
腰が痛いと感じている日本人は非常に多いと言われています。
色々な腰痛予防法を取り入れてはいるものの、毎日痛みが取れないと言う方は多いようです。だからこそ、1日の疲れをしっかり癒すためにも夜はぐっすりと気持ちよく眠りたいものです。
しかし、腰痛持ちの人の多くは朝の寝起きの時間に最も痛みを感じています。
痛みを感じないために、どのような寝方をするのが良いのか試行錯誤をしている方もいることでしょう。
一般的に腰痛の人は横向きで寝るのが良いとされていますが、それはなぜなのでしょうか?本当に横向きが一番良い寝方なのでしょうか?
一緒に腰痛のための寝方について考えていくことにしましょう。
この記事の目次
本来は仰向けが良い寝方
人間が一番自然な姿勢は真っ直ぐに立った時の姿勢です。
これを90度バタンと布団に倒した姿である「仰向き」が一番腰に負担がかかりにくく、自然な姿勢の寝方です。
壁を背にして立ってみると、頭、背中、お尻、かかとが壁に付くのが本来の姿勢ですし、一番自然な姿勢です。
布団に寝たときも同じように、頭、背中、お尻、かかとが布団に付いているのが歪みを作りにくい寝方です。
しかし、腰痛持ちの人は既に腰が痛いということで脚や背中に不自然な負担がかかり、背骨や骨盤などがずれてしまっていることもあります。
その場合、仰向けでまっすぐに寝ることが負担となっていることがありますし、お尻が大きく下に沈んでしまっていて背中が曲がっている可能性も考えられます。
頭と背中とお尻は布団に付いていますが、腰は布団から浮いている状態になり、既にこの腰への負担が辛いという人も多くいます。
一番良い姿勢でありながら仰向けの寝方ができない人は、まず膝下にクッションを入れて膝を軽く曲げてやると、仰向けでも腰少し自然に曲がって楽になります。
うつ伏せ寝は最悪の寝方
大人になってもうつ伏せ寝で眠ると気分が落ち着くのでうつ伏せ寝で寝るという人もいますが、うつ伏せ寝は腰痛がある人にとっては非常に負担のかかる姿勢で最悪の寝方だと言えるでしょう。
うつ伏せ寝は仰向け寝を裏返しただけと考えがちですが、実際は大きく背中や腰を反り返している姿勢の寝方になりますので腰に大きな負担がかかります。
どうしてもうつ伏せ寝で寝たい人はどちらかの膝を横向きに出して寝ることで腰の反らしすぎを防ぐことができます。
しかし、出ている膝がいつも同じ方の膝であると骨盤が歪んで腰に負担をかけますので意識的に毎日違う方の膝を出して眠るようにしましょう。
また、うつ伏せ寝である場合、首が左右のどちらかを向いているので首や肩や背骨にまで負担をかけます。
肩コリや寝違いなどのトラブルの元にもなります。腰痛持ちの人はうつ伏せ寝で眠る寝方はできるだけ避けましょう。
腰痛には横向きの寝方がベスト
腰痛の人は人から何もアドバイスを受けなくても横向きで寝ている人が多いですが、この寝方が一番楽だからです。
腰痛と一口に言っても症状は人によって個人差がありますが、一番楽な姿勢は横向きで寝て、背骨を真っ直ぐするのではなく、少し前かがみになるように腰を曲げて丸くなる感じになることです。
こうすると腰に負担がかからないので楽な姿勢になりますし、体を丸めるという姿勢は精神的にも落ち着き、安心できます。
丸くなると言っても少し腰を曲げて膝を折る程度の丸まり方で充分です。
横向きで眠ると膝を曲げたり、腰を曲げることもできますし、その角度が方向も思いのままにできるので腰が痛くないポイントが比較的探しやすいのが魅力の寝方です。
一番自分にとって気持ちの良い楽な姿勢で眠ることが一番大切になってきます。
脚に座布団などを挟んで眠ると片足を支えてくれますので腰への負担が少なくなります。
そもそもなぜ腰痛になるのか
腰痛とは腰の骨が痛いのではなく、腰の周りの筋肉が緊張して疲労していることで痛みを生みます。
肩コリの人の肩を触ると筋肉が硬く凝り固まっているように、腰痛の人も腰の周りを触ってみると硬く筋肉が緊張していることがよくわかります。
腰の周りの筋肉を柔らかくしたり、鍛えてやると腰痛はなくなるでしょう。
運動不足により腰の周りの筋肉が落ちてきていることが腰痛の原因とも言えますし、寝ている間の姿勢が悪いことによって腰痛を生むこともあるため、寝方を工夫することによって腰痛を予防することができます。
腰痛緩和のために身体をリラックスさせる
腰痛は腰のまわりの筋肉が疲労し、緊張している状態が続いていることから起きるのですから、寝ている時間を利用してしっかり腰周りの筋肉をリラックスさせて疲れをとることが大切です。
寝方が仰向け寝でも横向き寝でも、うつ伏せ寝でも腰の筋肉の緊張が解けていないと腰痛緩和にはなりません。
筋肉が緊張して硬くなったまま眠ると言うことはそれだけで腰痛を悪化させます。
腰痛を予防するためにも緩和するためにも眠る前に腰のまわりの筋肉をリラックスさせて眠ることがポイントです。
腰周りの筋肉をリラックスさせるためには、眠る前に軽くストレッチ運動などをして筋肉を柔らかくしたり、ぬる目のお風呂にゆっくり入って血流を良くして腰周りをほぐしたりすることが腰痛の人にはおすすめです。
ちょっと腰痛になりかけているという人は無理のない程度に腰の筋肉をやわらげてから眠ることで酷い腰痛にはなりません。
寝る前の環境づくりも大切
人は眠っている間に成長ホルモンなどが分泌されて、ダメージを受けている身体を修繕します。眠ること自体で腰痛を緩和することも可能なのです。
深く良質な眠りをすることによって身体のメンテナンスもしっかりできますので、眠る前は深く眠るための環境を整えましょう。
腰周りの筋肉のリラックスができたら、今度は精神のリラックス環境を整えましょう。
人は精神的なストレスが多くあると自律神経が常に興奮したままの状態になりますので眠る事ができません。
そのため、眠る前はできるだけ不安なことや心配なこと、悩み事や嫌なことなど余計なことは考えずに、無の境地になることが大切です。
悩み事があると身体は無意識に力を入れてします。
体に力が入ると顔や首、肩、腰、背中に力が入って休息できません。
何も考えずに穏やかな気分になるように、心地よい静かな音楽や音を聴いたり、深く吸い込むことによってリラックスできるアロマの香りをかいだりするのも良いでしょう。
眠る前の時間というのは自分の好きなことに集中できるので色々なことをしてしまいがちですが、スマホやインターネット検索をしたり、サスペンスやホラー映画を観たり、推理小説を読むというようなことは一見リラックスしているようですが、身体や脳が興奮状態になりますので絶対に避けましょう。
寝る姿勢の工夫
寝方が横向き寝の人
腰痛の人が腰に負担をかけずに、腰をリラックスさせて眠れる寝方が横向き寝ですが、横向き寝でも少しの工夫で腰痛に良い寝方があります。
背中や腰骨を伸ばしてリラックスさせるのが本来身体にとっては良い寝方です。
しかし、既に腰痛の人は腰を伸ばすこと自体に痛みを感じますし、背骨を伸ばすと腰骨の反り返りが大きくなるので普通の人でも腰に負担がかかります。
腰の反り返りを無くすために腰を曲げて眠ることを優先しましょう。
腰を大きく深く曲げるのではなく、軽く前に曲げる程度で充分です。深く曲げると反対に腰に負担がかかってしまいます。
背骨、腰骨、膝を軽く曲げて眠るようにします。
人間はそれぞれリラックスできる方向や向きがありますが、どちらの方向を下にして眠るかは好みで結構です。
しかし、いつも同じ方向ばかりだと首や背骨や腰骨、骨盤などの歪みに影響が出るので、できるだけ左右交互にして眠るのが良い方法でしょう。
どうしても一定の方向でしか眠れないという人は背骨や骨盤などへの負担ができるだけ少ないように抱き枕やクッションを脚と脚の間や腰の辺りにかませて体重が一点にかかったり、極端に骨に負担がかからないように寝方を工夫しましょう。
枕の高さや敷布団の質にも注意するともっと快適に横向きに眠ることができます。
横向き寝で寝るときでも、常に自分が安心できる方向や角度、痛くない向きを取ることが大切です。
寝方が仰向け寝の人
本当は仰向けで眠る事が一番身体にとってはベストですが、腰痛持ちの人はなかなか仰向けで眠る寝方ができません。
それはやはり眠っているときに腰が反り返って楽ではないし、無理をしているせいで腰にいつ激痛が走るか分からないという不安があるからです。
腰痛がありながら仰向けで眠る人は、出来るだけ腰が楽なように対処策を取ってから仰向けの寝方をしましょう。
例えば、仰向け寝で寝ることで腰と敷布団との間に大きく空間ができて腰に大きく負担がかかるようであれば、クッションやタオルなどでその空間を埋めることで腰への負担が減ります。
また、敷布団の硬さも重要です。低反発布団などは身体の負担を極力少なくして楽な姿勢を保ってくれる役割があるので腰痛がある人には向いています。
また、柔らかすぎる布団は良さそうですが、背中がお尻などが大きく沈み込んだりして腰への負担が大きくなる場合があります。
仰向きでも一番自分が楽でリラックスできるポジションを探ってみましょう。
腰痛があるのに無理をして仰向けで眠ることのないようにしましょう。
寝方がうつ伏せ寝の人
腰痛の人がうつ伏せ寝で寝ると大きく腰骨が反り返るので本来は止めたほうが良いのですが、うつ伏せ寝で眠ることが一番楽な人もいます。
うつ伏せで眠る事で腰が痛くなく、リラックスできるのであれば、その人にとっては、うつ伏せ寝で眠る事が一番ベストです。
痛い方の腰の足を外の方向に出して平泳ぎのときのような形で軽く膝を曲げて眠ると腰への負担が少なくなりますし、腰の辺りに軽くタオルなどを置いてみて少しだけ高さをつける方法もあります。
楽な方向を見つける
人間は自分にとって一番ベストなポジションというのはここだということが分かっています。
腰痛には横向きが一番良いと言われていても、痛みがあったり、違和感があったり、精神的に落ち着かないということがあれば睡眠の質が下がります。
睡眠の質が下がると腰痛は酷くなりますし、身体の疲れも取れません。
その人にとって、腰痛がなく、ゆっくり眠る事ができる方向がベストの寝方であって、人がベストを決めることではありません。
自分の身体と相談して一番ベストな方向の寝方を見つけてみることが大切です。
専門家に相談する
腰痛と一口に言っても、色々なタイプがありますし、原因もそれぞれ違うでしょう。
自分であれこれ考えているよりも、病院や接骨院など腰痛の専門家に腰痛の状態を診てもらい、原因や対処法を聞いてみるのも良い方法です。
その際にどの方向で眠るのが自分の今の身体にとって良いのかということをアドバイスしてもらうと良いでしょう。
また、睡眠には寝具が欠かせませんが、枕や敷布団や掛け布団などの専門家のいる店に相談するのも良い方法です。
実際に寝方と寝具の関係が自分に合っているのかどうかも見てもらえますので安心できます。
寝具などは特に気にすることなく自宅にあったものを利用して眠っている人が多くいますが、自分に合った寝具を意識的にそろえるだけで格段に眠りの質は良くなりますし、身体や腰への負担は減ります。
費用はかかっても腰痛が治ったり、緩和されるのであれば投資しがいもあるというものです。
まとめ
腰痛で悩んでいる人は一般的に横向きの寝方が良いとされています。
横向きで眠ることで、腰が後ろに反り返って負担がかかり腰痛が悪化するのを防ぎますし、横向きで眠ると自分にとって一番楽で痛くないポジションを色々と探りやすいからです。
横向きで眠る時は深く背骨や腰骨を曲げて眠るのではなく、軽く膝を曲げて前に丸める程度で良いでしょう。
ある一定の方向ばかりを下にして眠るということは首や背骨、骨盤のずれにつながりますので注意しなければいけませんが、反対の方向では安心して眠ることができないという人は無理に苦手な方向で眠ることはありません。
あくまで、自分の腰が一番楽なポジションを保つ寝方をすることや、精神的にも安心できる方向であることが何より大切で横向きでバランスよく眠ることが重要ではないからです。
ですから、腰痛の人には横向きが一番良いとされていても、自分が仰向け寝やうつ伏せ寝が一番楽でリラックスできるのであれば、迷わずそちらを選ぶことが大切です。
横向きで眠ることが重要なのではなく、自分にとって一番居心地の良い寝方を見つけることを心がけましょう。