
人は誰しも、何となく心が落ち着かなかったり気持ちが高ぶってしまったりと、不安を感じて眠れない夜を一度は経験しているのではないでしょうか。
そんな時、眠らなければと焦れば焦るほど眠れなくなってしまいます。
もしそんな夜が続いてしまったら?
毎夜毎夜、眠れずに辛い夜を過ごしていると、「布団に入ってもまた眠れないかもしれない」とさらに不安材料を増やすことになってしまい、慢性的な不眠症になる場合も少なくありません。
不眠症とは睡眠障害の一つで、深刻な状態になると専門の医師に相談しなければ改善しないケースも多々あります。
そうなる前に、不安で眠れない時の対処法を知って、心身共に充分な休息が得られる睡眠を手にしましょう。
では、不安で眠れないのはなぜなのか、どうすれば眠れるようになるのかなど、具体的な5つの対処法を紹介していきます。
この記事の目次
不安で眠れなくなる原因とは?
不安というのは精神が不安定になっている事で、ストレスなどが自律神経に影響を及ぼしている状態です。
不眠症の患者さんは「自律神経失調症」と診断される場合が多いようですが、これは、交感神経と副交感神経のバランスがうまく取れていないために、精神が不安定になって眠れなくなる方が多いということなのです。
たとえば、夜は徐々に副交感神経が優位になって眠りにつくものですが、不眠症の方は交感神経が優位に働いてしまい、脳も身体も緊張や興奮して寝つきが悪くなってしまいます。
つまり、ストレスとなる原因がある場合には副交感神経が優位に働きにくくなり、眠りにつきにくくなるということです。
もちろん、適度なストレスや緊張感が必要な場面もありますし、ストレスフリーな生活を送っている方は稀でしょう。
ですが、眠るべき時間に不安になって眠れないというのは、自分で思っている以上にそのストレスが大きいと考えられます。
消化しきれないほどのストレスが重くのしかかって、心や体のバランスを崩しているのかもしれません。
不安で眠れない夜が続くとどうなる?
翌日の会議に対する緊張、または怒りからくる興奮などで眠れないといった短期的な場合は、状況の変化や時間の経過によって気持ちも落ち着いてきます。
ですが、長期的なストレスや漠然とした不安は、たとえ時間が経ったとしても根本的な解決には至りにくいものです。
将来への不安・親しい人との別れ・人間関係に対する悩みなどによって、不安や苦しさや辛さをずっと感じていると、心が不安定なままで身体へも悪い影響を与えてしまいます。
とくに睡眠が充分に取れていないと、心も身体もしっかり休めず病気を呼び込むことにもなりかねません。
やる気が起きなかったり、疲れやすかったり、便秘や下痢になりやすくなったら病気の前触れかもしれません。
充分な睡眠が取れているか見直してみましょう。
また、寝不足は注意力や集中力も低下させ、眠れない状態が続くと慢性的な寝不足となり、不眠症という睡眠障害になる可能性が高いと言えます。
そして不眠症になると、常に注意力や集中力が低下している状態ということになります。
実際に、不眠症の方が交通事故を起こす確率は、不眠症でない方の3倍だと言われるほどなのです。
不安で眠れない時に有効な解決法5選!
「不安で眠れない時がある」が「いつも不安で眠れない」にならないうちに、正しい対処法を学んで実践していきましょう。
有効な5つの対処方をご紹介していきます。
対処法1.不安を和らげて眠れるようにする
不安はストレスからくるものです。
しかし、まったくストレスが無い生活というのは、現代社会においてまずあり得ません。
とはいえ、ストレスから目を背けて逃げてみても限界があります。
そこで、何が自分にとってストレスなのか、何故ストレスになっているのか、どうすればストレスと感じなくなるのか、そのためにはどんな対策をすればいいのかを、しっかり考えてみましょう。
自分が不安に思っている事柄を見つめることは自分自身を見つめることにもなり、自分に一番適したストレス解消法を発見できることでしょう。
ただし、布団に入ってから不安なことを考えてはますます眠れなくなります。
寝る時間以外の時にしてください。
あらかじめ不安材料に対しての分析をしておくと、闇雲に不安になって眠れないということも減ってくるでしょう。
不安に思う事柄と理由を紙に書いてみる
最初は大まかな事柄でかまいません。
「将来が不安」「人間関係が不安」「金銭面が不安」など、ざっくりとした括りで手帳に書きなぐってみましょう。
そしてその後、なぜ将来が不安なのか、なぜ人間関係が不安なのか、なぜ金銭面が不安なのか理由を書き足していきます。
たとえば、仕事を続けていけるかどうかが不安、イヤな同僚との付き合いが不安、貯金が少ないから不安など、少しずつ掘り下げていきましょう。
するともしかしたら、将来への不安と金銭面に対する不安は同じ内容かもしれません。
つまり、仕事を続けていける自信がないから将来への不安があり、将来への不安があるから金銭面でも不安になる、という可能性もあるのです。
不安を単なる不安として漠然と受け止めるより、どういう性質の不安かを分析してみると、実は同じような内容で不安の相乗効果が起きていたというケースも多いようです。
ですからこの場合、もし将来への不安がなくなれば、おのずと金銭面の不安も解消されることになります。
要は、「わからない」「対策をしていない」から不安になるのです。
自分が不安に思っている事柄を書き出すことで、頭の中も気持ちもかなり整理され、客観的に考えられるようになってきます。
対策を考えて書き足していく
具体的に思い付けば、その続きで書いていきましょう。
仕事を続けていける自信がない場合なら、そのためにどうするか、どういう選択肢があるかを考えます。
自分のスキルアップが必要だと感じたら、資格の取得や学べる場を探すなどもいいでしょう。
違う仕事を見つけたいならハローワークに行くという手段もあります。
思い付くかぎり書き出してみてください。
どの方向に進むかはその後でゆっくり考えればいいのです。
もしも具体的な対策が思い付かない時は、それ以上考える必要はありません。
なまじ深く考え込んでしまうと不安が強くなるだけです。
不安に思う事柄を書き出していくことが大事なので、思うままに書きなぐりましょう。
対策が思い付かない時は一旦考えるのをやめる
これまでずっと不安だったのですから、簡単に解決策が思い付くはずもありません。
一旦考えるのをやめて保留にしておき、もし思い付いたら書き足すぐらいで大丈夫です。
そして、違う不安が沸いてきたら、また手帳に書き足していってください。
不安を手帳などに書くことで、いつでも読み返すことができ、いつでも考えることが出来るのです。
ですから、わざわざ眠る前にあれこれと思い出して不安になる必要はありません。
「今日はもう眠って明日考えよう」と潔く寝てしまいましょう。
くれぐれも、対策が思い付かないからと眠る前にネットで検索などはしないでくださいね。
よけいに眠れなくなってしまいますから。
対処法2.音や音楽を聴いて眠りやすい状態にする
CDやスマートフォンのアプリなどで、眠りやすい音や音楽を聴くというのも眠るためには効果があります。
小鳥のさえずり・波が打ち寄せる音・川のせせらぎ・電車の音・雨音など、目を閉じて聞くと落ち着くような、自分好みの音を探してみましょう。
また、スローテンポの音楽もオススメです。
もちろん歌詞がない曲の方がいいですが、海外のものなら歌詞の内容に入り込むことなく聴けそうです。
音量は小さくして、耳をすませば聴こえるぐらいが望ましいですね。
ちなみに、色々な曲を順番に聴くより、同じ曲を繰り返して聴く方が眠りにつきやすいと言われています。
曲が変わるとそのたびに気になってしまい、寝付くタイミングを逃してしまう恐れがあるためです。
一つの曲を繰り返し繰り返し聴くことで、耳も頭も慣れてしまい興味が薄れ、脳に刺激を与えてしまう心配もありません。
そして、同じメロディーを繰り返すことでリズムも一定になり、眠りにつきやすい環境を作ってくれるのです。
対処法3.難しい本を読む
眠れない時に本を読むというのは、実践している方も多いのではないかと思われます。
その際は布団から出ずに、横向きで寝たまま読書をして、手元には照明のリモコンを置いておくというのが一番いい方法でしょう。
そこで、もっと眠りやすくするには難しい本を読むのが手っ取り早いと思われます。
学生時代に、あまり得意ではない科目では教科書に目を通すと眠くなった、という覚えがある方も多いのではないでしょうか。
読もうと思って買ったけれど内容が難しくて読破していない、という本をお持ちの方も少なくないでしょう。
そんな普段なら手にしない難しい本こそ、眠る時には最高のアイテムとなるのです。
なぜなら、読み続けるのが困難な難解な本を読むと、少なからずストレスを感じるからです。
人間の脳は、難解・退屈といったストレスを感じると、「βエンドルフィン」という神経伝達物質を分泌します。
このβエンドルフィンは「脳内麻薬」とも呼ばれ、鎮痛効果や高揚感、幸福感をもたらしてストレスを排除する働きを持っています。
つまり、難しい本を読んでストレスを感じたら、ストレスをなくすためにβエンドルフィンが分泌され、高揚感や幸福感や鎮痛効果をもって緊張をほぐしてくれ、さらには眠りにつきやすくしてくれるというわけです。
対処法4.温めた小豆をお腹に当てる
小豆500gほどを袋に入れて、電子レンジで1分間チンします。
その後、温まったホット小豆をお腹の上に乗せて寝ましょう。
熱ければ寝間着の上から、冷めてきたら直接肌の上に当てます。
内臓が温まり、冷え性や内臓不調の改善にも効果的です。
さらに、お風呂に入っているようなじわ~っとした温かさが身体に伝わって眠気を誘ってくれます。
ただし、のぼせたりすることがありますので、首の付け根より上には当てないよう注意してください。
ホット小豆が温かいのは20~30分ほどですので、冷めてしまったらまた電子レンジでチンしましょう。
何度でも繰り返して使えるので経済的です。市販品もありますので、それを利用するのもいいでしょう。
対処法5.眠れない時はいっそ布団から出る
眠れない時に絶対にやってはいけないのは、何時間も眠れないまま布団の中に居続けることです。
数十分ほどの「眠れないなぁ」ぐらいならまだしも、1時間2時間となってくるとイライラが増してきます。
そして、眠らなければという意識と眠ることを頑張ることで、交感神経はさらに優位になって活性化し、脳も身体も興奮状態となってしまうのです。
これではまさに逆効果で、眠れない状態を自ら作ってしまっています。
このような状態が何日も続くと、「布団に入ってもどうせまた眠れない」となり、ついには布団に入るのが怖いとさえ思うようになるのです。
やすらぎの場所であるはずの布団の中が苦痛の場所にならないよう、眠れない時はいっそ起きてしまいましょう。
眠れないまま布団の中にいても、不安やイライラが増して良くない事ばかり考え悪循環となります。
思い切って布団から抜け出し、気分を変えて読書したり音楽を聴きましょう。
そのうちに眠くなってきたら、また布団に入ればいいのです。
もしそれでもまた眠れなかったら、また起きて気分転換をします。それを繰り返していくうちに眠れるようになります。
ただし、翌日が仮に休みだとしても、朝起きる時間を大幅に遅らせてはいけません。
毎朝同じような時間に起きる、それが大事なのです。
人間には、脳と身体を修復する力があります。
そのために、どこかでしっかり睡眠を取るように作られています。
起きる時間さえ変えなければ、たとえ短い睡眠時間でも質の良い睡眠が取れるようになってくるのです。
最初のうちは眠くてつらいかもしれませんが、続けていけば眠れるようになるので安心してください。
まとめ
不安で眠れないつらさというのは本人にしかわからないものです。
そして、不安で眠れない状況を改善できるのも本人だけです。
眠りやすい音や音楽を聴く、本を読むなどの対処法も効果があるかもしれませんが、やはり根本的な対処法は不安のもとを取り除くことに尽きます。
具体的に対策がなくてもかまいません。
眠れないほど不安に感じることさえなければいいのです。
不安が少しでも軽くなるよう、眠れない夜が続いて不眠症などの深刻な状態にならないよう、今回の対処法を参考にしてくださいね。