまうなどの覚醒の悩みにも高い効果があります。

眠ることはできても、きちんと眠ることができない睡眠障害は本当につらいですよね。

また、朝早くに目が覚めてしまい、その後眠ることができないタイプの睡眠障害にも対応可能です。

薬の効果が朝まで持続してくれますので、目覚めることなく熟睡することができます。

どんな睡眠障害にも柔軟に効果を発揮してくれる薬なのです。

 

5.長い処方が可能

睡眠薬の処方は一般的に多くの睡眠薬が30日分の処方と制限されています。

つまり30日以上はどんなにお願いしても処方してくれないということです。

その上、睡眠薬は大量に服用してしまうと危険ということもあり、大抵は2週間分だけ処方するという病院が多くなっています。

2週間分しかもらえないということはその度に病院に出向くことになりますので、非常にもらう方の負担も大きくなります。

しかし、ベンザリンはそもそもの処方制限が長く設定されています。

てんかんの処方薬と言うこともあり、その処方は90日までとされていますので、他の睡眠薬と比べ一度に多くの睡眠薬を処方してもらいやすくなっているのです。

安全性が保障された、通院の手間も省くことができる睡眠薬と言うことは効果ではありませんが、メリットと言えますね。

 

ベンザリンの副作用とは?

ベンザリンの副作用とは?

 

ベンザリンはベンゾジアゼピン系の睡眠薬と言うこともあり、非常に安全性の高い薬となっています。

ですが、副作用が全くないと言う訳ではありません。

人によってはベンザリンが合わないということもあり、その副作用が出てしまうケースもあるからです。

また、ベンザリンは徐々に薬の成分が体の中に蓄積されていくタイプの薬であるため、定常状態に近づくにつれ症状を強く感じる傾向がありますので、副作用全般に注意する必要があります。

ここでは、その副作用について見ていくことにしましょう。

 

1.睡眠の質が低下

ベンザリンを代表するベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、睡眠の質が落ちてしまうという欠点があります。

睡眠には主に浅い眠りと言われているレム睡眠と深い眠りであるノンレム睡眠がありますが、このベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、浅い眠りを増やし、深い眠りであるノンレム睡眠の時間を減らしてしまいます。

不眠症でベンザリンを服用し眠ると睡眠時間は大幅に増えることになりますが、睡眠のサイクルが乱れてしまうことになるのです。

朝寝ているはずなのに疲れが取れていない、よく眠れていないと感じてしまうこともありますので、人によっては一種の副作用と言えるでしょう。

 

2.眠気などの持ち越し症状

ベンザリンは半減期までの時間が27時間と長いため、薬の作用が日中にまで及ぶことになります。

つまり、薬の持越し作用が出る可能性が高くなるわけです。

起きるはずの時間になっても、眠気が消えなかったり、倦怠感が残っていたり、起きているのにボーっとしてしまうなどの症状が強く現れることがあります。

この持越しの症状が強いと仕事などに大きな影響が出てしまいますので、ベンザリンの副作用と考えていいでしょう。

特に通勤などで車を使用する方や危険な機械作業などの仕事をメインとしている方は使用を中止する必要があるでしょう。

睡眠の悩みに合った薬を処方してもらうのも大切ですが、薬の作用が短いタイプのものに変更してもらいましょう。

医師に副作用の症状をしっかり伝えて上で、使用する睡眠薬を選び直してみると良いでしょう。

 

3.筋弛緩作用

ベンザリンの属するベンゾジアゼピン系の睡眠薬は脳に働き、精神の不安定さを取り除き、自然に近い眠りをもたらしてくれるお薬ですが、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と異なる点はBZD受容体ω2受容体にも作用する点です。

ω2受容体は精神的ストレスなどを取り除くなど抗不安作用をもたらしてくれるというメリットもありますが、その反面、筋弛緩作用にも働いてしまうため、ふらつきなどをもたらすことがあります。

特に高齢者の方や夜中トイレに立つ場合などは筋肉が緩み、その働きも十分ではないため、ふらついてしまう危険性があります。

また、朝目が覚めたばかりの時も油断していると転倒などを引き起こしてしまいますので、ベンザリンを服用し始めたばかりと言う方は、十分に注意しましょう。

 

4.依存

ベンザリンは依存の危険性の少ない睡眠薬と言われています。

しかし、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬であるため、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比べると依存や耐性が現れる可能性も少なくありません。

薬物依存の可能性はわずか0.1%と少なくなっていますが、全く危険性がないと言う訳ではありませんので、4か月を超える長期服用、大量投与などは避けることが大切です。

関連記事
ベンゾジアゼピン離脱症候群の症状と対策とは?

 

5.その他の副作用

非常にまれなケースではありますが、過剰反応や呼吸抑制などの副作用も他の睡眠薬同様、報告されていますので、副作用の一つとして頭に入れておくことは大切です。

このような症状が見られた場合には直ちに使用をやめ、医療機関を受診してくださいね。

また、食事とともに服用した場合にも薬の効果が30%にまで低下して効果が十分発揮されないこともありますので、副作用と共に服用の注意点として覚えておくと良いでしょう。

 

ベンザリンはこんな方におすすめ

ベンザリンはこんな方におすすめ

 

ベンザリンは、あらゆるタイプの睡眠障害に対応可能な睡眠薬です。

入眠障害から中途覚醒、早朝覚醒を代表するようにすべての睡眠障害をカバーしてくれますので、複数の睡眠障害が折り重なって出てしまうという不眠症の方にはもってこいのお薬と言えるでしょう。

入眠障害だけに悩む方には、超短時間作用型や短時間作用型の方が向いていますので決しておすすめではありませんが、複数の睡眠障害に悩む方にとっては助けとなってくれる睡眠薬ですので、医師と症状を話し合った上で、処方を考えてもらうと良いでしょう。

デメリットも踏まえた上で、使用を考えてみてくださいね。

 

ベンザリンが効かないなら・・・

ベンザリンは標準的な強さの睡眠薬であるため、作用時間も長く、高い効果の期待できる薬ですが、やはり個人的に合わないと感じることもあるでしょう。

睡眠を定着させてくれる薬であるため、最低1週間は飲んでその効果を確かめてほしいのですが、それでもやはり合っていないと感じるのであれば、長期間作用型の睡眠薬を検討してみると良いでしょう。

ドラールなどの長時間作用型の睡眠薬であれば、より長く薬の作用が得られますので、睡眠が定着する可能性はあります。

まずは必ず医師と相談の上、どんな薬を選べばいいのか再検討してみましょう。

 

まとめ

ベンザリンはベンゾジアゼピン系を代表する、標準的な強さの睡眠薬です。薬の出現時間は30分と短いため、入眠障害もしっかりカバーしてくれます。

 

ベンザリンはベンゾジアゼピン系を代表する、標準的な強さの睡眠薬です。薬の出現時間は30分と短いため、入眠障害もしっかりカバーしてくれます。

また、血中濃度のピークは2時間となっており、半減期までの時間も27時間と長くなっていますので、中途覚醒や早朝覚醒にしっかり効いてくれます。

ただし、定常状態を維持するために4日から5日ほどかかりますので、スムーズな睡眠のためにも、最低1週間は睡眠の状態をご自身で観察してみると良いでしょう。

副作用についてもあまり心配の必要はありません。

重篤な副作用を発症するケースが少ない睡眠薬ですので、比較的安心して使用することができます。

ただし医師の処方、服用方法を守ることが大切です。

自分の不眠の症状をよく伝えた上で、ベンザリンの服用が本当にあっているか、医師と相談し、処方を検討してみてください。

ベンザリンの効果と副作用を十分に頭に入れてから、服用するようにしてくださいね。

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