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ADHDだと、なぜ朝起きれないのか?睡眠障害の原因と対策

  • 最終更新日:2018.11.09
  • 公開日:2017.07.20
ADHDだと、なぜ朝起きれないのか?睡眠障害の原因と対策

何だか夜に眠れない、夜になると頭が冴えて眠れなくなる、夜更かしをしていたら昼夜逆転の生活になってしまったというようなことで悩んでいませんか?

夜になかなか眠れない睡眠障害の原因は、もしかしたらADHDかもしれません。

ADHDは注意欠如多症、注意欠陥多動性障害という発達性障害ですが、大人になっても自分がADHDであるということに気がついていない人も多く、睡眠障害の原因がADHDであることを自覚できている人も少ないのが現状です。

ADHDによる睡眠障害の原因と対策についてみてみましょう。

ADHD(注意欠如多動性障害)とは?

最近、テレビや新聞などでADHDという言葉に出会う場面が多くなりましたが、具体的にどのようなものなのかはっきり知らないという人もいるでしょう。

ADHDは注意欠陥多症、注意欠陥多動性障害と言うもので発達障害の一つです。

発達障害なので子供の障害という認識がある人も多いのですが、大人にもある症状です。

子供の時から自覚がある場合もありますが、大人になってもADHDであるにも関わらず、自覚がなかったり、今までしっかりとした専門機関で治療がなされていないという人もいます。

ADHDの症状は様々ですが代表的なものとして、

  • 子供のころは教室で落ち着いて座っていることが出来ない
  • 協調性がなくみんなが行う活動におとなしく参加できない
  • 欲しいものが手に入らないと激しく泣く
  • 注意力が欠けるのでテストなどでもミスが多い
  • 物をすぐなくす
  • 興味のあることに対する集中力が高いが次の行動への切り替えが出来ない
  • 課題を計画的に奨めることが出来ない

などがあります。

大人になってもケアレスミスや忘れ物が多かったり、空気を読まない行動や発言をしたり、時間管理が出来ないという症状があります。

このような症状はADHDのよくある症状ですが、それ以外にもADHDが原因で起こる症状もあります。

ADHDと睡眠障害

ADHDの人で睡眠障害を抱えている人は多いといいます。

朝はなかなかスムーズに起きることが出来ないのに、夜になると頭がどんどん冴えてきて眠れなくなり、つい夜更かしをするのでまた翌朝になると起きることが出来ないというものです。

また、身体は疲れているのに、夜になっても全く眠れないこともあります。

ADHDでない人から見てみれば、真夜中まで起きていて社会活動の始まる朝に起きれずに遅刻したり、仕事にミスを連発したり、眠気が取れないという様子を「だらしがない」「自己管理力がない」と感じてしまうかもしれません。

実際、ADHDと睡眠障害との関係性の研究が進んでいなかった時代は、夜更かしをして社会生活に順応出来ないのは、その人の責任であると思われていました。

しかし、現代では医学的な研究も進み、ADHDの症状として睡眠障害があり、ADHDの人の人間性の問題ではないということが知られています。

夜に眠れずに朝に起きることが出来ないという睡眠障害の症状は「概日リズム睡眠障害」と言われADHDの人は、自分では睡眠と覚醒のコントロールが出来ない場合があるとされています。

疲れていても眠れないのはADHDが原因?

ADHDの人の特徴にギアチェンジがスムーズに出来ない、今していることを終えて次の行動にすぐに移るという切り替えが早く出来ないというものがあります。

例えば、ある熱中していることがあると、何時間もその事を疲れも感じずにやり続けるというものです。

ADHDの人は行動の切り替えが上手くコントロールできず、何かを始めるのも困難ですし、始めた何かを止めるのも困難なのです。

このような症状が睡眠にも影響を与えていると考えられますが、起きている状態を止めることが出来ず、眠るということに行動がスムーズに流れないために、身体が疲れているにも関わらずADHDの人はなかなか眠る事ができないのです。

これは朝なかなか起きられないことにも同じで、眠っている状態から起きる状態への行動がスムーズに行かないので、他の人には朝起きられなくてだらしがないと思われるかもしれませんが、本人が起きたくても脳が身体をコントロールできないのでなかなか起きられないのです。

ADHDの脳は自分の身体の体内時計を上手くコントロールできないというのが症状の一つにあるので、夜と昼の一般的な生活リズムに自分の体内時計のリズムを合わせることが出来ないのです。

本人は夜に眠りたくても眠れませんし、朝にしっかり起きて活動したいのに、眠くて身体が動かないのでミスを連発したり、居眠りをしたりして周りから誤解を受けることが多いのです。

ADHDと概日リズム睡眠障害

ADHDと概日リズム睡眠障害

睡眠障害には色々な種類がありますが、概日リズム睡眠障害は一つの症状です。

ADHDの人は概日リズム障害の症状を持つ人が多いといわれています。

概日リズム障害は体内時計をコントロールして、朝日が昇り、夕日が沈むという地球のサイクルに上手く合わせることが出来ずに、徐々に体内時計と地球のリズムがずれてしまうことです。

多くの人の場合、意識することなく普通に生活していることでこのような問題は解決するのですが、ADHDの人にとっては難しいことになります。

自分の意識とは関係なく自分の身体のリズムが社会とずれてしまうというのは想像するだけでも非常に辛い症状です。

人間の睡眠と脳というのは非常に密接な関係があり、人間が眠るためにはメラトニンというホルモンの分泌が必要です。

通常であれば、夕方からメラトニンの分泌が増加してくることによって夜に眠気が出てきます。メラトニンが不足していると眠気が起こらないのでなかなか寝付けないということになります。メラトニンを分泌するためにはセロトニンという成分が必要とされています。

ADHDの人は脳からのセロトニンの分泌が不足しているので結果的にメラトニンが不足してきます。

セロトニンが不足した結果、メラトニンが不足し概日リズム睡眠障害を起こしやすくなるため、ADHDの人は夜になっても眠気が起こらないので自分の意志とは関係なく、なかなか眠れない症状が起こります。

ADHDだと朝起きれない原因

朝にADHDの人が起きられない原因は、コルチゾールという物質の不足です。

人間は朝に目覚めることは身体にとってはストレスになっています。

この起床するというストレスを少しでも感じることを減少させるために、脳は起きる時間の少し前からコルチゾールという成分を分泌して身体が起床に対してストレスを感じないようにしています。

朝にしっかり目覚める人はコルチゾールの分泌がしっかりされている人であり、意志が強く自己管理能力の有無だけが問題ではありません。

ADHDの人は行動の目に見えている行動の切り替えだけが苦手なのではなく、脳のホルモン分泌に対しても切り替えが苦手なのです。

このため、本来起きる時間の前になってもコルチゾールが分泌されないので、頭や身体が上手く起きることが出来ないのです。

ADHDによる睡眠障害の対策

ADHDによる睡眠障害の対策

ADHDが原因でなかなか眠れない原因は、脳がうまく睡眠と覚醒をコントロールできていないということをみてきました。

では、対策はなにもないのかといえば、もちろんいくつか対策があります。

但し、これをやったら必ず治るというものではありませんので、できるところから順番に試してみてください。

1. 生活リズムを整える

ADHDが原因で睡眠障害に陥っているのか、他に睡眠障害の原因があるのかということを知るためにも、しばらくは生活リズムを整えて生活してみるということが大切です。

ADHDといっても症状も程度も様々なので、眠れないことがADHDを原因とする問題なのかどうか知ることは大切です。

朝に起きてしっかり活動し、夜に掛けて徐々に眠りやすい環境を整えてとりあえず睡眠に適した時間に布団に入って眠ってみましょう。

運動もしっかりして朝日を浴びたり、栄養のある食事を規則正しく食べることも重要です。理想の就寝時間の1時間前くらいに入浴したり、徐々に部屋の照明を落としたりします。

大切なことは子供であれ、大人であれ家族全員が規則正しい生活を送る努力をすることです。

夜遅くまでテレビや照明が付いていては眠りにくい状況になります。しっかり眠りやすい環境を整えて、睡眠を取ることを試してみましょう。

それでも睡眠が改善されない場合は、次のステップの対策をすべきです。

2. 眠れないのに布団に無理に入らない

睡眠の環境を整えても眠れない状況が続くというのは、ADHDなどの症状の一つとして睡眠障害があると考えられます。ADHDの人は体内時計を自分でコントロールすることが難しいためです。

研究があまり進んでいなかったときは、眠れないのは眠る環境が整っていなから、早く布団に入らないから朝にしっかり起きることができないというようなことが言われました。

しかし、現在では体内時計を合わせるために無理やり朝早くに起こしたり、眠ることを強制することはADHDの人の睡眠障害には絶対にするべきではないというのが定説です。

全くの健康体の人で体内時計が狂っているという人には、早寝早起きを強制して治療するということは意味があります。

ですが、脳のホルモン物質などのコントロールが上手く行かないADHDの人に無理やり早起きさせても眠いだけで、そのまま学校に遅刻せずに行ったとしても居眠りしたり、運動できなかったり、ミスを連発したり、注意力散漫になり悪循環を生みます。

ADHDの人は意志に関係なく、早寝も早起きも苦手な人が多く、無理やり睡眠時間を削って社会生活に馴染まそうとしても不登校になったり、慢性疲労になったり、余計に睡眠不足になったりする危険があります。

病気で眠くならない人を無理やり布団に入れても眠れるようにはなりませんし、眠れない時間に焦り、精神的なストレスを与えます。

眠りやすい環境を整えることは大切ですが、無理やり眠くないのに布団に入っても眠れるようにはなりません。

3. 専門機関でしっかり治療する

ADHDの人は概日リズム睡眠障害で他の人と生活リズムが合わず、社会生活や学校生活に馴染めず苦しむことが多いのです。

ADHDの人のせいではなく、しっかりとした専門機関での治療が必要な症状であることを周りの人が認識することが大切です。

まだまだ認識不足な場合も多く、ADHDの睡眠障害の人に、普通の睡眠薬を服用させて体内リズムを合わせようとする場合もあるようですが、睡眠薬での治療よりも、体内時計のリズムを整えるホルモンの分泌を調節したり、高照度光療法で光を当てて体内時計のリズムを修正する治療が適しています。

睡眠を起こすメラトニンの分泌が少ないADHDの人には、メラトニンのサプリメントを服用させることが有効ですが、現在日本ではメラトニンのサプリメントは認可されていません。

ですが、メラトニンの体内生成を促す代表的な成分として、カルシウム、カリウム、マグネシウム、炭水化物などがありますのでサプリメントで補うのも一つの方法です。

また、ラメルテオンというメラトニンの受容体を作動させる薬もあります。ラメルテオンは医師の処方により服用が可能です。

また、体内リズムを整えるために高照度光療法というのが一般的になってきました。これは、狂った体内時計を合わせるために、光をまぶたなどに感知させて体内時計を調節する療法です。

在宅でも治療が可能なs照明器具も市販されていますが、専門家の管理によりしっかり治療したいという人は入院して治療するのも良いでしょう。

専門の機関では強力な高照度光治療が出来る部屋もありますし、自宅よりもしっかり時間管理をしてもらえます。

高照度光治療を行いながら、メラトニンと降圧剤(クロニジン)を服用するとより睡眠の効果が高まるとされています。

4. ADHDは脳を覚醒させる薬剤で寝つきがよくする

ADHDにより睡眠障害は一般的な睡眠障害と違って脳の機能異常が原因です。

その為に、本来ならば睡眠させるためには脳の興奮を落ち着かせるような薬剤を服用するはずであるにも関わらず、間逆である脳を覚醒させる薬剤を使用して睡眠を促します。具体的には、コンサータという薬を使います。

これはコンサータを服用することにより脳を覚醒させ、ADHDに欠如している注意の切り替え能力を刺激することによって睡眠を導くというものです。

まとめ

まとめ

ADHDの人が睡眠障害を併発するということは、あまりよく知られていません。

そのため、ADHDの人は自分の意志によってコントロールできない睡眠によって社会生活と馴染めずに怠慢であるとか、自己管理力がないというような誤解を受けて苦しみます。

ADHDによる睡眠障害は一般の睡眠障害の治療では効果がないということも多いので本人だけでなく、周囲もしっかりと理解し治療しなければいけません。

自分で色々と努力をしても睡眠障害が改善されない場合は専門の機関で治療を受けることが大切です。

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