
最近ぐっすりと眠れないと悩んでいるならば、お風呂の入り方をもう一度見直してみるのが良いでしょう。
入浴は体を清潔にするための場所と考えている方も多いと思いますが、体温の上昇を調節できますので、睡眠とも関係が深く、ぐっすりと眠れる方法があります。
ぐっすりと眠れる効果的なお風呂の入り方を身につけ、睡眠の悩みを一気に吹き飛ばしてしまいましょう。
この記事の目次
忙しい人こそ入浴を!
忙しい毎日を送っている人は、ゆっくり入浴タイムを取ることが難しいと言う方も多いことでしょう。
しかし、忙しく体に疲れが溜まっている人こそ良質な睡眠を取って体を回復する必要がありますよね。
毎日時間がないからと、シャワーで済ませるのではなく、ちゃんと湯船に浸かって睡眠に適した状態を作るべきなのです。
忙しいテンションで1日中活動をしていた人は脳も体も就寝時間近くになってもなかなかリセットができません。
体や脳が疲れているため、睡眠の状態が整わないまま眠ることになってしまうのです。
そのため、脳も体もヘトヘトに疲れているのに眠れない、寝ても寝た気がしないなど問題を抱えることになります。
また、寝たはずなのに朝から疲れを感じることも少なくありません。
つまり、良質な睡眠が取れていないわけです。
忙しい人こそ毎日の疲れをその日のうちに取り除くことが大切で、正しい入浴習慣をつけることがその手助けとなります。
体温と入眠の関係
赤ちゃんや子供は眠くなると手足や頬が温かくなります。
赤ちゃんはぐずっていても手足が温かいな・・・と思った途端、あっという間に眠りに落ちてしまいますよね。
これは小さい子供だけに限ったことではありません。
人間は夜になると体温が下がり始めます。
夜に体温が下がるには色々な理由がありますが、1つは夜間になると普通の生活をしている人は昼間ほど活動的に体を動かさなくなるからです。
夜更かしをして睡眠をしていなくても人の体温は夜になるに連れ、下がり始めます。
また、入眠する時にも体温は下降することになります。
睡眠に入ると体の中では代謝が落ちて熱量が少なくなるので、睡眠中は体温が下がるのです。
特にノンレム睡眠(深い眠り)の時は体の中心温度がグンと下がります。
睡眠に入るとき、人間は手足など体の末端部の熱を上昇させて熱を放出することで体の深部の体温を下げています。
赤ちゃんが眠り際に手足が温かくなるのはこのような生理現象が起こるためです。
熱を手足などから外部に出すことで体の内部の温度を下げ、体全体の代謝や脳の温度も下がり、やがて眠りに入っていきます。
睡眠に入る時、体の深部体温は1~2度ほど低下させる必要がありますが、熱の放出が上手くいかないとスムーズな入眠とはいかなくなります。
冷え性などで手足の血行が悪いと熱を上手く外部に放出することができないので、なかなか入眠できないと言う症状に悩むことも多くなるのです。
入浴で入眠がスムーズに
睡眠前にお風呂に入ったら、気持ちよく眠れたという経験はありませんか?
このような現象もやはり体温と睡眠に大きな関係があるからです。
睡眠と体温の1日のリズムは非常に大切なことなのですが、自分の体温について意識している人は少ないのはないでしょうか?
スムーズに入眠して深い眠りにつくためには、自分の体温をある程度コントロールすることが大切です。
夜に入浴すると体中の血流が良くなるので体温は上がります。
体全体が温まるので深部体温も上がります。
その後、お風呂から上がった後は血管が開いているので熱が外に放出されやすい状況になり、一度入浴によって上がった深部体温を一気に下げることができやすくなるのです。
入浴後に温まった体から一気に熱が放出されて体温が一気に大きく下がるので、スムーズに睡眠へと移行できると言う訳です。
冷え性の人こそ、体温調節が良質な睡眠のカギ!
入眠の前に体を温め、熱を手足から放出し、深部体温を下げることが質の良い睡眠につながりますので、特に冷え性で常に手足が冷えている人は入浴で体をしっかり温めることが大切です。
シャワーでは何となく体が温まったように感じるかもしれませんが、体の芯まで温まっていませんし、手足など体の末端までの血流を良くするまでには至りません。
入浴して湯船にしっかりと浸かって体の芯まで温めることこそが、眠りにつながるのです。
冷え性の人は寒くて眠れないために、よく寝室を暖房で温めたり、靴下を履いたまま寝たり、電気毛布や湯たんぽを使うと言う方がいます。
冬など寒い季節になると寝具や寝室が冷たいままでは眠れないというのも分かりますが、睡眠は体の深部体温を一気に下げることが重要で、せっかく深部体温を下げるために手足から熱を放出しているのに、布団の中や部屋が必要以上に温度が高いと上手く熱を体外に放出できません。
どんなに寝具や寝室を温めても深部体温が下がらないので睡眠の質は悪くなってしまいます。
熱い湯たんぽをずっと布団の中に入れたままにしていたり、電気毛布で一晩中布団の中の温度を上げるのは睡眠にとって実はあまり良い環境とは言えません。
湯たんぽや電気毛布を利用して布団の中をある程度温めたら、湯たんぽを出しておいたり、電気毛布のスイッチを切るようにしましょう。
冷え性の人でも睡眠のために重要なことは、体の深部体温を一気に下げることであって、体をずっと温めて寝ることではありません。
睡眠の質を上げるためのお風呂の温度は?
睡眠の質を上げるためには、深部体温を入浴によって一旦上昇させて、手足から体温を一気に放出して体温を大きく下げることが大切になってきます。
体温の落差が睡眠の深さにつながるので体温の下落を大きくするために入浴で深部体温を上げることが重要と言えます。
深部体温を上手に上昇させるためにカギとなるのが、お風呂の温度設定です。
よく体を芯から温めるためにはぬる目のお湯に長時間浸かるのが良いと言われますが、良質の睡眠のために深部体温を上げるには36~38度のぬる目のお湯では効果が期待できません。
また、42度以上の熱めのお湯が好きという人もいるかもしれませんが、体温に対してお湯の温度が高すぎると自律神経の交換神経が高ぶってしまうことで脳が冴えてしまうので、なかなか寝付けない原因となります。
このため、一般的には39~41度のお湯が睡眠のための入浴温度としては適温ということになっています。
どのくらいの時間入っていればいいの?
毎日ゆったりした気分でゆっくり入浴したいものですが、なかなかゆっくり湯船に浸かることができないという人も多いと思います。
しかし、忙しい人ほど質の良い睡眠を取って毎日の疲れを睡眠で解消することが大切になってくるので、最低限湯船に浸かる時間位は知っておきたいものです。
体の表面の温度だけでなく深部体温を上げるためには少なくとも10分以上は湯船に浸かることが必要となります。
髪やボディー洗いがすべて終了してから、最後に10分程度、湯船に浸かるよう心がけましょう。
ただし、しっかり深部体温を上げるために長く湯船に浸かった方が良いのかと言うと、そういう訳でもありません。
お湯の温度も下がってきますし、深部体温も下がってきてしまうので睡眠のためには効果が薄れてしまいます。
適度な時間を守って入浴することが、質の良い睡眠のためには大切です。
快眠のための入浴は何時ごろがベスト?
眠る直前にお風呂に入って、温まった体のまま、布団に入るという人もいますが、これは睡眠のためにはあまり良いこととは言えません。
眠る前に入浴することで深部体温は上昇しますが、その後深部体温が下降できないまま、布団に入ることになってしまうためです。
深部体温を下げることではじめて眠気が現れ始めますので、体温が上がったままでは眠ることができません。
入浴後ほてりが引き始めるまでには最低30分ほど必要になってきますので、就寝から1時間前までには入浴を済ませておくと良いでしょう。
十分にほてりをさましてから布団に入ると入眠までの時間が短くスムーズです。
毎日入浴する時は、就寝時間から逆算して最低でも1時間前までには入浴を終えるようにしましょう。
どうしてもお風呂に入れない時は?
忙しかったり、体調が悪かったりして入浴したいけれどできないという時は、足湯をするだけでも睡眠の質は変わってきます。
足湯だけでなく、手の肘までも一緒にお湯に入れることができたらもっと効果が上がります。
その際のお湯の温度は42度ほどでお風呂のお湯よりも少し高めが良いでしょう。
手先、足先が部分的に温められるとその部分で温まった血液が体を循環して深部体温を上げます。
良質の睡眠のためには深部体温が一旦上がればいいのですから、手足湯でもある程度は効果が期待できます。
睡眠のためにできる入浴の工夫
照明を暗くする
人間の体は基本的に朝に起きて活動して、夜に眠るというリズムを刻んでいます。
体内時計が大きく人間の体を支配し、睡眠にも深く関わっています。
そのため、夜になると自然に眠るための状況を体の中から整えようとします。
人間の体には体内時計というものがありますが、その体内時計は太陽のからの光によって微妙に調節されて人間の生命活動を支えています。
夜になると辺りが暗くなることで体は睡眠のための状態に体を調整しますが、夜なのに煌々とした強い光をいつまでも体に浴びさせていると、体はまだ眠らなくていいと勘違いしてしまってなかなか眠ることができません。
また、脳が活動状態になるために、自律神経の副交換神経が優位にならず睡眠を妨げたり、睡眠ホルモンの分泌を抑制してしまいます。
夜に明るい蛍光灯の元でいるよりも、少し照明を暗くして夜であることを体が認知するような環境を整えることが良い睡眠につながります。
このため、家全体の照明を暗くすることも大切ですし、浴室の照明も暗めにするとより効果的です。
蛍光灯やLEDは周りが良く見えて便利なのですが、オレンジ系の暗い照明にしたり、間接照明を上手く取り入れてみると良いでしょう。
体を洗うときは照明をつけて、湯船に浸かるときだけ照明を消して脱衣場からの光で過ごすのでも充分効果があります。
リラックス効果をあげたいならば、照明を消してキャンドルで辺りを照らしながら幻想的な空間の中入浴してみるのも素敵ですね。
マッサージをする
湯船でマッサージをすると体の筋肉がほぐれて体が休まります。
足先から足の付け根、後頭部や首や肩を自分でマッサージするのも良いですし、シャワーの水圧でマッサージするのも良いでしょう。
指圧で目の眼球の周りや頬骨、眉間、耳を刺激するとツボの刺激になって気持ちが良いものです。
また、頭の頭皮をマッサージすると顔や首や肩までほぐれる感覚がありますし、脳の鎮静効果も高まります。
マッサージすることで血流が良くなりますので、早く体の深部体温を上げることができます。
また同時に、リンパの流れも良くなりますので、疲労した体もリフレッシュできますよ。
アロマオイルを利用する
良質の睡眠を取るためには、体だけでなく、精神的な不安や心配事、悩みを取り除いてあげることも大切です。
精神が安定していないと脳は休まることができなくなります。
精神をできるだけリラックスさせてあげることが睡眠にはとても良いのです。
そこで、リラックス効果のあるアロマオイルや好きな香りの入浴剤を湯船に入れてみるのも、良い方法と言えるでしょう。
ストレスから精神を開放するにはラベンダーの香りが有名ですが、オレンジやレモンなどの柑橘系の香りも爽やかな気分にさせてくれます。
ホルモンのバランスを整えるためにはイランイランが効果的です。
深部体温を上げる入浴法と、精神をリラックスさせることのできるアロマを一緒に試してみましょう。
お気に入りが見つからないと言う場合には、専門店に任せてみるのも良いでしょう。
専門店では香り選びのアドバイザーがいて、お気に入りの香り探しをお手伝いしてくれます。
睡眠に効果的なアロマオイルなども相談できますので、ぜひ活用してみると良いでしょう。
市販の入浴剤を利用するのも良い方法です。
炭酸バスや岩塩は発汗作用や血行促進の効果がありますので、冷え性の方にも向いています。
音楽をかける
最近は浴室でも音楽を聴くことができるようになってきています。
お風呂に入りながらお気に入りの音楽や映画を楽しむという方も増えてきていますが、睡眠のためにも音楽を聴きながら入浴することは効果的です。
音楽を聴くことによって精神がリラックスできます。
テレビの娯楽番組や映画もリラックスできるのですが、脳が興奮して覚醒してしまっては睡眠には逆効果になってしまいます。
精神をリラックスさせるためには静かな優しい音楽や波の音などのヒーリング効果音を聴くのが良いでしょう。
好きなジャンルの音楽でも良いのですが、脳が活動的ならないようにあまり意識しない音楽の方が良いかもしれません。
水の流れる音や鳥のさえずり、風の音を、目を閉じながら、入浴のたびに聴いてみましょう。
音楽には副交感神経を優位に立たせる効果があり、心地よい眠気をもたらしてくれます。
ただし、長湯にならないように注意してくださいね。
まとめ
ぐっすり眠るためには、入浴によって体の深部体温を上げてから、体温を大きく下げることが重要になります。
そのために必要となる入浴法は、何といっても湯船に浸かることです。
就寝1時間を目安に、39~41度のお湯に10分以上使ってみると良いでしょう。
特に手足など末端の冷えで入眠がスムーズにできないと言う方は、さっそく今日から始めてみましょう。
すぐに効果が現れるはずです。
また、より質の高い睡眠をとりたいと思うなら、入浴中に一工夫してみましょう。
入浴中浴室の明るさ、音楽、アロマ、自分のお気に入りの入浴法を見つけてみてくださいね。